八月十五日に吹く風
『écriture 新人作家・杉浦李奈の推論 Ⅹ』で、 本著のことに触れられていたので読んでみることにしました。 終戦のことを描いたお話かと思っていたのですが、 1943年に行われた「キスカ島撤退作戦」を描いたお話でした。 第一水雷戦隊司令官・木村昌福少将、第五艦隊司令長官・河瀬四郎中将、 陸軍北方軍司令官・樋口季一郎中将らは実名で登場し、 米海軍情報士官・ドナルド・キーンも、ロナルド・リーンとして登場しています。その他、同盟通信社外信部海軍報道班員・菊池雄介、気象専門士官・橋本恭一少尉を軸に、濃霧の中をキスカ湾に突入した艦隊が、守備隊員約5,200名を55分で収容に成功するまでや、その後、ポツダム宣言受諾後に侵攻してきたソ連艦隊に応戦する様などが描かれます。 けさ新たな隊列をきいた。 戦闘に警戒隊として島風、五月雨。 次いで鳴神島守備隊を収容する阿武隈、夕雲、秋雲、木曾、朝雲、薄雲、響がつづく。 最後尾で長波が後方警戒にあたる。 〇七〇〇には、多摩が離脱した。 成功を祈る、河瀬司令長官から阿武隈艦橋へ伝言があった。(p.309)全くよどみなくスイスイと読み進めることが出来たのは、「艦これ」のおかげです。