2017/10/07(土)12:34
かつて手術が主流だった胃潰瘍の治療法も変化が…
こんにちは。
土日は、以前書いた原稿の中から、病気予防をテーマにお送りしています。
少し間が空いてしまいましたが、本日の病気のテーマは、前回に引き続き、慢性胃炎と胃潰瘍。
今日は、それらの予防・治療法をお伝えしたいと思います。
かつて慢性胃炎の原因は、ストレスや胃酸過多、老化現象と捉えられていた時期がありました。
しかし最近の研究によって、慢性胃炎の原因のほとんどがピロリ菌の長期感染だと言われています。
胃潰瘍も、ストレスやタバコ、飲酒、消炎鎮痛薬などの原因に加え、ピロリ菌の感染が発生に大きく関係しているのです。
慢性胃炎や胃潰瘍の予防には、ストレスやタバコなどを避けるとともに、暴飲暴食やアルコールなどの刺激物、塩分、脂っこい料理、香辛料を控えることも大切です。
慢性胃炎の治療は、上記の病気を悪化させる要因を遠ざけるための生活・食事指導が基本で、ほかには症状を改善するための薬剤療法があります。
薬は主に、胃酸分泌抑制薬が使用され、症状に応じて胃粘膜保護薬や運動機能改善薬などが処方されます。
胃潰瘍も、生活・食事指導が中心で、胃酸分泌抑制薬や粘膜の防御因子増強剤などを用いて治療します。
最近は胃潰瘍の薬物療法による治療効果が高く、胃に穴があいた場合を除き、手術が行われることはほとんどなくなりました。
ピロリ菌の感染がある場合は、三種類の薬を一週間服用することにより除菌します。
除菌療法によって慢性胃炎や胃潰瘍の再発率が劇的に減少するということで、根本的治療と位置づけられています。
除菌が成功したかどうかを判定する検査は、除菌療法が終了して四週間以上たってから行われます。
除菌の成功率は八十%以上で、不成功の場合は再度、除菌療法が検討されます。
<今日のポイント >
●ピロリ菌の除菌によって根本治療も
・慢性胃炎、胃潰瘍の治療は、生活・食事指導が基本
・ピロリ菌の除菌療法は、三種類の薬を一週間服用する
・除菌の成功率は八〇%以上で、再チャレンジも可能
永嶋信晴著 よくわかる「病」の予防と治療を一部改訂