赤丸急上昇の人気お花見スポット・目黒川と新旧の名建築、空中庭園 by おもしろ歴史ウォーキング 東京編2
こんにちは。 本日は、先月末に発売された新刊「おもしろ歴史ウォーキング 東京編2」からのネタです。 今回、ご紹介するのは、第1章の『赤丸急上昇の人気お花見スポット・目黒川と新旧の名建築、空中庭園』。 それは、こちら。 お花見とは少し季節外れのネタですが、この鬱陶しい梅雨空の下、満開に咲き誇る桜を見て、心を和ませていただきたい、と…。 その意味では、目黒川に両岸からせり出すように伸びる桜は、圧倒的なインパクトがありますね。 ちなみに目黒川は、世田谷区から目黒区や品川区を経て東京湾に注ぐ約8キロの川。池尻大橋から目黒駅の辺りまで約3.8キロの川岸に約830本のソメイヨシノが植えられているのですよ。 お花見だけでなく、歴史ウォーキングとしても、目黒川周辺は見どころが目白押しです。 たとえば、昭和の竜宮城や歴史資料館、緑豊かな公園、重要文化財となっている大正時代の豪邸、芸術作品の庁舎、そして圧倒的な規模の空中庭園…。 それらを全部眺めても、行った日は100円使っただけでした。 1日で、これだけバラエティに富んだ観光スポットに出会えるのも、東京観光の醍醐味のひとつかもしれませぬ。 是非、ご覧いただければ幸いです。 それでは…。 1.少しセンチメンタルな気分になるお花見スポット・かむろ坂 今回は、東京の赤丸急上昇のお花見スポットをご紹介します。東京にもお花見ができる場所は多いですが、迫力から言ったら指折りかもしれませんよ。 ウォーキングのスタートは、東急目黒線不動前駅。駅名にもあるように、近くには江戸時代からの有名な観光地である目黒不動があります。都内にあっても森林浴が楽しめる林試の森公園もすぐそば。 そちらでもお花見が楽しめるのですが、今回は不動前駅から徒歩1~2分のかむろ坂へ向かいます。いつもは何の変哲もない坂なのですが、この時期は地元で有名なお花見スポットになるのですよ。 かむろ坂は山手通りを坂下として、全長約500メートル、幅は13メートルの坂。ちなみに、かむろ坂の「かむろ」とは、江戸時代の高級遊女の召使いの少女のことだそうな。 伝説によると、江戸時代、辻斬りを重ねていた浪人が、鈴が森で処刑され、彼と恋仲であった遊女が悲しみのあまり自害したとのこと。その遊女のお付のかむろが、心配して探しに出かけたところ、この近くでならず者に襲われてしまった。逃げ道を失ったかむろは、近くの桐ヶ谷の二つ池に身を投げたそうです。 これを哀れんだ近くの住民たちが、その後この辺りの丘をかむろ山、そこに通じるこの坂をかむろ坂と呼ぶようになったらしい。坂の名前が広まったのは、上記の伝説をベースにした歌舞伎や浄瑠璃の題目になったからでしょうか。 かむろ坂を下り、山手通りを渡ると目黒川。かむろ坂の桜は地元で有名ですが、目黒川の桜は、テレビでも取り上げられることが増え、今や定番のお花見人気スポットとなっています。 目黒川は、世田谷区から目黒区や品川区を経て東京湾に注ぐ約8キロの川。池尻大橋から目黒駅の辺りまで約3.8キロの川岸に約830本のソメイヨシノが植えられています。 両側から、川にせり出すように伸びる桜は、圧倒的な迫力。 2.昭和の竜宮城といわれた目黒雅叙園 目黒川周辺には興味深い観光スポットがありますが、外せないのが目黒雅叙園。一口に言えば、結婚式場・ホテル・レストランなどの複合施設。しかし、その歴史は半端じゃありません。何でも、日本国内最初の総合結婚式場なのだとか。 木造の旧館は、太宰治の小説『佳日』にも登場し、当時は「昭和の竜宮城」とも呼ばれたそうです。また、旧館内部にある「百段階段」とその階段沿いに作られた座敷は、東京都指定の登録有形文化財。 百段階段と広々とした座敷を利用して、よく展覧会が開催されていますね。昔は、色鮮やかな細かい彫刻を施された座敷で宴会が行われたのでしょうか。 無料で見られる庭園や東京一豪華と言われるトイレも一見の価値ありですよ。建物内に川が流れ、トイレは赤い橋を渡って入ります。全体に和風の作りになっていて、螺鈿や日本画、漆工芸などが至る所に散りばめられているのです。トイレの個室も、通常の4倍以上の広さがあります。 3.目黒川沿いの公園も、見どころがいっぱい 目黒雅叙園から再び目黒川へ戻り、川岸の遊歩道を上流に向け歩きます。権之助坂のたもとにある目黒新橋の横断歩道を渡れば、美術館やプール、図書館、体育施設などがある目黒区民センター公園。 施設内の橋から見る目黒川の桜も圧巻です。 今までは上流に向かって左側の遊歩道を歩いてきましたが、橋を渡って右側の遊歩道にチェンジ。 目黒清掃工場を越えて川岸を歩いていくと、右手に緑豊かな公園が広がります。 ここが中目黒公園。区内で4番目に大きい公園で、金属材料技術研究所の移転跡地に造られたらしい。桜ばかり眺めて目がピンク色に染まりそうだったので、カラフルな花がさらに鮮やかに感じられました。 ここには、ストリートバスケットのできる広場や、原っぱ、芝生広場、健康とスポーツの広場などがあります。芝生に寝そべって目黒川の桜を眺めるのは最高の気分ですね。 4.目黒川・桜の絶景とめぐろ歴史資料館 目黒といえば「目黒のさんま」が有名ですが、歴史的な見どころも多いのですよ。それを実感できるのが、めぐろ歴史資料館。東急東横線と東京メトロ日比谷線中目黒駅から山手通りを歩いて約12分の場所にあります。 学校みたいな外観ですが、それもそのはずで、かつての目黒区立第二中学校の建物を改装したそうですね。 そこには、目黒区から出土した遺物や時代を代表するアイテムが展示されています。興味深かったのは区内の富士塚の地下にあった胎内洞穴の一部を実物大で再現した展示。 胎内洞穴は神社の境内などで見かけることがありますが、富士塚の地下に作られたのは珍しいですね。入り口だけですが、ちょっとお化け屋敷に入るみたいなミステリー気分を味わえました。ゆっくり見学すれば40分くらいは楽しめて、しかも無料ですよ。 屋外には、五輪塔や道標などの石造物が…。 目黒川のお花見は混んでいましたが、ここは2~3人しか見学者がいなくて穴場スポットとしてお勧めです。 資料館を出て、中目黒駅方面に向かって歩きます。近くの舟入場広場からは目黒川の護岸と桜の見事なコラボを眺めることができました。 広場の下は大きな空洞になっていて、目黒川が増水すると、氾濫が起こる前にここに流し込んで調節するらしい。 目黒川に桜の花びらが落ちて、さらさら流れて行く光景を見ていたら…は~るのうらら~の~、めぐろがわ~♪ と思わず口ずさみたくなりました。 中目黒が桜の名所として知られるのも、この広場の存在が大きいのでしょうね。 5.建物自体が芸術作品の目黒区総合庁舎 目黒川舟入場広場から中目黒方面に歩き、交差点から駒沢通りを世田谷方面に少し歩くと右手に瀟洒な建物が現れます。ここは、目黒区総合庁舎。モダンと歴史がコラボしている感じの印象的な建築物。区役所としては少し違和感があるような。 …と思ったらそのはずで、この建物は、有名な建築家・村野藤吾の設計による旧千代田生命保険本社ビルだったらしい。 村野藤吾が設計した建物は、ほかにも日本生命日比谷ビル、日生劇場、現在のみずほコーポレート銀行本店などがあるそうです。外壁の白色アルミ鋳物製の格子に特徴があり、日本建設業連合会の賞も受賞したのですか。 建物の中も見どころが満載ということで、区役所の中へ。 エントランスホールは、壁も床も大理石張り。天井には天窓があって、ガラスモザイクで四季を表現しているとか。 エントランスホールの先にあるらせん階段も、この建物の一押しスポットらしい。 確かに、こういうオシャレな階段は珍しいかもしれません。 建物ばかりでなく、屋上庭園も有名らしいですね。 最近、ビルの屋上緑化はトレンドの一つになりつつありますが、ここはその情報発信地を目指して屋上庭園を造ったそうです。写真の庭園は、東京農業大学の全面的な協力によって整備されたのですか。ちなみに、庭園の面積は1,120メートル。 特徴ある建物の外壁の白いアルミ格子と床の茶色いタイル、緑の木々はなかなか美しい眺めでした。20分近くいたのですが、見学している人が誰もいないのは少しもったいない気がしました。 目黒区役所から中目黒駅周辺に出ると、対照的にすごい人混み。 アイドルやロックスターのコンサートでもあるのかと思いましたが、皆、お目当ては目黒川の桜なのですね。老若男女がこれだけ集まるイベントはそうないはず。やはり、日本人は桜好きなのだと実感します。 (以下略) このあと、今回のウォーキングの目玉のひとつ、旧朝倉邸へ。ここは、東京府議会議長や渋谷区議会議長を歴任した朝倉虎治郎氏によって、 大正8年に建てられた建物。東京23区に残る数少ない大正期の和風木造住宅で、なんと国の重要文化財に指定されているらしい。 前にも述べましたが、そのほかにも、大橋ジャンクションにある現代のバビロンの空中庭園は、一見の価値ありですよ。 東京の歴史ウォーキングの醍醐味が味わえる続きは、是非、こちらをご覧いただければ幸いです。 「おもしろ歴史ウォーキング 東京編2」 (参考) 目次より 第1章 赤丸急上昇の人気お花見スポット・目黒川と新旧の名建築、空中庭園 東京都目黒区・渋谷区 1.少しセンチメンタルな気分になるお花見スポット・かむろ坂 2.昭和の竜宮城といわれた目黒雅叙園 3.目黒川沿いの公園も、見どころがいっぱい 4.目黒川・桜の絶景とめぐろ歴史資料館 5.建物自体が芸術作品の目黒区総合庁舎 6.渋谷にも古墳がある 7.オシャレな町にある大正時代の名建築・旧朝倉邸 8.西郷さんゆかりの西郷山公園と菅刈公園 9.目黒には、現代のバビロンの空中庭園がある 第2章 都内随一といわれる藤の名所・亀戸天神と大正時代の古民家を巡る 東京都江東区・墨田区 1.亀戸のカメにまつわるエトセトラ 2.駅前に立つガメラとラドンが合体?したモニュメント 3.銭形平次御用達?の工場跡がある 4.都内随一の藤棚が満開の亀戸天神 5.由緒ある寺院と下町散歩が楽しめる 6.エコライフの先駆けだったすみだ環境ふれあい館 7.江戸時代の農家と町屋の姿を合わせもつ旧小山家住宅 8.存在感のある亀戸大根の碑が立つ亀戸香取神社 第3章 新選組副長土方歳三も訪れた都内に現存する唯一の本陣・日野宿本陣 東京都日野市 1.新選組の故郷として注目を集める日野 2.峠の茶屋のような駅舎が魅力の日野駅 3.都内に現存する唯一の本陣の建物がある 4.土方歳三が昼寝をしていた部屋がある 5.新選組の少年隊士をかくまっていた部屋がある 6.明治天皇が行水に利用された桶がある 7.新選組のルーツの場所のひとつ・日野宿本陣の道場 8.大河ドラマの新選組配役にまつわるエトセトラ 第4章 日野時代の新選組の足跡と土方歳三の生家、菩提寺・高幡不動を歩く 東京都日野市 1.近藤勇や井上源三郎、沖田総司らが奉納した天然理心流の剣術額がある八坂神社 2.新選組6番隊長井上源三郎の資料館がある 3.新選組の育ての親・佐藤彦五郎のお墓がある大昌寺 4.ダンダラ羽織を着て写真が撮れる新選組のふるさと歴史館 5.ハイカラなお屋敷にある土方歳三資料館 6.昔からイケメンぶりが評判だった土方歳三 7.石田地区は、土方家がたくさん 8.土方歳三の菩提寺は、関東三不動の一つ高幡不動 9.八十八カ所巡拝コースになっている高幡城址 第5章 城跡、代官屋敷、古刹、風習、カラフルな電車… 観光スポットの定番がてんこもり! 魅惑の世田谷紀行 1.江ノ電みたいなかわいい電車が走っている 2.キャロットタワー最上階の展望室の大パノラマは一見の価値あり! 3.ノスタルジックな魅力満載の世田谷線沿線 4.吉田松陰のイメージそのままの清潔感が漂う松陰神社 5.世田谷区にまつわるエトセトラ 6.400年以上の歴史を誇る世田谷の伝統行事・ボロ市 7.重要文化財の代官屋敷がある 8.住宅街に痕跡が今も残る巨大城郭・世田谷城 9.井伊直弼の墓がある招き猫でも有名なお寺とは 10.世田谷城主・吉良家の墓がある勝光院 第6章 住宅街のど真ん中に広がる農場・演習林、歴史と緑に恵まれた公園と多摩六都科学館を歩く 東京都西東京市 1.田無市と保谷市が合併して誕生した西東京市 2.名主の善政を伝える碑と蔵がある 3.横綱やベストセラー作家ゆかりの田無神社 4.三つの寺が合併してできた田無山総持寺 5.住宅街の真ん中に広がる牧場風景 6.火・金だけの開館だが、周りの景色が魅力的な農場博物館 7.武蔵野の多様な植物を体感できる東京大学田無演習林 8.西東京市の公園はどこも緑がいっぱい 9.外から楽しみたい西東京のシンボル・スカイタワー西東京 10.平成25年3月に全面リニューアルされた多摩六都科学館 11.ギネス世界記録に認定されたプラネタリウムがある 第7章 荒ぶる川・荒川沿いの歴史スポットとパナマ運河の工事に参加した技師が手掛けた水門を巡る旅 東京都北区 1.荒川のほとりには、歴史・風俗のある神社仏閣がいっぱい 2.パナマ運河の工事に参加した技師がてがけた旧岩淵水門 3.鉄道ファンに人気の神社がある 4.都会の真ん中で、山里の風景が楽しめる赤羽自然観察公園 第8章 将軍徳川綱吉が58回以上訪れたといわれる名園・六義園を歩く 東京都文京区 1.『古今和歌集』の世界を再現しようとした庭園 2.冬でも桜の季節の見事さを実感できる枝垂桜と池を望む絶景 3.回遊式築山泉水庭園の魅力を満喫できる景観 4.荒れた庭園を三菱財閥の創業者・岩崎弥太郎が整備 5.江戸の百名山に数えられた山がある 第9章 桜を背景に、ロマネスク様式の大聖堂と23区内最古の木造建築を眺め、都内有数の桜の名所・洗足池にいたる極上桜散歩 東京都目黒区・品川区・大田区 1.ボート遊びや動物とも触れ合える碑文谷公園 2.昔の農村風景を今に伝えるすずめのお宿緑地公園 3.有名なアイドル歌手結婚の舞台となったサレジオ教会 4.地名の由来になった石のある碑文谷八幡神社 5.23区内最古の木造建築がある円融寺 6.桜のトンネルが1キロも続く西小山桜並木通り 7.東京タワーと東京スカイツリーがコラボで見える?小山八幡神社 8.千束と洗足にまつわるエトセトラ 9.都内有数の桜の名所・洗足池 10.勝海舟のお墓がある 11.洗足池は歴史スポットもいっぱい 12.すっぽんも住む洗足小池