左らく天

2009/05/28(木)01:33

窃盗事件の顛末

いろいろ(96)

 外出先から戻ったX氏は、玄関先に書置きがあることに気付きました。2つ折になった便箋を開くと、「ご子息を逮捕したので所轄の○刑事まで連絡を」と手書きの文字で書かれていました。  10年前に女房を離縁したとき、引取った息子はまだ小学生でした。以来、炊事洗濯から高校への自動車送迎まで、奮闘の毎日。しかし、家事と仕事の両立はムリがあり、生業の漆器はすぐに行詰まります。屈辱にまみれながら転職を繰返し、時には飲酒に溺れる生活が続きました。  高校を卒業しホッとしたのも束の間、就職前にまず取得したばかりの運転免許で自損事故。遅れて入社したものの、今度は死亡交通事故を起こします。解雇後は坂道を転げ落ちていくように刑事事件や無免許運転での摘発を繰返し、このたびの逮捕劇です。近所の中高生らは「ティンバーランド狩りの主犯か? T中学で被害届けが出てたのは知ってた。リサイクルショップで捌いたところ、足がついたんだろう」と、一連の盗難事件は知っているようでした。 「一体どこで狂ったのか・・ 」憔悴した哀れな中年は、私の前で大きくため息をつきました。

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