野草天ぷらの顔ご紹介縄文人の智慧と生きざまを研究、「縄文の遺伝子」などの著書を出版されている佐藤眞生さん。1万年以上にわたって自然採取の生活をしながら定住していた“縄文人の魂”を追求、それは植物の“動かない生き方”ではないかと力説されています。そして「野草天ぷら」がこれからの食料危機の時代に私たち日本人のいのちを守ってくれるのではないかと提案されています。 その佐藤眞生さんが、毎日の生活の中から、折に触れ、感じたことを纏めて、 2008年7月【栄養になる「野草天ぷら」】と題して出版されました。 このBLOGでは、食べられる野草をピックアップして、野外で摘みたての野草をおいしく揚げて食べる「野草天ぷら」の実際をご紹介します。 ・ フキ キクの仲間。 冬に葉は枯れるが、根株が休眠して春になると生育する多年草。宿根草ともいう。 数少ない日本原産の野草。 ・ヨモギ キクの仲間。別名モチグサ。 常緑の多年草。 薬草として、煎服、薬草風呂、薬酒、灸のモグサに使われている。葉には止血作用がある。乾燥して細かく裁断しヨモギ餅にも使う。 地下茎などから他の植物の発芽を押さえる物質を分泌する。その効果もあり、地下茎で増殖し群生する。独特の香りを持つ。あまりめだたないが、8~10月頃淡褐色の小頭花をつける。 若芽を摘んでそのままてんぷらにする。葉は先端部を摘み、秋まで食用にできる。 ・タンポポ キクの仲間。グジナともいう。 常緑多年草。 在来種と外来種があるが、在来種は劣性である。萼片が外側に反転しているのが外来種で、反転せずに真っ直ぐ伸びているのが在来種。在来種は36種類もあり、カントウタンポポとかカンサイタンポポなどという名前がついている。外来種はセイヨウタンポポと呼ばれている。自然破壊が進んでいるところにはセイヨウタンポポ、自然が維持されているところには在来種が分布するといわれている。 全草を乾燥したものは解熱・発汗・健胃・利尿の生薬として、根を乾燥したものはコーヒーとして使われている。乳液からゴムを採集することもできる。 若芽と黄色の頭花、茎の先端の葉を摘み、てんぷらに揚げる。 春一番に出てくるのがフキノトウで、これはフキの蕾。次いで若葉、葉の柄(葉柄)が出る。香りが独特で、苦みがある。 雌雄異株で、黄色い花をつけるのが雄株、白い花が雌株。 日陰で水分の多いところを好む。 4~6月が旬。フキノトウはそのまま摘んでてんぷらにする。葉は柄をつけずに摘み、葉裏に衣をつけててんぷらにする。柄は旬の間は皮をむかずにてんぷらにできる。 ・アザミ キクの仲間。 冬も葉をつけ、枯れない多年草。 アザミには多くの種類があるが、共通して刺針を持ち触ると痛い。しかし、この刺針はてんぷらに揚げたり、あるいは熱湯に通すと口に入れても痛くない。 葉を食用とする日本産のサワアザミ、根茎を食べるモリアザミやハマアザミに大別されるが、4~6月頃の若い芽立ちや芯茎はどのアザミも食用になる。 若い芽立ちはそのままてんぷらにするとくせがなくさっぱりしている。芯茎は皮をむいててんぷらにする。8~10月頃に紫紅色の頭花をつけるが、これもてんぷらにすると深みのある食感を楽しめる。 ・ツクシ トクサ科。シダ(胞子)植物の仲間。栄養茎をスギナと呼び、胞子茎をツクシと呼んでいる。 多年草。 胞子茎を日本では「土筆」と書くが、英語では「馬の尻尾」を意味する。5億年前の超古代から生育していたといわれる化石のような植物である。 胞子のほろ苦さと茎の歯触りを楽しめる。 頭がカサカサになっていない、太くて、長いものを摘む。摘むときは茎の根元をつかんでユックリ引き抜く。 葉が退化したハカマがついているので、下拵えではハカマを取り、ハカマに土が残っているのでよく水洗いする。 ・クローバー マメ科シャジクソウ属の多年草の総称。一般的にシロツメクサを指す。世界に300種ほどある。 種子から発芽して1年以内に生長し、開花・結実して種子を残して枯死する1年草のほか、2年草もある。 三つ葉が多いが、二葉・四葉・五葉・六葉・七葉などもある。二葉を見つけると不幸になるとか、五葉を見ると失恋するという言い伝えがある。 蜜源植物として、クローバーの蜂蜜は生産量が最も多い。花穂は強壮・痛風・解熱・鎮痛などの薬効があるといわれる。 花穂と葉をてんぷらに使う。葉柄をつけて摘み、葉柄を輪にくくって揚げるといい。 ![]() ・カラスノエンドウ マメ科。 秋に発芽して越冬する越年草。 烏野豌豆と書く。別名ヤハズノエンドウ(矢筈豌豆)。よく似た仲間にスズメノエンドウ(雀野豌豆)がある。 カラスノエンドウは大きくて少数の花をつけるが、スズメノエンドウは小さな花を房状にたくさんつける。 3~6月に花をつけ、花の後に豆(種子)ができ、これがはじけて種子を飛ばす。豆は熟すと鞘が黒くなるのでカラスの名がついたといわれている。 原産地はオリエントから地中海あたりで、古代には栽培植物だったが、今は野草になっている。 豆の両端を切り草笛にする地方もある。 若芽と若い豆がてんぷらにいい。 ・フジ マメ科。 蔓性の落葉低木。蔓性のため他の樹木の上部を覆って光合成を邪魔したり、幹に巻き付いて変形させたりする。そのため管理の行き届いた人工林ではフジは刈り取られる。日本の主なフジは二種あるが、ノダフジは右巻き、ヤマフジは左巻きである。 3~5月の若芽は、茹でて和え物や炒め物にもいいが、てんぷらもいい。 4~5月、房状に咲く淡紫色または白色の花もてんぷらに合う。 種にはウイスタリンが含まれ、少量が薬用として使われるが有毒である。 ・ツユクサ ツユクサ科。 露草・月草・蛍草などと書き、秋の季語とされる奥ゆかしい植物である。 1年生。 茎は地面を這う。6~9月に青い花をつける。この花、早朝5時頃に咲き、午前中には萎んでしまう。 虫媒花であるが、虫がこない場合には雌しべと2本の長い雄しべが巻いて、柱頭と葯が接して自家受粉を行う。 染め物の下絵を描く絵の具に使われる。 花期に乾燥させ鴨跖草(オウセキソウ)として下痢止め・解熱の薬効がある。 柔らかい先端を摘み、てんぷらに揚げる。 ・スミレ スミレ科。 多年草。 地下茎は長く、横に這う。地上茎はなく、花も葉も付け根から出る。4~7月に黄色い花をつける。 4~5月に葉と花をともに摘み、てんぷらには葉がいい。葉は茹でておひたしや和え物にも合う。花は酢の物や椀ダネにいいが、てんぷらもいい。 同じスミレの仲間でもパンジーとニオイスミレは有毒なので注意したい。 ![]() ・ツバキ ツバキ科。 常緑の中高木。晩秋から春に赤い五弁花をつけるところから春の季語とされる。 ツバキの用途は、材木・木炭・椿油・鑑賞と多岐であるが、食用としても捨てがたい。それは花である。この花を萼に衣をつけててんぷらに揚げる。 花を一枚一枚落とし、さっと茹でて、酢の物や和え物にしてもいい。 ところで、ツバキの花は萼のところから丸ごと落ちる。そこから、かつては、商家では商いが傾くといい、武家は首が落ちるといって嫌った。 ・ユキノシタ ユキノシタ科。 半常緑性の多年草。 半日陰を好む。 晩春から初夏にかけて五弁花をつける。下の2枚は白くて大きい。上の3枚は薄紅色で、濃い赤紫の点がある。雄しべが長い。葉に産毛がある。 開花期の葉を乾燥させて虎耳草(コジソウ)という生薬をつくる。煎液は利尿・消炎に効く。葉の搾り汁は耳だれ・かぶれ・湿疹にいい。 葉をてんぷらにすると香ばしい。揚げる前に葉裏の液胞に空気が入っているので包丁目を入れる。 戻る フォトの削除 このページのトップへ |