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| ★★連ドラ★崖っぷちのエリー★★
| ★一恋橋(いちれんばし)★
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さっきまでの、
怖い怨霊の声がもうしない!? どう言う事なんだ!? まさか…。 ~いいから、そのまま続けなさい。 あの変貌した声を思い出すんだ。 さあ、続けなさい。~ でも…!? 僕は自分のしようとしている事に、 重要な理由が、 どんどん薄らいで行くのを感じていた。 『どうしました?』 《あ…いや》 ~そのまま…。~ 《あの…でも…》 ~何をためらってるんだ! 私を消したいんじゃないのかい。 私がお化けなら、《霊》と呼ばれているものなら、 この僧侶が成仏させてくれるかも知れん。 そうなら、 本当はその事の方が、 私にとって芯から望んでいた事ならどうする!? 成仏する事が出来ず、 この世に無念を残し、 お前に縋るしかない、 哀れな魂だったら、 お前がそれを察する事が出来るからこそ、 今日までの現象を成して居たとしたらどうする!?~ 『大丈夫ですか…!?』 《あ…ごめんなさい。》 『何が起きていますか!?…今… 』 僕は途中からお坊さんの話しが、 耳に入らなくなってしまった。 自分が何を言いたいのか、 混乱している…。 お坊さんの口だけが動いていた。 何も聞こえなくなった。 整理しなきゃえっと…、 苦しいかも知れないけど、 それでも、 この事で、 成仏してくれるかも知れない。 僕はそれを望んであげなきゃいけないんだろうか…。 そうなのかも知れない。 だからきっとわざとあんな嫌なもうひとつの声を作って…、 そうなんだきっと、 きっとそうなんだ! 言わなきゃ…言わなきゃ…! 《…と、突然…声が聞こえてくるようになったんです。あの、》 先の話しを遮(さえぎ)る勢いで、 お坊さんは僕に言葉を吐いた。 『それは【異次元】のものです。 気を付けないと、たいへんな事になります。 まず聴いてはいけません。 強い意志で聴かない事です! ともすると、 死に至らしめる程の恐ろしい力を持っているかも知れませんよ。』 《えっ!?でも…でも別にそんなにいつも、 怖がらせられてるわけじゃなくて…あの…》 『最初は守護霊でもあるかのように、 優しい事を言ったり、 いい事に感じられる事も起こして来ます。 しかし、 次第にそれは悪質なものになり、 殺生に関わる程の恐ろしい場所まで人間を追い込み、 取り憑いてしまうんですよ。』 《いえ、そんなんじゃないんですよ…》 ~また何を言おうとしてる…。 そんな事は言わなくていい。 恐ろしくて、仕方ないと言いなさい。 いいかい。 目を閉じなさい。~ あっ!? 周りの音も、 ざわめきも聞こえない。 何も聞こえない。 ~時を止めた…。 そのまま、目を閉じて聞きなさい。 今、夢の中に居ると思えばいい。 確かめなくていい。 話せなくなるよ…私と…。 何も考えず、 ノートに書いて会話をしている時を、 心に浮かべて、 私の声を聞くんだ。 そして、ざわめきが聞こえたら、 私の言う通りに僧侶に話すんだ。 約束出来るね。~ 分かりました…。 ~私は、 《霊》ではない。 私は、《神》でもない。 私は異次元のものでもない。 私は…。 それはいつかお前の心が、 何かの言葉に辿り着ける事になる。 名前に辿り着ける事になる。 それは、 お前の芯なる体験の内側、 命の日々の内側にしか生まれない答えなんだ。 解るかい。 その少なくともひとつの種として、 この事はお前の体験の真実になるんだ。 この僧侶の答えも、 体験と、自らの選んだ道の中にある、 選び取った学びの中の知識として、 その使命を明けた心が、 人の命をも救った事がある。 お前もその一人かも知れん。 それを知る為の大切な《今この時》なんだ。 明けだと信ずる心から、 お前自身の今は咲く。 さっきの怖い声をもう一度呼ぶかい…。 そうしなくとも成せる筈だ。 こうまでしても、 僧侶のなんらかの経徳を受けて、 この私はお前を頼り、 成仏したい魂だとしたらどうする。 してくれないのかい。 お前の知識の中では、 私が怨霊なら、 苦しむ…となっている。 しかし、苦しまないかも知れない。 想像以上に苦しむかも知れない。 ならば、 例えば、 私が今こうして夢の中で話している事を、 【さぁさっきの話し…。書きなさい。全て。】 とあとで言ったらどうする。 この僧侶に私は消せなかったとしたら…。 せっかく優しい言い方をしているのに、 この仕方が明けに成せないのなら…~ 解りました。 解りました…。 もうさっきみたいな… !? ざわめきが戻った。 僕は目を明けた。 『いいですね。』 《は、はい。》 『手を合わせ、目を閉じて、 私の唱える言葉を、 しっかりと聞いて、 強い意志を持って下さい。 私がその声を異次元に戻します。 そして、 その後は、 もう二度と、 不信な声を聞こうとしてはいけません。 いいですね。』 僕の目を一心に見つめて言って下さってるお坊さんの、 有難い気持ちを感じ取った時、 僕は、 何を迷う事があったんだろうと、 申し訳ない気持ちにさえなって、 有難うございます。 と頭を下げた。 そんなにお坊さんが言う程、 僕にとって、 嫌な声ばかりの現象ではなかった。 でも、 僕はこんな事で止まってはいられない。 成仏させてあげられる。 こんなチャンスはまたいつ訪れるか解らない。 助けてあげるんだ。 あの声を。 そう思えばいい。 《お願いします。》 僕が目を閉じた瞬間、 お経が始まった。 叫び声が突然聞こえた。 【やめてくれ!】 やっぱり想像通りの現象だった。 やっぱり…そうだった。 でもきっとしばらくしたら楽にしてあげられる。 お経と重なって聞こえて来る声は、 まさに悪魔祓いのような感じだった。 そして可哀想な位の叫び声のピークだった。 テレビのスイッチをブツっと切ったように、 急に何も聞こえなくなった。 お経だけが聞こえている。 終わったんだろうか…。 そう思った時だった。 ~【さぁさっきの話し…。書きなさい。全て。】 流星…残念でした。~ 《え!?》 僕は一瞬噴出しそうになって、 笑いそうになるのを堪えた。 ~こらっ。声を出してはいかん。~ はい…。 ~そのまま…。 この子の為に今度は明けの今を成してあげなさい。~ どう言う事ですか…。 ~さあ…私にも解らないと言って置こう。 どうやらこの方法では、 私は消せないようだ。 残念だったね…。 何か少し嬉しそうだが…。~ いえ、そう言うわけじゃなくて、 ※お経は続いている。 ~いつまでこうしてるんだい。 ルール違反だよ。 書きなさい。 早く終えて…。~ だって、 どうすれば…!? ~そんな事は私には解らん。 ただ、いつまでこうしているんだいと、 私はそう言いたいだけだ。~ 確かに…。 うっすら目を開けると、 まだまだ続きそうな気配だった。 仕方ない。 芝居しよう。 《あの…、 あの…なんだかとても楽になりました。 もう全く何も聞こえなくなりました。 大丈夫になりました。》 『そうですか…。』 優しい笑顔だった。 《ほんとに有難うございます。》 『いいえ、いいんですよ。 良かったですね。』 ~居るけどね、私はまだ。~ 喋らないで下さい! 僕は、心で冷や汗を掻きながら伝えた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/09/27 08:08:45 AM
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