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なんでも教育基本法に「愛国心」とかいう言葉が盛り込まれるかどうかが、
議論になっているようだ。 愛国心の議論の中で、ひとつ、私がどうしても理解できない感覚が、 「日本を誇りに思う」 という言葉、もしくはその感覚である。 私は、日本という国は、とっても素晴らしい国だと思う。 戦争してないし、水と安全はタダだし、不況とはいえ食うには困らない。 日本文化も本当に奥深くて、その美や精神は私の心を捉えて離さない。 じゃあ、だからといって、 「日本は私の誇りです」 と思うかというと、それはない。全然ない。 逆に「日本は私の誇りです」という人々の感覚を私は全く理解できないし、 そんな発言を聞くと、恥ずかしくて妙に居心地悪くなってしまう。 それはなぜか。 まず、話を「誇りとは何ぞや」という根本的なところに戻してみたい。 誇りとは何ぞや。 私の考えでは、誇りとは、自身の成し遂げたこと(もしくはその過程)に対して持つものである。 家柄がいいとか、(家が)金持ちだとか、そういうのは誇りとは呼ばない。 だって、「自分が元から持っているものを誇ることは、恥ずかしいこと。」だからだ。 私たちは、家が金持ちとか名門だとかいう理由で人が威張ってたりすると、その人たちを、バカにする。 それは、その人が、たまたまそこに生まれたということだけであって、その人が努力して手に入れたものではないからなのである。 さて、翻って、「日本を誇りに思う」人たちに、「日本の何を誇りに思うのか」ということを聞いてみると、 歴史的な文化、奇跡的な戦後復興、最近で言えばWBCでの世界一などなど。 私が不思議なのは、それを誇りに思う人々は、多くの場合、「それを作った人々ではない」ということだ。 私が日本人なのは、「たまたまそこに生まれた」という所与のものであって、 私が努力して得たものではない。 たまたま生まれた国の文化が素晴らしかったり、その国が世界一を成し遂げたとしても、 私がそれに貢献したわけではない。 なのに、どうしてそのような「他人の業績」を「自分の誇り」にすることができるのか。 前に友達からこんな話を聞いたことがある。 ある女性が、片思いの相手について「彼は私の誇りなの」といったのを聞いて、 その友達はぶったまげたそうだ。 しかし、その友達も、ある大好きな映画監督に対し、 「彼と同じ日本人であることを誇りに思う」ということを言っていた。 このふたつの発言は、「人の業績を自分の誇りにする」という点において、 同じようにおかしい。 けれど、前者の発言は、瞬間的に「そりゃーおかしいだろ」と思うのに対し、 後者の発言はそんなにおかしいとは感じられない。 個人の間では、「そりゃーおかしいだろ」と思うことが、 どうして国の話を経由されると、「ぜんぜんおかしくない話」になってしまうのか。 ここに「国家」「愛国心」のマジックがある。 (これはこれで、すごい考察に値する面白い話だけれど、本筋から離れてしまうので、 これはおいといて、話を戻そう。) とにかく、きちんと考えてみると、 「その業績に貢献してない人間が、それを誇りに思うなんておかしい」 はずなんである。 とすると、私が「日本を誇りに思わない」のは、全く理にかなっている。 なぜなら、私が、その「世界に誇れる日本の素晴らしさ」を作ったわけではないからだ。 (私がしている貢献といえば、インフラのために税金払って、安全のために犯罪に加担しないで、景気のために消費しているくらいだ。) それを、私が「日本を誇りに思う」など、おこがましいにもほどがあるじゃないか。 それでは、よく「誇り」といわれている(間違って使われている)、 私たちを育むこの日本という環境に対して持つ感情は、何か。 私は、それは、「感謝」なのだと思う。 「こんな日本を作ってくれてありがとう」という先人への感謝、 「こんな日本に生まれさせてくれてありがとう」という神様への感謝。 「日本人の誇りを取り戻せ」とか言うけれど、まったくナンセンスだ。 誇りとは、所与としてあるものではない。 取り戻すようなものではなく、作るものである。 誰かが作った日本の価値を誇りに思うのではなく、 「いやあ、やっと私も、日本の誇りと呼べるような仕事ができました」 というような形の「誇りのあり方」のほうが、私は好きだ。 ・・・て書いてて気づく。これって、ケネディが言ってることじゃん。 「国が私に何をしてくれるかじゃなくて、私が国のために何ができるか」 いやあ、ケネディ、さすがだなあ。
教育基本法の「国を愛する・・・」という言葉に私は違和感。
モテナイ男が権力で「好きだ」と言わせているような気分・・・。 愛するとかって、自発的な気持ちなのになんでそれを押し付けられなきゃいけないのだ?とか思ってしまうのだな。 VIVA FREEDOM (May 12, 2006 07:50:15 PM) |
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