井原線ふるさとじゃ～ナル

５月１８日（水）晴れ
　わが家の旧式のトイレには使わなくなった手水鉢がある。ここにある日、ヤモリが落ち込んでいた。死んでいるのかと突っついてみると慌てた感じで登ろうとする。なんだ生きてるじゃないか。ヤモリは垂直のガラスでも自由自在に動き回るだろうから自分で這い出るだろうと放っておいた。ところが次にトイレに入った時もペタリと球形の底に張り付いて身動きできなくなっている。

　手水鉢に落ち込んで何十時間もこの状態だったのだろう。突っついてみると前回よりも動きが鈍い。助けてやろうと尻尾の方から棒で突っつくが登れない。ほこりで手足の特異な吸盤が使えないようだ。トイレットペーパーの芯でヒョイっと救い出し床にポトリと落ちるとくねくねとカラダを揺らして物陰に隠れてしまった。
　ヤモリは「家守」でトイレや外壁に巣くって害虫を退治してくれる正義の味方だ。先日は「クモ」を今回は「ヤモリ」を助けた。芥川龍之介の「蜘蛛の糸」にあやかったわけではないが生きものとの共生は大切だ。