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鉄道ジャーナリスト加藤好啓のblog 国会審議集

2023.08.18
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カテゴリ:桜木町事故


久々に更新させていただきます。
気がつけば桜木町事故の審問だけで3年近く続けているわけですが、いい加減に終わりをと言われそうですのでピッチを上げたいと思います。

検事に対して、取り調べた4人に対して感じたことを述べて欲しいと質問しており、それに対して検事の見解として、日常業務以外のイレギュラー対応が出来ていないのではないかと言う趣旨の答弁をしております。
そして、こうしたことが組織として出来ていないことは結果的には犯罪になるのではないかという視点で捜査していると回答しています。
引用開始。

○田渕委員 取調べ中に、四人なら四人に対して、ちょっと感じた点だけあなたに伺つておけばよろしいのです。
○大津証人 私の感じとして、主観的な考えを申し上げるのにはあまり材料がないのでありますが、・・・中略、・・・・総合した角度から申すならば、一応鉄道の訓練目標が通常の業務関係の程度に行われているんじやないか、非常措置については少くとも欠けていたのではないか。たとえばDコツクを運転士と検車掛だけは知っておったが、駅側のものはだれも知らぬ。車掌を教養する者も知らない。これは私直接に聞いたんでありますが、運送長か何か、いわゆる、​​Dコツクというのは車輌を検修するために教えているのであるというようなことも申しておりました。ところが、あれを使うことによって、非常時における人命の救助になるということは教えてない。それがこういう事故を起した状況なんですが、そこで私の方では実は鉄道側に要求しておりますところの、職員の教養、訓練の状況という問題についての資料を実は待つているわけであります。実はそういうことが本件事故に対する重大なる環境のキー・ポイントであります。そういう環境下に置かれた職員が本件事故を起したということになるならば、これは本人にとつて一つの犯情になるわけであります。​​そういう角度から私たちは今の御質問のことを十分に調査したいと思つておりますが、今のところは、個々の

人から見たところでは、どうも事故に対処した、即応した措置をとり得る訓練が欠けておるのではないかという感じがするのであります。

引用終わり

ここで書いていますように、肝心の装置があることを知っていてもそれを使う方法を教えていないことが問題であると指摘しており、これは国鉄に限らず、縦割り組織によく見られる弊害と言えそうです。
そうした縦割り行政の結果、運転士はDコックの存在を知らず、ドアを開放することが出来なかったわけで、結果的に多くの乗客を見殺しにしたことになります。
(余談ですが、Dコックは事故前から車外及び車内に設置されていたのですが、その存在は知らされて居らず、検査掛などが作業で使用するものという認識でした、当然車掌も知らされていなかったわけですので、ドアコックを操作して救助すると言ったことが行われることはありませんでした)


更には、電気の工手長と信号係の連携も上手く行っていないのも、重要な問題であり、主張は真っ向から食い違っています。作業途中に何らかのミスで架線切断したりというのは常時起こるものではないとしても、その際の連絡復旧体制などが出来ていなかったと言うことになります。
その後、基本的に営業運転中の活線作業は行わないなどの対応が取られたようですが、それまでは、そうした点での整備が行われてこなかったことに驚かされます。
更に、当時の国鉄にはセクション意識が強くて、部署が違うと全く意思疎通が出来ない、そんな状況でしたので、信号所に行って互いにちぐはぐな対応をすることとなるわけで、電気区に直接工手長が連絡しても良かったのではないかと言うのも当時では難しのではないでしょうか。
更に、遠隔で監視している変電所側で異常電圧を検知できたのではないかという発言をしがちですが、当時の技術では、正直事故電流を判断するのは難しかったのです。

更に、再度質問が入るのですが、この質問では、いくら立派な電車を作ってその電車を動かすのは人間であること、組織も中に入る人間がしっかりしないとダメだと検事は証言しています。
*********************以下、国会審議議事録*************************

○田渕委員 取調べ中に、四人なら四人に対して、ちょっと感じた点だけあなたに伺つておけばよろしいのです。
○大津証人 私の感じとして、主観的な考えを申し上げるのにはあまり材料がないのでありますが、ただ事の結果から判断いたしまして、当時の事故の関係者の措置等から考えまして、総合した角度から申すならば、一応鉄道の訓練目標が通常の業務関係の程度に行われているんじやないか、非常措置については少くとも欠けていたのではないか。たとえばDコツクを運転士と検車掛だけは知っておったが、駅側のものはだれも知らぬ。車掌を教養する者も知らない。これは私直接に聞いたんでありますが、運送長か何か、いわゆる、Dコツクというのは車輌を検修するために教えているのであるというようなことも申しておりました。ところが、あれを使うことによって、非常時における人命の救助になるということは教えてない。それがこういう事故を起した状況なんですが、そこで私の方では実は鉄道側に要求しておりますところの、職員の教養、訓練の状況という問題についての資料を実は待つているわけであります。実はそういうことが本件事故に対する重大なる環境のキー・ポイントであります。そういう環境下に置かれた職員が本件事故を起したということになるならば、これは本人にとつて一つの犯情になるわけであります。そういう角度から私たちは今の御質問のことを十分に調査したいと思つておりますが、今のところは、個々の人から見たところでは、どうも事故に対処した、即応した措置をとり得る訓練が欠けておるのではないかという感じがするのであります。総合したものはまだ請求しております。
○田渕委員 私は立法府から捜査を依頼されているこのことに対して、別に干渉がましいことは申し上げないのでありますが、六・三型(モハ63形電車)がどうだとか、機構が技術的にどうだとかいうような問題よりも、少くともいかなるりつぱな電車をこしらえても、機械を与えても、人間の魂の入つていない者に使わしたらゼロです。これが主でなければならぬと思うのであります。少くともそういう材料をわれわれに提供できるように、これからももしまた調べられましたならば、そういう点に重点を置かれていただきたいと思います。きのうは時間がなかつたので、証人二人について十分の尋問をし、そこまでつかめなかつたのでありますが、私らはそういうものをつかんで――今日まであらゆる大きな鉄道の事故があつた場合、これを国会が取上げたのに、今度ほど重大な関心を持つたことはない。先ほど佐々木委員が申した通り、わずか一分か二分で適当な措置を講じておればこういう大惨事は起きなかつた。結局人間が無能なやつであつたからこういうことになった。こういう問題を追究して行くと、人間の訓練の方法になると思うのであります。こういうような意味で、人的な方面から、機構の方も参考になるような点をお取調べを願えば当然発見されるその材料を提供していただきたい。またわれわれ悪くなった方々の霊が安んずるように、将来未然に災害防止になるために国会もやっておるのですから、あらゆる角度からお取調べはありましようが――そういう意味において、私はいかなるりつぱな国会であつても、議員がしつかりしていなければ日本の国会は何にもならぬと同じことです。いかに検察庁がしつかりしていても、中にいる検事がほんとうに魂の入つた人間でなければ検察庁は何にもならぬのであります。われわれは電車ももちろん完全なことを要望いたしますけれども、その前に人間の魂、こういう点をつかみたいと思います。簡単にお取調べの参考に願つておきたいと思います。
○大津証人 物的、人的の問題につきまして、できるだけ環境を調べたいと思います。
○島田委員長代理 加藤君に申し上げますが、盡食までにもう一人やることになっておりますので……。






最終更新日  2023.08.19 00:06:06
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