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PIC18Fシリーズのコンフィグレーション設定について

出張やら論文書きやらでしばらく忙しかったので、ちっとも更新しませんでした。今日はコンフィグレーションの設定について書きます。コンフィグレーションの設定でつまづいて、PICが動かなかったというのはよく耳にする話です。私自身もよくわかっていなかったので、まとめてみました。PICのコンフィグレーション設定について今回はPICのコンフィグレーションの設定についてです。MPLAB C18 Cコンパイラにおいて、コンフィグレーションの設定は以下のように記述します。#pragma config xxxxx yyyyxxxxxには設定したい機能、yyyyには設定したい値が入ります。コンフィグレーションの指定のしかたはコンパイラによって異なりますので、お使いのコンパイラがMPLAB C18 Cコンパイラではない方は別途ご確認ください。（近々HI-TECH Cコンパイラでの設定方法もご紹介します。）さて、設定のやり方は以上ですが、xxxxxとyyyyに何を入れれば良いのか分からないと思います。そんな時どのようにして調べればよいかご紹介します。Microchip社はPIC18 Configuration Setting Addendumという資料を公開しています。この資料はMPLAB C18 Cコンパイラにおいて、各デバイスごとに設定できる項目と、設定すべき値についての説明が記載されています。ただし、PIC18 Configuration Setting Addendumは2006年に改定されており、2005年版とは異なる部分がある模様です。2005年版にしたがって設定するとコンパイルエラーを起こす可能性がありますのでご注意ください。（2006年版でコンパイルエラーを起こす場合は、コンパイラのほうが古い可能性があります。無料版(LITE)をご使用の方は最新版に更新してください。）さて、現在私が使っているPIC18F2550での設定について見ていきましょう。// USB関連#pragma config PLLDIV = 5//振動子 20 MHz 使用時は 5 その他の周波数はデータシートを参照してください#pragma config USBDIV = 2//振動子 20 MHz 使用時は 2 その他の周波数はデータシートを参照してください#pragma config VREGEN = ON//USB通信のための電圧を出力するレギュレーターをONにする// CPUクロック#pragma config FOSC = HSPLL_HS//外付けのセラロックまたはクリスタルを使用。#pragma config CPUDIV = OSC1_PLL2//CPUのクロック周波数を決める。この場合は96/2=48 MHz// リセット関連#pragma config FCMEN = OFF//Fail-safe Clock Monitor //何らかの事故で外部クロックが遮断された場合、内部クロックに自動的に切り替わる#pragma config IESO = OFF//外部クロックが安定するまで内部クロックで動作する。//外部クロックへの切り替えは自動的に行う。#pragma config PWRT = ON//パワーアップタイマ。電源投入から電圧が上がりきるまでの間ウエイトを入れる。#pragma config BOR = ON//ブラウンアウトリセット。電源電圧がある値まで降下した場合、リセットをかける。#pragma config BORV = 1//ブラウンアウトリセットをかける電圧。//ここで指定した電圧を下回るとリセットがかかる。//1は4.3Vに相当する。#pragma config MCLRE = ON//MCLR端子を使って、外部からリセットを掛けられるようにする。// ウォッチドッグタイマ関連#pragma config WDT = OFF//ウォッチドッグタイマを有効にする。//使わないならOFFにしないと自動的にリセットがかかり、マイコンが動かなくなります。//デフォルトはOFFのはずですが、PICが動かない場合はこれをOFFにすると動き出すかもしれません。#pragma config WDTPS = 32//ウォッチドッグタイマの周期を指定します。//デフォルトは4msです。この場合、32倍の周期、すなわち128msの周期に設定します。//設定できる値は1から32768までの、2のn乗となる値です。//ここで指定した周期以内にClrWdt()を実行しないとリセットされます。// その他(LVP以外デフォルトのままでよいと思います)#pragma config LPT1OSC = OFF//Timer1を低消費電力で動かすかどうか。//低消費電力の場合は外部からのノイズの影響を受けやすくなる。#pragma config PBADEN = OFF//PORTBの0から4をA/Dとして使うか、汎用IOとして使うか。//ONの場合、リセット時に自動的にA/Dになる。//もちろんADCON0レジスタを使って設定してもよい。#pragma config CCP2MX = OFF//CCP2のピンをどこに割り当てるか決める。//OFFならRB3、ONならRC1に割り当てられる。#pragma config STVREN = ON//スタックオーバーフローが発生した場合リセットをかける。//デフォルトではONです。ONのままでよいでしょう。#pragma config LVP = OFF//PICに書き込むときに低電圧でもできるようにする。通常はOFFにしておくとよいでしょう。//ONにした場合、RB5(PGM)をHighにしておかなければならない模様です。//ONにしなくても書き込みはできます。//書き込み時に12Vの電圧がかからないので安全というだけです。//デフォルトはONです。使わないならば必ずOFFにする記述をしてください。//記述しないとONのままになり、動きません。#pragma config ICPRT = OFF//44pinのTQFPパッケージのみにあるICPORTピンを使用するかしないかを決めます。//2550では使いません。 #pragma config XINST = OFF//メモリアクセスの拡張機能を使うかどうかを設定します。//難解ゆえ私は使ったことがありませんのでOFFにしています。//ホビー用途で使用することはないでしょう。#pragma config DEBUG = OFF//オンボードデバッグをする場合はONにします。//オンボードデバッグについては後日ご紹介します。このほかにコードプロテクションという、外部から内容を読まれないように保護する設定をするコンフィグレーションがありますが、ホビー用途で使用することはまずないでしょう。製品に組み込むプロの方は十分ご承知でしょうから、ここでは省略します。本日ご紹介しました内容はPIC18F2550のものです。お使いの品種により内容は異なりますので、PIC18 Configuration Setting Addendum ならびにデータシートをご確認の上で、設定してください。

タイマの遅れ(2)

前回前回、PICのタイマは遅れがあることを紹介しました。割り込みの間隔を短くしていくと、どんどん設定値から離れていきます。さて、前回と同様にタイマの割り込みがあると出力をトグルするように設定し、割り込みの周期を実測してみました。設定した割り込みまでのカウント数と実際に割り込みが入るまでの時間を測りました。カウント　　　　　割り込み発生周期（μs）120以下　　　　　23.33130　　　　　　　　23.585 140　　　　　　　　24.415 150　　　　　　　　25.245 160　　　　　　　　26.075 23.33μs　以下の周期にすることはできませんでした。これを補正するには、どのようにすればいいでしょうか。 130カウント以上する場合は、10カウントごとに0.83μs周期が長くなっています。これは前回計算した通りです。（48MHzのクロック周波数の場合、1カウントは約0.083μs）130カウントしたとき、仮に計算通りなら10.833μsです。実測値が23.585μsであることから、その差は　23.585 - 10.833 ≒ 12.75となります。120カウント以下ではタイマがうまく働かないことから、130カウント以上で動作させることにして、補正する式を作ってみます。実際の割り込み周期　＝　計算上の割り込み周期　ー　12.75μs （割り込み周期の計算は前回の記事をご覧ください。）これで一件落着かと思いきや、そうではありません。これに発振子の誤差が加わります。発振子の誤差は個体ごとに異なる上、温度によっても変動するため補正は難しいです。（部品ごとに固有の発振周波数偏差はある程度補正できるかもしれません。）発振子の誤差も気になる場合は、精度のよい水晶発振子を使うようにするといいでしょう。まとめ・PICのタイマ割り込みは周期を短くすると設定値と乖離する・割り込み周期にはこれ以上短くできない限界がある・実測して補正すれば、ある程度は所望の周期を得ることができる・発振子の誤差も考慮に入れる場合は別問題

PIC関連書籍

PICをこれからはじめようという方に、おすすめできる本をご紹介します。一応楽天会員なので、楽天ブックスからご紹介しますが、大きめの書店なら取り扱っていますし、Amazonでもいいと思います。【送料無料】電子工作のためのPIC　18F本格活用ガイド改訂版 [ 後閑哲也 ]価格：3,570円（税込、送料別） PIC18Fシリーズの教科書はこれで決まりでしょう。無料で入手できるCコンパイラであるMPLAB C18 Cコンパイラの解説もあります。かつてはPIC16Fシリーズから入門すると良いとされていましたが、僕は18Fシリーズから始めても問題ないと思います。【送料無料】PICで楽しむUSB機器自作のすすめ改訂新版 [ 後閑哲也 ]価格：3,360円（税込、送料別） PICを使ってUSB機器を自作したい方は、入門書としておすすめの一冊です。後閑先生の本はわかりやすいです。他のPICの本も何冊か読みましたが、後閑先生の本が一番です。他にもこれは良いと思った本があったらまたご紹介します。

タイマの遅れ(1)

PIC18F2550を使って、簡単な実験用の回路を作っています。タイマの遅れに悩まされています。タイマを使って任意のインターバル時間を作りたいのですが、どうもうまくいきません。PICの解説をしている教科書なんかには次のように書かれています。必要なカウンタ値　＝　欲しいインターバル時間／（CPUクロックの周期×４） (1)CPUのクロックが48 MHzだとしましょう。クロックの周期は0.02083μsecです。欲しいインターバル時間を4msecとすれば、必要なカウンタ値は、式(1)よりカウンタ値　＝　4000／(0.02083×4) ≒　48000 (2)となり、おおむね48000カウントすればよいことになります。（計算するとわかりますが、48000カウントはほぼぴったり4msecとなります。）48000カウントおきに割り込みを発生させるためには、どのようにすればよいでしょうか。PICのタイマ割り込みは、カウントアップしていって、オーバーフローした時に発生します。0xFFFF(65535)から1カウントすると、オーバーフローします。つまり、65536カウント目で割り込みが発生しますので、そこから逆算してカウンタにセットする値を決めます。カウンタにはユーザーが任意の値を書き込むことができます。C18 Cコンパイラーでは WriteTimer1(0x1234)という風に書きます。48000カウントさせるためには、65536 - 48000 = 17536　をセットすればよいことになります。17536は0x4480です。こんなコードを書いて、割り込みを発生させました。#pragma interrupt YourHighPriorityISRCode void YourHighPriorityISRCode() { PIR1bits.TMR1IF = 0; //割り込みフラグをクリア LATCbits.LATC2 = !LATCbits.LATC2; //RC2の出力をトグル WriteTimer1(0x4480); //カウンタに0x4480をセット }48000カウントおきに出力をトグル(HIGHとLOWを反転)させるだけです。出力をオシロで見てみると、問題なく4 msおきにトグルしているようです。遅れは約 5 μsecあるようです。では、10倍のスピードにしてみるとどうでしょうか。0.4 ms(400 μsec)おきにトグルさせるには、4800カウントさせればいいはずです。すると割り込みの周期が411.8 μsecとなっており、11.8 μsec遅れています。計算上の値より3%近く遅れており、セラロックの精度が0.5 %であることから、クロックの精度は犯人ではありません。さらに10倍の 40 μsecおきにトグルするように設定しました。(480カウントさせればいいはずです)すると割り込みの周期は 52.48 μsecとなり、12 μsec以上遅れています。12 μsecはおよそ144カウントにも相当します。このような現象が起こるのは、タイマのカウンタをセットするのに時間がかかっているからだと考えられます。つまり WriteTimer1(0x4480);という1行だけで10μsec以上の時間がかかっているわけです。100命令以上時間がかかるというのは予想外でした。つづく