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カテゴリ:(小説)『天空の黒 大地の白』
「皆さん、明けましておめでとう御座います!本日、作者に代わってご挨拶させていただきます、俺はレオンハルトです!」 「はっぴぃ~」 「最近はまったり更新のブログと連載も、足を運んでくださる皆さんのおかげで続けてこれました。今後とも、俺とレティシア様の未来を見守って下さいね。そして、皆さんに今年一年、あふれんばかりの幸福が訪れますように!」 「監獄から~ハッピ~ニューイヤぁ~~」 「ん?人聞きの悪い歌をうたっているのは、ユベールさんですか。」 「やぁ、レオ。作者が更新をサボったせいで、僕は公爵に捕らわれたまま年越しなんだ。」 「説明どうも。確かに状況よくないまま放置っすね。」 「去年はイタリアの戦場だったし。レティシア様とお正月をラブラブに過ごしたのは何年前か、遠い昔に思えるよ。でも、めげない。」 「その意気です。俺も応援してますよ!では、ここでユベールさんのためにも、本編の続きをどうぞ!」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 司教領とフライハルトの王都を結ぶ街道は、かつてない緊張に包まれていた。 ジークムント公の召喚に、ついにグストーが応じたのである。 宰相を乗せた馬車には一個大隊規模の護衛兵がつき従い、北上して大聖堂を目指した。 グストー自身に正規軍の統帥権はない。 彼を守護するのは、女王の側近クロイツァー兄弟やレオンハルトが奔走して集めた私兵、とりわけブランシュ家ゆかりの者たちであった。 「マスター、くれぐれも気をつけてください。」 悪路を走り続ける馬車に揺られながら、レオは主人に忠告した。 「公爵の取り巻き連中も、いざとなればレティシア陛下に手を下すのは躊躇(ためら)うはず。でも外国人のマスターには容赦しません。」 「分かっている。案ずるな。」 腕を組み、背もたれに頭を預けていたグストーは、鋭い茶褐色の瞳を窓の外に向けた。 もうじき目的の街を囲む外壁が、視界に映り始める頃だろう。 「レオ、馬車を止めろ。」 グストーは静かに命ずると、扉を開けて外に降り立った。 衛兵の間を通り抜け一行の先頭まで移動すると、彼はそこでじっと佇(たたず)んだ。 強い南風に吹かれ、沈黙している宰相を兵士達は怪訝そうにうかがう。 遠方に二つの黒い点が現れ、100ヤード(約91.5メートル)ほどの位置で停止すると、一つが再び街の方角へと消えた。 「あれは・・・公爵の斥候兵?」 レオの呟きに、グストーは頷く。 「だろうな。さて、我々はじっくり待つとしよう。後は内側の連中が上手くやるのを見届けるのみだ。」 庁舎の三階。 その一室に軟禁の身となったユベールは、中央広場と目抜き通りを行きかう人々の流れを窓越しに見つめていた。 街の中心部を固めていた二個中隊ほどの兵士達が、慌ただしく通りを下っていく。 グストーが武装した大隊を率い、外郭沿いに待機させたという一報が伝わり、警備の手が街の南側に集中し始めていた。 (ようやく動き出したようだ・・・。) ユベールの瞳が、野生の駿馬のような慎重さと鋭敏さに輝きを増す。 廊下に続く唯一の扉に耳を当て、人の気配が近くにないことを確かめると、彼は愛用の外套(これは持ち込みを許された数少ない所持品だが)を手早く着こんだ。 やがて、窓の外にするすると一本のロープが降りてきた。 続いて音もなく、麻色の長衣に身を包んだ人影が現れる。 グストーの忠臣、ギィ・フェルディナン・オービニエ。 幽鬼は庁舎の屋上からロープを垂らし、それを巻きつけ体を支えているらしい。 構造上、下側5分の1程しか開かない窓は人の出入りは不可能だが、会話は十分できる。 「オービニエ殿、陛下のご様子は?貴殿に従って抵抗もせず捕らえられたが、こうも時間が経っては・・・」 「心配はご無用。まだ持ちこたえている。」 短い返答をしながら、幽鬼は懐から取り出した手製の装置を窓の下枠に取り付けた。 円筒状の物体から導線が伸びている。 「さぁ、窓から離れて。壁際で身を伏せられよ。」 幽鬼はまたたく間に屋根へ登ってユベールの視界から姿を消す。 彼の言葉通りにユベールが体勢を整え、その数秒後・・・・ 耳を聾するような爆音と共に窓枠がはじけ飛び、砕けた木片とガラスが光を反射しながら宙に舞い散った。 氷のかけらが飛び散るように、破砕されたガラスが真白に輝きながら地面に降りそそぐ。 粉塵が薄らぐ頃、既にユベールはギィと共に庁舎の屋上にいた。 「こちらへ。後に続いて。」 幽鬼の先導を受けるが、ゴシック式の急な傾斜がついた屋根は足場が良いとは言えない。 朝から吹き付ける強風に煽られないよう、身を低く保ちながら建物の西側へと移動する。 爆発のあった箇所では、衛兵たちが騒ぎ出している。 だが、庁舎の警鐘が鳴ることはなかった。 爆破に前後して、さらに大きな混乱が各所で生じていたためだ。 まず街の南門の格子扉が落とされ、王都へ続く主要街道との通行が遮断された。 さらには東、西・・・・司教領は内側から封鎖されようとしていた。 そして一連の動きを、今すべて掌握しているのは幽鬼だったのである。 彼は庁舎の屋上を歩いて移動できる先端まで行き着くと、無表情なままユベールに命じた。 「ここから下へ。」 「ここから?」 見下ろすと庁舎の壁際に、小型の荷馬車が停まっている。 だが台を覆う幌が衝撃を和らげてくれるとはいえ、ゆうに60フィート(約18m)はある高さから飛び降りるのは並ではない。 「貴殿なら恐らく出来ると聞きましたが。」 「一体、誰がそんなこと。」 「女王が。」 「・・・・・。」 レティシアへの悪態を小さく呟き、コートのベルトをきつく締めると、ユベールは屋上から身を躍らせた。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「う~ん、なるほど。ユベールさん、良かったっすねぇ、脱出できそうで!って、もういない。相変わらず、すばしっこいね。ところでギィって誰・・・まぁいいか。俺もマスターの所へ戻ります。では、次の更新でお会いしましょうっ!」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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