カテゴリ:天文
新年早々、トライバーティノフマスクの作製三昧のカッター作業でしたが、どうも忘れ物をした感じが続いていました。その理由は、作製したトライバーティノフマスクの出来が悪すぎたのです。性能は定かではありませんが、下の写真を拡大していただければ分かりますが、カッターでの切断部分に紙由来の糸くずのようなものが付着して除去できません。
スッキリしたバーティノフマスクを作製すべく、マスク素材を探して、トライバーティノフだけでなく普通のバーティノフマスクも作製してみました。また、MAK127鏡筒を使って、光条スパイク像も撮影してみました。 ![]() 今回の内容は、以下のとおりです。 1.続・バーティノフマスクの作製 2.各種鏡筒用のバーティノフマスク描画パラメーター 3.バーティノフマスクの違いによる光条スパイク像の比較 4.光条スパイク像の比較とバーティノフマスクの作製動画 長い内容なので、今回の結論だけを先に記しておきます。 1.マスクの素材は、百均のクリアファイルの表紙がベスト。素材は、0.5㎜厚のポリプロ。 2.超音波カッターは硬い0.5㎜厚の塩ビシートを軽く切断可能。 3.フォーカスのためのマスクは、普通のバーティノフマスクがベストである。 4.トライバーティノフマスクは、光条が複雑で合わせ辛い。 5.Bahtinov factor を大きくする(細かい目)と、光条が細く長くなるが、余り変わらない。 6.MAK127のフォーカサーは、いくら回転させても移動しないことが多くある。主に、回転を逆にした時。シュミットに故障ではないかと問い合わせたら、そういうものだと言う回答でした。 7.バーティノフマスクを使うジャストピントは、効果が大きいと実感した。 1.続・バーティノフマスクの作製 紙や糸くずの出ないマスク素材は、もうプラスチックしかありません。大きいホームセンターに行き素材を探しまくりました。そして見つけたのは、テカリの無い0.5㎜厚の塩ビシート、クリアファイルの表紙(後で、0.5㎜厚のPPシートと判明)。シートを固定し、鏡筒とフィットさせるためのボード材料としては、5㎜厚の発泡ポリスチレン・ボードが見つかりました。 ![]() ボードとしては、下の写真にあるものと同等の0.5㎜厚発泡ポリスチレンボードを使いました。百均のカラーボードと同じようでしたが、こちらのものの方が目が細かくて作業がしやすかった感じがしました。 ![]() バーティノフマスクの描画用アプリは、バーティノマスク・ジェネレータという以下の3つのウェブアプリがあります。作製したいマスクの外径や内径、ステムの細かさ(Bahtinov factor)などを入力します。 Bahtinov mask https://satakagi.github.io/tribahtinovWebApps/Bahtinov.html Tri-Bahtinov mask (Original版) https://satakagi.github.io/tribahtinovWebApps/Tri-Bahtinov.html Tri-Bahtonov mask (2nd modified版) https://satakagi.github.io/tribahtinovWebApps/Tri-Bahtinov_symmetric.html 上のウェブアプリで作成した形状を、svgファイルとしてダウンロードし、IllustratorあるいはInkscapeなどでプリントアウトしたマスクの紙を、シートあるいはボードに貼り付けます。貼り付けたら、カッターによる冗長な作業の開始です。 前回は、普通のカッターで作業したため疲れました。今回は、ヤフオクで超音波カッターがレンタルに出されていたので使ってみました。3泊4日で1,000円+運送料と格安でした。替刃やトルク・レンチなどもキチンと揃っていました。お薦めです。 超音波カッターを使って分かったことは、 1.硬い紙も軽く切断できる。しかし切断面の紙屑は無くなることはない。 2.0.5㎜厚の塩ビシートが軽く切断可能。 3.1㎜厚のPPシートは、超音波カッターでも何故か切断不可能だった。 クリアファイルの表紙、0.5㎜厚のPPシートですが、テカリもなく、マスク素材としてはベストでした。普通のカッターでも簡単に切れます。 ![]() ![]() バーティノフマスクは、2通りの型を作りました。 1.鏡筒カバー型:レンズカバーのように鏡筒の先っぽに被せるマスク。 2.鏡筒挿入型:鏡筒の先に入れ込むタイプのマスク。シュミットカセグレン用。 マスクとなるシートと、カバー部品となる5㎜厚のボードをカットし終えた写真が、下の写真です。ボードの方は、鏡筒にスッキリと入るようにカッターで微調整します。 10㎜厚のボード1枚でカバーを作製したこともありますが、OKです。ただカッターのくり抜き作業中に手前側と向こう側の口径に差が出やすくなるので要注意です。 マスクのシートとカバーとなるボードを接着剤で固定すれば、晴れて出来上がりです。 一方、Edge HD800をはじめとするシュミットカセグレンの場合、鏡筒の先にマスクをはめ込むことが可能です。 マスクのシートだけでは軟弱なので、5㎜厚のボードで骨格を作製しました。 マスクと骨格のボードを接着すれば鏡筒挿入型バーティノフマスクの完成です。 上の二つの方法で作製したカメラレンズと屈折鏡筒用のバーティノフマスク達が下の写真です。それぞれ普通とトライの2通りのバーティノフマスクを作製しました。まだ入荷できていないAskar fra400用も作製しました。 MAK127用には、光条スパイクの撮影用のために、3種類のバーティノフマスクと、Bahtinov factorを変えたものの計4種類のものを作製しました。 BKP150とEdge HD800用へも多くのマスクを作製しました。 2.各種鏡筒用のバーティノフマスク描画パラメーター 普通のバーティノフマスク用のウェブアプリも新たにWebに出てきました。折角作製しましたので、自分が描画したジェネレータのスクリーンショットを載せておきます。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 3. バーティノフマスクの違いによる光条スパイク像の比較 バーティノフマスクの種類、Bahtinov factorの違いによる光条スパイク像の比較を行ってみました。スパイク像の比較は、次の機材を用いて行いました。 1.鏡筒:SkyWatcher社、MAK127 2.カメラ:ASi294MC Pro 3.明るい星:250μmのピンホールLEDランプ(人工星)Amazonにあり。 4.光条スパイクの撮影アプリ:ZWO社 AsiCap 5.フォーカサー:電動フォーカスモーター 6.鏡筒と人工星との距離:約10m ![]() 結果は以下のとおりでした。 普通のバーティノフマスクは、切れの良いスパイク像が出ます。フォーカスを合わせるには最適だと感じました。 ![]() 次は、トライバーティノフマスクで、目が少し粗い(Bahtinov factor=150)です。思ったより光条スパイクは少なめでした。フォーカスを合わせるためには微妙な感じです。 ![]() 次は、上のBahtinov factorを150から220にして、目を細かくしたトライバーティノフマスクマスクです。150よりもスパイクが長くなっていますが、そんなに違いはありません。意外と目の大まかなマスクでも良いということと、目を細かくしてもメリットは大きくないということが判明しました。 ![]() 次は、2nd Modified トライバーティノフマスクです。期待していましたが、サブのスパイクが見えづらく、通常では使いたくないなという印象でした。 ![]() 最終的には、普通が一番 ということがわかりました。 4.光条スパイク像の比較とバーティノフマスクの作製動画 今回のバーティノフマスクによる光条スパイク像の撮影と、工作風景を動画にまとめました。下の写真をクリックしますと動画へ移動します。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 7, 2021 09:57:07 PM
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