カテゴリ:天文
1.ASiair Proを使わずにASiairでライブスタックは出来ないのか
本年の3月から4月にかけては、ずっとM42のライブスタックを行ってきました。鏡筒は、最初はVixen SD81sから始め、Tamron 150-600mm ズームレンズ、EF 200mm F2.8L などを使って楽しんでいました。ライブスタックのソフトウェアは、SharpCapは使わないので、ずっとASiStudioの中にある、ASiLiveを使いました。 ASiairのGoToとPlate Solving機能は秀逸で、極軸がラフであっても簡単にターゲットを捉えることが出来ます。ライブスタックを実行するには、本来ならばASiair Proを使わなくてはならないのでしょうが、これまでずっとASiairを使っていたので、今さらProを使うのははばかっていました。ライブスタックのターゲットを捉えて、メインカメラのUSBケーブルをPCに繋ぎ変えて、PC上のASiLiveを使ってライブスタックを実行するわけです。 PCはCore i5のフルハイビジョンではないノートPCを使っていますが、美しく見たい場合は、フルハイビジョンのモニターをHDMIケーブルでつなげば迫力満点に楽しむことが可能になります。 2.使用した機材 使用した機材、そして方法は下のとおりです。今回は、Tamronのズームレンズを使用したライブスタックについて記します。尚、オートガイドはライブスタックでは必須ではありませんが、長時間露光ライブスタックに備えて訓練の意味も含めて実行しています。 空の様子、シーイングはやっと一等星が肉眼でみえるくらいの最悪の状況で、しかもライブスタックの対象にしたM42は西空の低い位置にある悪条件でした。フィルターは、光害フィルターを使用しています。 ・鏡筒:Tamron 150-600mm G2 ズームレンズ ・ガイド鏡:100mm Cマウントレンズ ・赤道儀:Vixen GP2(OnStep Althiba 改造) ・主カメラ:ASi294MC Pro(Kenko Astro LPR Type2 フィルター装着) ・ガイドカメラ:ASi120MM mini ・ダミーカメラ:ASi224MC ・オートガイド:ライブスタックには不要だが将来のために実施 ・焦点合わせ:バーティノフ・マスク使用 ・極軸合わせ:なし(北に向け、北緯は35.5度) ・導入:ASiairあるいはASiair Pro内の Plate solving機能 3.ASiairとASiLiveを組み合わせたライブスタック ASiairを使ってライブスタックを実行した鏡筒、ガイド鏡のマウントへの配置は下の写真のように行いました。固定する方法は、ズームレンズを固定するダブテールの前側にクランプでファインダー台座を3個固定したプレートを直角に固定する方法を採用しています。従って、ASiairは、写真のとおり外ケースをファインダー台座と取り付けたケースに換装しています。 ![]() ASiairを使ってライブスタックを実行した経緯を動画にまとめています。下の写真をクリックすると動画へ飛びます。 ![]() 実際のライブスタックは、ASiairに接続されているメインカメラをPCのUSB接続端子に切り替えて、PC上のASiLiveを使って実行しています。その際、ASiairからメインカメラのUSBケーブル接続を切ってしまうと、ASiairアプリも強制終了してしまします。それを避けるために、下の写真のようにダミーカメラ(ここではASi224MC)を準備して、メインカメラのUSB接続を切断する前に、メインカメラをダミーカメラに切り替えておきます。 ![]() 接続を図で示すと、下図のとおりです。メインカメラをASiairと接続して、フォーカシング、Plate Solving、オートガイドを実行します。 ![]() メインカメラの切り替えは、ASiairアプリ上で下記のように実行します。 ![]() メインカメラをダミーカメラに切り替え、メインカメラをPCへ接続した接続図が下図です。 ![]() メインカメラをASiairのUSB接続を切断した際には、ASiairアプリ上では下図のようなメッセージが出現します。 ![]() メインカメラをASiairのUSB接続へ再接続した際には、ASiairアプリ上では下図のようなメッセージが出ます。 ![]() PC上のASiLiveでライブスタックを実行した画面が下の写真です。 ![]() 4.ASiair Proを使うライブスタックとASiLiveとの比較 AsiLiveでのライブスタックとASiair Pro上でのライブスタックはどう違うのか。それを確かめるためにASiair Proでのライブスタックを比較実行してみました。カメラなどの固定は下の写真のとおりです。 ![]() ASiair+ASiLive によるライブスタックと、ASiair Proのライブスタックとの比較についても動画にまとめています。下の写真をクリックすると動画を見ることが出来ます。 ![]() 機材の配置は下の写真のとおりです。 ![]() ASiair Proでのライブスタックが下の写真のとおりです。ヒストグラムの調整がスマホだとやり難い感じがしました。AsiLiveに比べて、画質調整の項目がかなり少ないというディメリットも感じました。ただ、ライブスタックの鮮明度は、ASiLiveと同等でした。 ![]() 同日の同じ空で、PC上のASiLiveで実行したライブスタックが下の写真です。空の状況は最悪状態でした。 ![]() 5.まとめ ・ASiairのメインカメラをダミーカメラに切り替えてPC上のASiLiveで、ASiairの機能を保持したままライブスタックが可能。もちろん、SharpCapでのライブスタックでも可能。 ・ASiair Proでのライブスタックでは、スマホあるいはタブレット上の画質の調整が実行しにくいし、調整項目が極端に少ないディメリットがある。 ・今回の実験では、シーイングが悪く最大10秒露光のライブスタックしか実行できませんでしたが、今後オートガイドの精度を上昇させ30秒、1分以上でのライブスタックに挑戦して、天体観望と撮影の両者を楽しんでゆきたいと思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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