カテゴリ:天文
1.ことの発端
昨年10月、ある天体関連ブログでVixen社がSD81S鏡筒の悪名高い3個の銀箔止めを輪っか止めに改良するアップグレード・キャンペーンの案内を見つけ、早速実行に移しました。これでSD81SIIになったわけです。ファーストライトが2021年を閉めくくる12月31日。これで清々しい気持ちで新年を迎えようとする算段だったわけですが・・・・・ 果たして、ファーストライトは下の写真の通り、明るい星に光条が見られるではありませんか。目を疑いましたが、現実でした。 ![]() 鏡筒:SD81SII、ガイド鏡:Vixen 50㎜ファインダー(f=160㎜)改造、カメラ:ASi294MC Pro(Gain 320)、赤道儀:Althiba3ベルトドライブ化GP2、HDフラットナー+レデューサー(f=500㎜)、ガイドカメラ:ASi120MM Mini, ASiair Pro内アプリ、フィルター:Kenko Astoro LPR Type2 (31.7mm径)、ライブスタック:ASiair Pro内のASiLive、露光時間:120sec、スタック回数:14回 出るはずのない光条が見られて、愕然としました。3個の銀箔止めから発生する光条を消すためのSD81SIIだったのに。 原因さがしの大晦日から正月でした。除夜の鐘を聞きながらの犯人捜しです。気持ちも穏やかではありません。まさかVixenがポカをするわけはないし。 2.光条の犯人捜し ・ASi294MC Proのダークを撮った時の不穏な光条が犯人か? 最近、ライブスタックのためにダークを撮ってみました。すると、下の写真のように光条が出て、不審に思っていました。もしかしたら、これが原因かとも思いました。 ![]() 大晦日の夜、ASi294 Proにフタをして、分厚い布をがんじがらめに巻いてダークを撮り直してみました。そうすると全く同じ光条が見られ、鏡筒などの光漏れではないことが分かりましたので、犯人から除外しました。 ・CMOSカメラに31.7mm径の光害カットフィルターをはめ込んだことが原因か? 光害カットフィルターはCMOSカメラのM42メスねじに、円盤アダプタにネジ込んだ31.7mm径のフィルタを装着しています。 このフィルターの装着により、その上からネジ込むM42ネジを持つ31.7mmスリーブアダプターがCMOSカメラの中に完全には入り込みません。ネジ込みが途中で止まってしまうのです。これが原因であることは充分に考えられます。 しかし、SD81SII鏡筒を使わず、Tamronの150-600mmズームレンズを使っての撮影は、同じようにしてフィルターを装着したCMOSカメラを使っています。光条なんて見たこともありません。 次に、SD81SII鏡筒でライブスタックして自動保存されたFitsファイルを確かめてみました。下の写真のように、何とケラレが見られました。 ![]() 急遽、ズームレンズで同じフィルターを取り付けたCMOSカメラで撮影したFitsファイルを確かめてみるとケラレはありません。 SD81SIIでは、ケラレ、ズームレンズではケラレ無し。CMOSカメラに届く光束の経路がかなり異なっていることが伺えました。 これで、犯人はケラレるフィルターが原因だということで、HDフラットナーの先っぽに52-48mmステップダウンリングを介して48mm径フィルターを装着しました。 そして、正月の夜、同じ対象に鏡筒を向けてライブスタックを行いました。その結果が下の写真です。 ![]() 鏡筒:SD81SII、ガイド鏡:Vixen 50㎜ファインダー(f=160㎜)改造、カメラ:ASi294MC Pro(Gain 320)、赤道儀:Althiba3ベルトドライブ化GP2、HDフラットナー+レデューサー(f=500㎜)、ガイドカメラ:ASi120MM Mini, ASiair Pro内アプリ、フィルター:Kenko Astoro LPR Type2 (48mm径)、ライブスタック:ASiair Pro内のASiLive、露光時間:120sec、スタック回数:20回 3.顛 末 一応、謎の光条は48mm径のフィルターを装着することによって出現しないことが確認でき、胸を撫でおろしました。フィルターが原因ということは確かそうですが、それが光条出現とどのような因果関係があるのか、原因の本質は不明です。 EOSレンズではOKであったアメリカンサイズを装着したCMOSカメラが、天体鏡筒ではNG。そういうこともあることを体験した大晦日から正月でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 8, 2022 03:39:47 PM
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