カテゴリ:天文
1.モノクロカメラとカラーカメラによるNGC2336銀河の撮影
南関東では晴れが続いています。嬉しい悲鳴を挙げています。毎夜、午前様になってしまい体調はいまいちになっています。この季節では、湿度が低く結露の心配をする必要がないのも大変ありがたいことです。 今回は、北極星の近くにあるNGC2336銀河の撮影に挑みました。最初の撮影では、あまりにも淡いので、これは無理だとあきらめかけたターゲットでした。テスト撮影したものを画像処理してみると、意外にも銀河の派手さが浮かび上がるような気もしたので、再挑戦した次第です。 最初の撮影はカラーカメラを使用して撮影しましたが、画像処理してみると銀河の広がりがあまりにも少ないことがわかり、2度目の撮影はモノクロカメラでの撮影を行い、それらをLRGB合成、いわゆるコンポジットしてみることにしました。 1)NGC2336銀河のカラー撮影 鏡筒は口径18㎝、使用した機材や、撮影条件は次の通りです。 ・撮影日時:2024/12/8 ・撮影場所:南関東市街地・自宅庭 ・鏡筒:SkyWatcher SkyMAX180(f=2,700mm) ・カメラ:ASi294MC Pro (Gain: 250, 冷却:-15℃) ・露光時間:360秒 ・赤道儀:ZWO AM5 ・フィルター:2" Kenko ASTRO LPR Type2 ・ガイド:Astro Street社のオフアキシスガイダー ・ガイドカメラ:ASi220MM Mini ・ガイドおよびマウント制御:ASiair Plus 撮影の様子や画像処理は、下の動画にもまとめています。 ![]() 露光時間:6分で撮影した43フレームをスタックし、画像処理したカラー画像は下のとおりです。 ![]() 撮影日:2024/12/8。 撮影地:南関東、自宅庭。鏡筒:SkyWatcher SkyMAX180(f=2,700mm)。マウント:ZWO AM5。カメラ:ASi294MC Pro (Gain: 250、冷却:-15℃)。フィルター:2" Kenko ASTRO LPR Type2。オートガイド:AstroStreet社のオフアキシスガイダー。ガイドカメラ:ASi220MM Mini。360秒露光で合計43コマ(4時間18分)撮影。ダーク:5コマ、フラット:20コマ、バイアス:50コマ。画像処理:43コマのライトフレームをPixInsightで処理(FBPP, ABE,DBE, SPCC, HT, NXT, BXT)。 2)NGC2336銀河のモノクロ撮影 カラー撮影のカメラをASi294MM Proに交換して、同様の撮影を実行しました。露光時間:6分で撮影した59フレームをスタックし、画像処理したカラー画像は下のとおりです。 ![]() 撮影日:2024/12/9, 12/10。 撮影地:南関東、自宅庭。鏡筒:SkyWatcher SkyMAX180(f=2,700mm)。マウント:ZWO AM5。カメラ:ASi294MM Pro (Bin2, Gain: 250、冷却:-15℃)。フィルター:2" Kenko ASTRO LPR Type2。オートガイド:AstroStreet社のオフアキシスガイダー。ガイドカメラ:ASi220MM Mini。360秒露光で合計59コマ(5時間54分)撮影。ダーク:5コマ、フラット:20コマ、バイアス:50コマ。画像処理:59コマのライトフレームをPixInsightで処理(FBPP, ABE,DBE, HT, NXT, BXT)。 モノクロ撮影では、カラー画像に比して銀河の広がりが大きく撮影できました。モノクロ画像をカラー画像とコンポジットすればLRGB合成と同じことができるのではないかと思い、LRGBCombination処理を行いました。 3.LRGBコンポジット カラー画像に銀河の広がりを盛るためにモノクロ画像をLRGBコンビネーション処理を実行してみました。カメラの位置がずれていますので、クロップを余儀なくされました。 ![]() 撮影日:2024/12/8, 12/9, 12/10。 撮影地:南関東、自宅庭。鏡筒:SkyWatcher SkyMAX180(f=2,700mm)。マウント:ZWO AM5。カメラ:ASi294MC Pro (Bin1, Gain: 250、冷却:-15℃)、ASi294MM Pro (Bin2, Gain: 250、冷却:-15℃)。フィルター:2" Kenko ASTRO LPR Type2。オートガイド:AstroStreet社のオフアキシスガイダー。ガイドカメラ:ASi220MM Mini。360秒露光でカラー43コマ、モノクロ59コマ撮影したものをPixInsightのLRGBCombination処理後、DynamicCropにてクロップ。 4.あとがき この3か月間、撮影時に使用していたアンドロイドタブレットとガイドカメラAsi220MM Miniの不調に悩まされていました。 1)アンドロイド端末の不調 ASiair Plusとアンドロイド端末をWiFiで接続する際、下の写真に示す「Enter Device」をタップしますが、何度タップしても接続できない不調です。 ![]() 20秒から30秒後に下の写真のようにエラーメッセージが出るのです。 ![]() この不調のあいだ、原因は端末の不具合であり、そろそろ買い替えの時期かなと思い続けていました。ふと思い立ち、Asiairアプリをクリーンインストールしてみました。すると何事もなかったようにAsiair Plusと端末との接続がスムーズに進行するようになりました。アップデートを繰り返しながら使い続けるとアプリは不具合を引き起こすことを経験しました。 2)ガイドカメラASi220MM Miniの不調 このガイドカメラも以前より接続が切れたりしていましたが、最近オフアキシスガイド時にガイド星がみつかりにくくなっていました。具体的には、ガイド星が見つかった場合、バックグラウンドが急に暗くなって、コントラストが上昇する仕掛けがあるようです。その仕掛けはガイドカメラのシャッターや絞りにあるものと思い込んでいました。 ![]() このところのガイドエラーが生じるときは、下の写真のようにガイド星が明らかに存在してもバックグラウンドが暗くならずに低いコントラストのままでした。 ![]() 信頼のおける天文ショップであるスターベース社の優秀なスタッフに相談したところ、「バックグラウンドが暗くなりコントラストを上昇させる仕掛けはAsiairアプリにある」との教示を受けました。 それでは、Asiairアプリをクリーンインストールしたのだから、オートガイドも元通りになっているかも知れないと、昨夜(2024/12/12)オートガイドの試験をしてみました。すると見事にバックグラウンドが暗くなり、ガイドの立ち上がりがスムーズになりました。撮影の不調はハードウェアにあると思いがちですが、最近の撮影はアプリまかせになっており、そこらあたりに注意を払わなければと再認識しました。 3)Asi120MM MiniはAsi220MM Miniに比して感度がかなり低い 昨夜、重要なことがわかりました。 この2つのガイドカメラは画角が違うのみと思い込んでいましたが、220の不調を120のカメラを比較しながら精査している際、220のカメラで見えているガイド星が120のカメラでは全く見えていない、ことに気付きました。カメラの購入ガイドでは言われていないことです。SkyMAX180を使ってオフアキシスガイドを頻繁に行っていますが、もしもガイドカメラにAsi120MM Miniを使っていれば、ほとんどのケースでガイド星を見つけるのに苦労していただろう、と思うとゾッとしてしまいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
December 13, 2024 07:25:52 PM
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