インテルCPUのQSV性能は世代で進化しているか。 「インテルCPUの世代によるQSV速度比較」
久々にPCの話題です。第2世代のインテルCPUにQSV機能が搭載されて以来、頻繁にQSVを使ってH.264エンコードを行ってきた。その後、インテルCPUは世代が交代してゆき、今は第8世代となっている。我が家のPCも世代交代してゆき、最新のものは第6世代となっている。 今回の話題は、インテルCPUのQSV速度が世代を重ねるごとに進化しているか否かについてであります。第2、第3、第4、第6世代のCPUのQSV速度を測定してみました。第6世代になり、H.265エンコードのQSVも追加されたので、その速度も測定してみました。 試験に用いた動画は、フルハイビジョンで約50分の長さのMPEG2/TS動画である。動画のサイズは、6.67 GB。その他のプロパティを含めて表1にまとめました。 表1 試験に用いた動画のプロパティ動画フォーマットMPEG2/TS解像度1,920x1,080 (16:9)フレームレート29.97 fps動画の長さ49分39秒サイズ6.67 GBビットレート・モードVBRモード平均ビットレート19.2 Mbps最大ビットレート26.2 Mbps エンコード試験の条件は、下の表2に示したとおりである。ソフトはTMPGEnc Video Mastering Works 6 を使用しました。このソフトは、H.264、H.265のハードウェアエンコード(QSV)を容易に使うことが可能です。エンコード条件は、H.264エンコードの場合は、解像度はフルハイビジョンのままで、平均ビットレートを19.2Mbpsから5.0Mbpsに下げる条件である。H.265エンコードの場合は、ビットレートを2.5Mbpsにする条件である。 表2 エンコード試験の条件エンコードアプリTMPGEnc Video Mastering Work 6エンコード・フォーマットH.264 or H.265/MP4解像度1,920x1,080 (16:9)フレームレート29.97 fps動画の長さ49分39秒ビットレート・モードVBRモード平均ビットレート5.0 or 2.5 Mbps最大ビットレート25.0 Mbps 試験に用いた各世代のPCのスペックは、表3のとおりです。 表3 試験に用いたPCの仕様CPUCore/Thread内蔵GPUMemoryCore i7-2600K3.40GHz 4c/8tIntel HD Graphics 30008 GBCore i7-37703.40GHz 4c/8tIntel HD Graphics 400016 GBCore i5-45703.20GHz 4c/4tIntel HD Graphics 46008 GBCore i5-65003.20GHz 4c/4tIntel HD Graphics 5308 GB 各世代のPCの性能の概略を知るためにベンチをとってみました。その結果を表4に記しました。ベンチマークは各世代によって大差はありませんでした。 表4 試験に用いたPCの性能(ベンチ)機 種 Core i7-2600K Core i7-3770 Core i5-4570 Core i5-6500 Mark250,214277,393275,322279,068ALU69,09984,04781,84179,860FPU69,61363,43873,82069,030MEM50,07058,19148,82679,639HDD12,95236,67832,09512,686GDI16,53315,64217,65616,967D2D26,6117,7806,1264,580OGL5,33611,61714,95816,306 エンコード結果を表5に記した。QSVを使用した場合、各世代のCPUは、使用しない場合(softwareエンコード)に比して約3~5倍の高速を示した。H.265エンコードはH.264エンコードに比べてエンコード時間は、約2倍要した。 表5 エンコード速度の結果CPUエンコード方式Software/QSVエンコード時間エンコード速度(fps)Core i7-2600KH.264Software65分26秒22.7QSV19分21秒76.9Core i7-3770H.264Software60分47秒24.5QSV12分37秒118.0Core i5-4570H.264Software107分13秒13.9QSV22分27秒66.3Core i5-6500H.264Software67分45秒22.0QSV16分20秒91.1H.265Software141分09秒10.5QSV28分16秒52.7 「インテルCPUのQSV性能は世代で進化しているか」の疑問に対しての結論は、 1.世代によってQSVによるH.264エンコード速度はたいして進化していない。 2.第2世代よりも第3世代CPUのQSVは進化しているが、それ以降は進化が止まっている。 3.第6世代からのH.265エンコードは、付加価値は高い。QSVによって5倍の高速を示したが、H.264エンコード速度の約1/2の速度である。 以上の結論に達しました。H.264エンコードに限って言えば、第3世代CPU以降、速度的には進化が見られず、PCの更新は必要ないことがわかりました。