クラゲ星雲:IC443 を SD81SIIとL-eXtremeフィルターで撮ってみた
1.クラゲ星雲(IC443) クラゲ星雲は、超新星が終焉を迎えて爆発した残骸であるらしい。Hα輝線を発して赤色に見える。過去には焦点距離の短い鏡筒で撮影したことがありますが、星雲の姿は小さく詳細は良くわからない状態のものでした。星雲の表層がどういう構造しているかを見たくなり、クローズアップ撮影を試みてみました。 撮影は当初、明るい鏡筒であるQuattro150Pで行いました。星雲表層の詳細を良く観察できる撮影ができましたが、何だか不明なものが写りこんでおり、没写真としました。気を取り直して、屈折鏡筒で撮影の再挑戦をしました。屈折鏡筒では変なものも写り込んでおらず、カメラ感度をより高くしたため表層の構造を良く撮影できたようです。 撮影の様子や画像処理などを下の動画にまとめています。 クラゲ星雲:IC443の撮影と画像処理(写真をクリックすると動画へ飛びます) 2.クラゲ星雲:IC443の撮影結果 撮影は、当初 2025/2/6 明るい鏡筒での撮影を行おうとして ニュートン反射のQuattro150P(F 3.45, f=518mm)を使って撮影を行なった。その撮影結果が下の写真。 Quattro150Pで撮ったクラゲ星雲 撮影日:2025/2/6。 撮影地:南関東、自宅庭。鏡筒:SkyWatcher Quattro150P (f=600mm) + 専用レデューサーコマコレクター (Final f=518mm)。マウント:ZWO AM5。カメラ:ASi2600MC Pro (Bin1, Gain: 250、冷却:-15℃)。フィルター:2" オプトロン L-eXtreme。ガイド鏡:SVBony SV165 (f=160mm)。オートガイド:ASiair Plusを使用。ガイドカメラ:ASi120MM Mini。300秒露光で合計42コマ撮影(総露光時間:3時間30分)。ダーク:5コマ、フラット:20コマ、バイアス:50コマ。画像処理:42コマのライトフレームをPixInsightで処理(FBPP, GraXpert, SPCC, HT, BXT, NXT, CT)。 Quattro150Pの撮影では、矢印の箇所に奇妙な縦模様が写り込んでいました。それが光軸調整の不良なのか、フィルターの影響なのか不明です。 そこで屈折鏡筒であるVixenのSD81SII(f=625mm)をSDレデューサーHDキットと組み合わせて(最終焦点距離=500mm)の撮影を実施しました。カメラは、ASi2600MC Proを使いました。感度をより高くするためゲインをマックスの300に上げ、露出時間を480秒、ノイズを少なくするために冷却を -20℃にしました。 クラゲ星雲:IC443の最終画像 撮影日:2025/2/19-20。 撮影地:南関東、自宅庭。鏡筒:Vixen SD81SII (f=600mm) + HDレデューサーキット (Final f=500mm)。マウント:ZWO AM5。カメラ:ASi2600MC Pro (Bin1, Gain: 300、冷却:-20℃)。フィルター:2" オプトロン L-eXtreme。ガイド鏡:SVBony SV165 (f=160mm)。オートガイド:ASiair Plusを使用。ガイドカメラ:ASi120MM Mini。480秒露光で合計54コマ撮影(総露光時間:7時間12分)。ダーク:5コマ、フラット:20コマ、バイアス:50コマ。画像処理:54コマのライトフレームをPixInsightで処理(FBPP, GraXpert, SPCC, HT, BXT, NXT, CT)。 3.あとがき 1)ニュートン反射の撮影が失敗に終わり、久々にVixenのSD81Sの登場となりました。Quattro150Pでの奇妙な縦の棒の出現の原因は不明ですが、もしかしたらL-eXtremeフィルターの影響なのかも知れません。Quattro150PのF値はレデューサーを使っているので 3.45です。フィルターはF2用のものは、F2からF3.3の範囲で使うものとされていますが、今回のフィルターは通常のものなので境界上にあります。【2025/3/8、3/10 追記】 デュアルナローバンドフィルターのL-eXtremeに変えてL-ultimateを使って撮影してみました。撮影当日、最初は透明度ある空でしたが、春先特有のカスミがかかってきて、撮影終盤は月もおぼろ月になる最悪のシーイングでした。やっと15フレームを確保しましたので画像処理してみました。 Quattro150PとL-ultimateフィルターで撮ったクラゲ星雲1 撮影日:2025/3/7。 撮影地:南関東、自宅庭。鏡筒:SkyWatcher Quattro150P (f=600mm) + 専用レデューサーコマコレクター (Final f=518mm)。マウント:ZWO AM5。カメラ:ASi2600MC Pro (Bin1, Gain: 300、冷却:-20℃)。フィルター:2" オプトロン L-ultimate。ガイド鏡:SVBony SV165 (f=160mm)。オートガイド:ASiair Plusを使用。ガイドカメラ:ASi120MM Mini。420秒露光で合計15コマ撮影(総露光時間:1時間45分)。ダーク:なし、フラット:20コマ、バイアス:50コマ。画像処理:15コマのライトフレームをPixInsightで処理(FBPP, GraXpert, SPCC, HT, BXT, NXT, CT)。 上の写真のとおり、L-ultimateフィルターを使うとL-eXtremeフィルターの時出ていた縦の線は出なくなりました。また最も明るい星のスパイダー光条の中心のニジミも大きく出ないことも確認できました。【2025/3/10 追記】 2025/3/9 撮り増しを行ないました。撮り増しは25コマです。ノイズも少しマシになりました。 Quattro150PとL-ultimateフィルターで撮ったクラゲ星雲2 撮影日:2025/3/7, 3/9。 撮影地:南関東、自宅庭。鏡筒:SkyWatcher Quattro150P (f=600mm) + 専用レデューサーコマコレクター (Final f=518mm)。マウント:ZWO AM5。カメラ:ASi2600MC Pro (Bin1, Gain: 300、冷却:-20℃)。フィルター:2" オプトロン L-ultimate。ガイド鏡:SVBony SV165 (f=160mm)。オートガイド:ASiair Plusを使用。ガイドカメラ:ASi120MM Mini。420秒露光で合計40コマ撮影(総露光時間:4時間40分)。ダーク:なし、フラット:20コマ、バイアス:50コマ。画像処理:40コマのライトフレームをPixInsightで処理(FBPP, GraXpert, SPCC, HT, BXT, NXT)。【以上、追記】2)先週は春の陽気で、毎年恒例のスナップエンドウと絹さやエンドウの植え付けを行いました。今週になり、真冬に舞い戻り、猫のマルとコタツで丸くなっています。 理想的に育ったスナップと絹さやの苗 植え付け前にポット苗を二分割 畑へ定植したエンドウの苗 定植したエンドウ豆の苗たち、この寒さを乗り越えることができるでしょうか。ガンバレ!