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世界で一番愛する人と国際結婚

バリのガムランが聞こえる 1

以前の日記に、第三世界の人との恋愛ストーリーを


近いうちに書きますと言ったものの、アップしようかどうしようか、
ずっと迷っていたのです。


でも、何かが見えてくるかもしれないし、せっかくだから
アップすることにしました。






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1993年 冬の終わり。


NYで一人きり。


ついに彼氏なし状態になってしまった私だったが、


夢にまで見たNYでの暮らしは、最高に楽しかった。



私の11階のアパートの小さな窓からは、エンパイアステート
ビルディングが見えた。

刺激的な街を歩いているだけで、うきうきと心が躍った。



一方で、当時、ジュリアーニ前NY市長以前のNYは
とても治安が悪かった。


白昼、ブロードウェイを歩いていると、私の目の前を歩いていた
男性が強盗2人に押さえつけられ、ポケットをナイフで切られて、
お財布を盗られるということもあった。


夜バスに乗ると、気がつくと私以外の乗客は4人全員男性。
その男性達が喧嘩を始め、一人が銃を取り出した。
一般市民が公共で銃を取り出すのは、その時初めてみた。


惨事にはならなかったものの、殴り合いの喧嘩をしている
男性達をバスの運転手が引きずりおろし、
私だけを乗せたバスが走ったこともあった。



夜は、威嚇のために警官が打つ、銃声の音が聞こえてくる。
毎晩、サイレンと銃声を聞きながら眠りについていた。



常に緊張感を保っていなければいけないNYで一人、私はやはり
どこかに心のよりどころを探していた気がする。



ボーイフレンドがいたらな。



その当時は、ほぼ毎週末誰かとデートをしていた。


そんなある日、私のアパートのすぐ側に、アメリカ人が
ボランティアで運営する、インターナショナルセンターという
場所があるのを教えてもらった。


ボランティアの会話パートナーを紹介してくれたり、各種催し物、
パーティがあったり、美術館やシアターが学割よりも安くなる。
すぐ近所だったので、私はわずかな会費を払って会員になってみた。


そのセンターでは、色んな国からやってきた留学生や移民の
友人が大勢できた。


学校で出会った人、センターで出会った人、街で出会った人、


日本人、アメリカ人、台湾人、ベネズエラ人、ペルー人、エジプト人、
インド人、、、、、、


勉強と日本の友人に手紙を書く以外に、その頃の私がNYでやっていた
ことは、様々な国籍の人と、デートをすることだった。
(この場合のデートとは、1対1で付き合う前の段階で、食事をしたり、
お茶をしたりすることです。)



やがて、マンハッタンの短い春がやってきた。



相変わらず特定のボーイフレンドはいなかったが、
友達やデートの相手は大勢おり、
それなりに楽しい毎日を過ごしていた。




そんなある日、インターナショナルセンターで、
一人の男性をよく見かけるようになった。


アジア人に見えるが、かなり背が高くて筋肉質、褐色の肌が眩しかった。


とにかく彼は目立つので、私は彼を見かける度についつい目で
追ってしまっていた気がする。



中東かインド系の人なのかな。

でも、あちらの国の人にありがちな、濃い顔ではない。

正統派美男子でもない。

ちょっとキツイ目をした、和風の顔立ちのブロンズの青年だった。


だが私は元々、大きな丸い目より、切れ長の目を持つ
すっきりした顔の男性のほうが好みである。


一体、どこの国の人だろう。私は彼に興味を持った。


でも、彼と話すチャンスもなく、彼が私に気付くこともなく、
1ヶ月くらいがあっという間に過ぎていったと思う。



ある日、たまたま彼と廊下で二人きりになったことがあった。


私がどうしようかとドギマギしながら、特に用事もないのに
無理矢理廊下に立っていると、

向こうが私に気がついて話しかけてきた。


「コンニチハ。ニホンジン デスカ?」


ナント、日本語だった。


彼は白い歯がきれいにそろって、黒い瞳がキラキラしていた。



つづく


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