お代官と越後屋日記 15第15話 派遣受難2 その2本岡は四国藩に採用になってから3年ほどが経過していた。 通信系のサービスは複雑で進歩も早く 全くの素人であった本岡は苦労したが 最近ようやくそこそこの売上をあげることができだした。 しかしまだ目標金額の1/3程度であった。 ある日、本岡と米岡はお代官と越後屋に呼ばれた。 「本岡さんは今、売上いくらくらいいってんの?」 尾田川の普段のしゃべりはゆったりとして大人しい。 「今はまだ目標の1/3です」 「それは困るなぁ。それではあなたのお給料が出ないでしょう。 このままじゃ、あなたの契約、見直しになりますよ」 「私の受け持っているユーザさんは 小規模な企業さんばかりなので なかなか金額が上がりません。」 実際そうであった。 正社員が売上を諦めたユーザが回ってきているのである。 「ん~売り子さんはそうやって言い訳するんだよね。 やり方が悪いんじゃないかなぁ。」 首を傾げながら今度は米岡に目を向けた。 「米岡さんは今いくら?」 「まだ○○万円です」 米岡は4月に四国藩に採用になったばかりである。 元々、IT系のスキルはあったのだが それでもまだ半年も経っていなかったので 目標の1/10ほどしか実績がなかった。 「毎月大赤字ですね。あなたが社長ならとうの昔に潰れてますよ。こんな厳しい数字じゃ先が無いですよ。」 「ようやくお客様といい関係をつくれだしたところですから 結果が出るにはあともう少し時間がかかります。」 現に米岡は進行中の案件を抱えていた。 「もう半年たったでしょ。あなた、営業に向かないのかもね。 やり方を変えないと・・・」 米岡は思った。 『お代官と一緒に営業に回った事ないのに、なんで私のやり方を解ってるように言うんだろう。』 だが考えますとしか返答のしようがなかった。 そんな面談が月に数度行われた。 通常派遣社員にノルマを課す事はできない。 相当の理由が無ければ契約解除はできないのだが 契約解除を脅しにつかう事は明らかにパワハラである。 しかし尾田川は以前のようにパワハラを繰り返すのだった。 さすがパワハラ大魔王である。 営業支援の派遣社員、元松はしばらくして辞めた。 |