リー・コニッツ 『リー・コニッツ・ウィズ・ウォーン・マーシュ(Lee Konitz with Warne Marsh)』
“くねくね”とした美しさに酔いしれる リー・コニッツ(Lee Konitz)は、1940~50年代、クール・ジャズのムーヴメントに加わり(マイルス・デイヴィス『クールの誕生』にも参加している)、スタン・ケントン楽団への所属経験も持つアルト奏者である。本盤『リー・コニッツ・ウィズ・ウォーン・マーシュ(Lee Konitz with Warne Marsh)』は、1955年に吹き込まれたもので、同じく白人のテナー奏者、ウォーン・マーシュとの共演盤である。 ウォーン・マーシュがアルト奏者と共演した盤と言えば、以前に紹介した『アート・ペッパー・ウィズ・ウォーン・マーシュ』が思い出される。このコニッツ盤(1955年6月録音)は、ペッパー盤(1956年11月録音)よりも1年半近く前に吹き込まれたものである。つまり、白人のアルト&テナー共演という類似の図式としては、既にこのコニッツとの吹き込みが先に終わっており、上記のペッパー盤はいわば“二番煎じ”だったわけだ。言い換えれば、ウォーン・マーシュがアルト奏者と同等に共演するとどうなるかは、本項で取り上げるコニッツ盤から十分に予見できたということになり、その成功はかなりの部分、予想通りのものとなった。 では、先に企画されたこの盤の成功はどこにあるのだろうか。無論、アルト(コニッツ)とテナー(マーシュ)の演奏が冴えているのは事実である。これら白人二人の組み合わせは、同時期の他のミュージシャン(特に大半を占める黒人ジャズ奏者)と比べ、“こしに欠ける”のが特徴と言える。芯の太さや強さみたいなものよりも、くねくねと揺らぎ、曲がりくねるメロディラインと音色が耳につく。この“くねくね感”というのは、別に否定的な意味ではなくて、そこに美しさが表出しているという肯定的な意味においてである。 これら二人のサックスだけが成功の要因かというと、勿論、そうではない。筆者の意見では、ベース(オスカー・ぺティフォード)の寄与するところが非常に大きいと思う。サックス演奏が上記のようにくねくねと揺らぎ、はらはらと舞うかのような演奏を繰り広げる一方で、ベースラインは力強く、安定的で、着実な演奏に終始している。つまりは、この安定感の上でコニッツとマーシュの二人が踊るからこそ、全体としてばらばらにならず、このような美しい演奏にまとまったのだと思う。 ちなみに、本盤は、前半がスタンダード曲、後半が主に自作曲という構成をとっている。レコードだとA面がいいかB面がいいかという議論も起こる曲の配置であり、意識して半分ずつ聴き比べてみるのもいいかもしれない。筆者の好みはと訊かれると、甲乙つけがたくどちらとも決められないでいるのだけれど、前半は緊張感が強く、後半はリラックス感がやや強いように感じる。 [収録曲]1. Topsy2. There Will Never Be Another You3. I Can’t Get Started4. Donna Lee5. Two Not One6. Don’t Squawk7. Ronnie’s Line8. Background MusicLee Konitz (as)Warne Marsh (ts)Sal Mosca (p: 1., 3., 7.を除く)Ronnie Ball (p: 7.のみ)Billy Bauer (g)Oscar Pettiford (b)Kenny Clarke (ds)録音: 1955年6月 【楽天ブックスならいつでも送料無料】JAZZ BEST コレクション 1000::リー・コニッツ・ウィズ・ウォーン・マーシュ [ リー・コニッツ with ウォーン・マーシュ ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓