アート・テイラー 『テイラーズ・ウェイラーズ(Taylor’s Wailers)』
ハードバップ全盛期の、締まりのある名盤 アート・テイラー(Art Taylor)もしくは本名のアーサー・テイラー(Arthur Taylor, より正確にはArthur S. Taylor Jr.)は、米国出身のジャズ・ドラマー。1929年生まれで、1995年に死去している。1940年代末からキャリアを積み重ね、ハードバップの陰の立役者として数多くのセッションでドラムを演奏し続けた。正確な数は知らないが、それこそ何百枚というジャズ・アルバムにおいてドラマーとしてクレジットされている。 そのようなわけで、バド・パウエル、ジョン・コルトレーン、アート・ファーマー、セロニアス・モンク、マイルス・デイヴィスなどと共演し、有名どころのジャズ・アルバムを聴いたことがある人はあちらこちらで彼の演奏を耳にしているわけだけれど、この人自身のリーダー・アルバムはというと、極端に数が少ない。その中で比較的よく知られている盤がこの『テイラーズ・ウェイラーズ(Taylor’s Wailers)』である。 アート・テイラーがリーダー作をあまり残さなかったのは、自分中心の活動にあまり熱心ではなかった(あるいは向いていなかった?)ためで、音楽活動の大半はフリーの演奏者としてあちらこちらに呼ばれては演奏をするというものだった。そんな彼も1度や2度は自己のグループを率いる試みをしている。本盤の“ウェイラーズ”というのが、彼にとって初めての(そして短命に終わった)自身のグループの試みである。アルバム名の『テイラーズ・ウェイラーズ』というのは、“テイラー率いるグループ、ウェイラーズ”ということである。余談ながら、ボブ・マーリーのバンドもウェイラーズであるが、このテイラーのウェイラーズの方が歴史が古く、かつ先に消滅した(ただしテイラーは、亡くなる数年前の1993年、このグループ名を復活させている)。 さて、本盤の真骨頂は何と言っても、“びしっと締まっていること”である。“やっぱジャズはこうじゃなきゃ”と言いたくもなるが、こんなジャズ愛好家にしか通じないであろう言い方をしても始まらない。テレビのバラエティ番組にでも喩えてみたい。 いつからかだろうか、だらだらと垂れ流すようになった民放の番組作り(特にバラエティものの繰り返しの多さや少しのネタで長い放送時間をかせぐ間延びの仕方)に筆者は飽き飽きしているのだが、ある段階まではそうじゃなかった。20年ぐらい前までを思い出すと、大概ふざけていながらも番組の構成には常識とそれなりの締まり(あるいは自制?)があったように思う。よくできた番組だと、その内容が真剣なものかお笑い系なのかに関係なく、どこかにちゃんとした締まりがあったのである。残念ながら、いまは視聴率欲しさか予算をけちっているのか、だらだらしたものになってしまった。アート・テイラーのこのアルバムを聴くと、実に端正でびしっと締まっている。そんなことを考えると、ジャズ界にもだらだらとした垂れ流しはあるわけで、別にテレビ界だけを嘆いても仕方ないのかもしれないけれど(笑)。 さて、本盤の締まり具合というのはどこから来るのか。最大の要因は、メンバーをうまくのせるアート・テイラーのドラミングにあるのは間違いない。つまりは、必要な時にはリズムをキープしながら、ただのキープ係では全くなく、管楽器をはじめとする他のメンバーが締まりのある演奏を披露しやすい状況を作り出している。そして、それに答えたメンバーの豪華さである。以下のパーソネルの一覧にあるように、今となってはジャイアンツたる面々が名を連ねている。[収録曲]1. Batland2. C.T.A.3. Exhibit A4. Cubano Chant5. Off Minor6. Well, You Needn’t[パーソネル・録音]2.以外: Art Taylor (ds), Donald Byrd(tp), Jackie McLean (as), Charlie Rouse (ts), Ray Bryant (p), Wendell Marshall (b)1957年2月25日録音2.: Art Taylor (ds), John Coltrane (ts), Red Garland (p), Paul Chambers (b)1957年3月22日録音 【送料無料】【輸入盤】Taylor's Wailers [ Art Taylor (Arthur) ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓