アート・ペッパー 『インテンシティ(Intensity)』
ハンサム・ペッパー最後の盤 50年代を花形プレイヤーとして駆け抜けたアート・ペッパー。この人は、麻薬僻が災いして活動を休止したどころか、その苦しみがそのまま反映されたジャズマンとしての人生を送った。特に60年代はこのせいでまるまる棒に振った。60年代の休止期間直前(1960年)に録音され、1963年にリリースされたのが、この『インテンシティ(Intensity)』という作品だった。 50年代半ばのひらめきに満ちた閃光のような演奏を知った後で本盤を聴くと、アート・ペッパーの演奏がベストの状態にあるわけではないのは、確かにその通りだろう。それでもこの盤はどこか感動を呼び起こすように感じてならない。 その理由は、表現者としての成長部分にあるような気がする。テクニックや閃きでは『ミーツ・ザ・リズム・セクション』に引けを取ったとしても、人間味あふれるプレイという点では、5.「風と共に去りぬ」や7.「トゥ・クロース・フォー・コンフォート」はなかなかの演奏ではなかろうか。 もう一つの特徴は、リズム隊との一体感である。同じく『ミーツ・~』との比較で言えば、演奏の質がどうこうという問題ではなく、他のメンバーとの関係が同盤の“向かい合う”という感じよりも、本盤では“同じ方向を向いている”という感じがする。決して緊張感がないと言っているわけではないのだけれど、むしろ一体感が強く感じられる。2.「アイ・ラヴ・ユー」、4.「ロング・アゴー(アンド・ファー・アウェイ)」、6.「アイ・ウィッシュト・オン・ザ・ムーン」なんかにこの傾向はよく表れていて、聴いていて実に心地よい。かつ随所で聴けるドロ・コーカーのピアノが個人的にはなかなか好きだったりする。 そのようなわけで、アート・ペッパーの最高盤というわけではないにせよ、決して放っておけない好盤。何枚めかに手に取るペッパー盤としてお薦めだと思う。[収録曲]1. I Can't Believe That You're In Love With Me2. I Love You3. Come Rain Or Come Shine4. Long Ago (And Far Away)5. Gone With The Wind6. I Wished on the Moon7. Too Close For Comfort~以下、CDでの追加曲~8. Autumn Leaves9. Five Points[パーソネル、録音]Art Pepper (as)Dolo Coker (p)Jimmy Bond (b)Frank Butler (ds)1960年11月23・25日録音。 【送料無料】JAZZ THE BEST 108::インテンシティ +2 [ アート・ペッパー ]下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、ぜひともバナーをクリックお願いします! ↓ ↓