ジョニー・グリフィン 『スタジオ・ジャズ・パーティー(Johnny Griffin’s Studio Jazz Party)』
意図的な無計画性が成功の秘訣? ジョニー・グリフィンは、1928年シカゴ出身のテナー・サックス奏者。1950年代後半から1960年代前半にかけてとりわけ多くの録音があり、その後1980年代~90年代にいたるまで作品を残しているが、2008年に80歳で亡くなっている。 以前、『ザ・コングリゲーション』や『ザ・ケリー・ダンサーズ』を取り上げた際にも触れたように、グリフィンの魅力はただパワフルでスピードあふれるブロウにあるわけではない。特に初期の作品で印象が強いそうした部分も魅力ではあるけれど、いい具合にリラックスした感じが入って初めて“偉大なサックス奏者”と言えそうな気さえする。 その意味では、典型的にハードバップ的なセッションでありながら、表題が示すとおりの、どこかリラックスした雰囲気をもった1枚がこの『スタジオ・ジャズ・パーティー(Johnny Griffin’s Studio Jazz Party)』という盤。録音場所はニューヨークのスタジオなのだけれど、招待客(知り合いのミュージシャンや友人、その他の人たち)を聴衆として入れ、司会者(バブズ・ゴンザレス)を用意してパーティ仕立ての雰囲気で録音されている。 実際、1.「パーティ・タイム」と題された最初の短いトラックは、バブズ・ゴンザレスのマイク・パフォーマンスで、クラブでのライヴ風セッションの幕開けとなる。このMCから続けて2.「グッド・ベイト」は、グリフィンによるゆったりとしたテンポのテーマに始まる。次第にテンポを上げていきリラックスした雰囲気のまま展開されるアドリブは演奏内容だけでなく観客の盛り上がりも含め本盤の聴きどころになっている。 他の収録曲を聴いても同様のリラックス感を感じさせるものが多いのだが、このリラックス具合はどう演出されたのだろうか。ライナーでジョニー・グリフィン自身が明かしているところでは、小コンボでのブロウイング・セッション的演奏が好きで、あえて事前準備なしにソロを聴かせるこのスタイルに拘った。こうした“段取りされた無計画性”を考えた時、3.「ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー」のテナー・ソロなんかは実によくできた演奏のように思える。無計画に(?)アドリブ演奏が繰り広げられるセッションという雰囲気を意図的に作っていた訳である。[収録曲]1. Party Time2. Good Bait3. There Will Never Be Another You4. Toe-Tappin'5. You've Changed6. Low Gravy[録音、パーソネル]Johnny Griffin (ts), Dave Bums (tp), Norman Simmons (p), Victor Sproles (b), Ben Riley (ds), Babs Gonzales (MC)1960年9月27日録音。 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓