ベン・ウェブスター 『ソウルヴィル(Soulville)』
スウィング期の3大テナー奏者の繊細さと叙情 ベン・ウェブスター(Ben Webster)というテナー奏者は、決して取っつきやすくはないかもしれない。けれど、ひとたびその虜になると抜け出しにくくなる、きっとそういうタイプの奏者なんだろうと思う。 彼は1909年カンザスシティに生まれ、1930年代にデューク・エリントンやその他いくつかの楽団で演奏し、1940年代からソロイストとしての名声を確立していった。“ザ・ブルート”の愛称で呼ばれ、1973年に亡くなっている。ソロ楽器としてのテナーサックスの地位が確立されていった時期に活躍した奏者で、コールマン・ホーキンス、レスター・ヤングと並んでスウィング期の3大テナー奏者と言われたりもする。 本盤『ソウルヴィル(Soulville)』は彼の代表作の一つとされ、オスカー・ピーターソンのピアノ・トリオを基本にしたメンバーとの演奏。とにかくウェブスターのテナーの“歌”が堪能できる一枚である。はまってしまいがちな点は、端的には、この“すすり泣き具合”、そして、一音一音の繊細さ。哀愁ある独特の細やかな節回しの演奏である。これが筆者的には何ともクセになる部分で、中毒性がある。キャリア後半になってウェブスターは特にこの側面に磨きをかけていった。本盤所収曲の中からいくつかお気に入りを挙げると、1.「ソウルヴィル」、3.「タイム・オン・マイ・ハンズ」、4.「恋人よ我に帰れ」、7.「イル・ウィンド」。いずれも細やかさが際立っている。 これがウェブスターのすべてだ、などと言ったならば、熱心なファンからはお叱りを受けるかもしれない。“ブルート”の名が示すように荒々しいプレイも彼の身上で、それもまた魅力であるのはその通りである。でも、筆者の最初の印象とそれがツボにはまった具合から、今回はこの盤(本盤は個人的にたまたま最初に聴いたウェブスター盤の一つでもあった)を取り上げてみた。さらなる機会を見つけて、今後、他の盤も取り上げていきたいと思う。[収録曲]1. Soulville2. Late Date3. Time on My Hands4. Lover, Come Back to Me5. Where Are You?6. Makin' Whoopee7. Ill Wind[パーソネル、録音]Ray Brown (b), Herb Ellis (g), Stan Levey (ds), Oscar Peterson (p), Ben Webster (ts)1957年10月15日録音。 【RCP】【Joshinはネット通販部門1位(アフターサービスランキング)日経ビジネス誌2013年版】ソウルヴィル+3/ベン・ウェブスター[SHM-CD]【返品種別A】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓