チャーリー・ヘイデン 『ノクターン(Nocturne)』
ヘイデン&ルバルカバのボレロ作品集 チャーリー・ヘイデン(Charlie Haden)は、個人的にお気に入りのジャズ・ベーシストの一人だった。1937年生まれで、まもなく(2014年8月6日に)77歳の喜寿を迎えるところだったが、今月(7月)11日に闘病生活の後に逝ってしまった。追悼の意味も込めて、今回はこの『ノクターン(Nocturne)』を取り上げてみたいと思う。 一定世代以上の大物ジャズ奏者が次々鬼籍に入っていく中、時代の流れに思いを馳せたくもなりそうなものだが、本盤録音時点で既に63歳という“老境”でもあった。けれども、ヘイデン自身の言葉を辿ってみれば、この作品のルーツはずっと昔にあったようだ。 そもそも、『リベレーション・ミュージック・オーケストラ』(1969年)に所収の自作曲「ソング・フォー・チェ(Song for Ché,チェ・ゲバラに捧げる曲)」をめぐってキューバ音楽との接触が最初で、そこからキューバ音楽に惹かれるようになったと言う。その後、1986~87年頃にゴンサロ・ルバルカバ(1963年キューバ出身のジャズ・ピアニスト)に出会い、90年代には何度も一緒に演奏することになり、共演はその後も続いた。そうした経緯の中、一緒にボレロを演らないか、とチャーリー・ヘイデンが持ちかけ、やり取りはあったものの、最終的に時間がかかってしまって(ヘイデンいわく“ミュージシャンも忙しいから”)、2000年夏にようやくそのレコーディングがなされたというもの。 結局、キューバとメキシコのボレロを軸に、ヘイデン自作の2曲(4.と9.)、ルバルカバ自作の1曲(7.)を加えた11曲が収録された。トリオ構成を基本にし、必要な楽器(ギター、テナーサックス、バイオリン)の奏者を必要な時に含めた編成になっている。個人的にはバイオリン(フェデリコ・ブリートス・ルイス、1.,5.,8.)の起用が大ヒット。さらにテナーは、メロディを美しく奏でるダビー・サンチェス(1.,4.,7.,11.)と繊細さが光るジョー・ロヴァーノ(6.,10.)が使い分けられている。そして、極めつけは2.のパット・メセニーの参加。パット・メセニーとチャーリー・ヘイデンと言えば、名盤のデュオ作『ミズーリの空高く』があるが、メキシコの名作曲家でシンガーのアグスティン・ララの「ノチェ・デ・ロンダ(ナイト・オブ・ワンダリング)」をメセニー参加で演っているのは、さしずめ「メキシコの空高く」といったところだろうか。 全体的に落ち着いたトーンなので、あまり小さい音量で聴くと繊細なニュアンスが伝わらぬままただのBGMになってしまいがち。酒を片手にBGMも悪くはないかもしれないが、たまには音量を上げてガッツリと聴くのがお勧めと思う。名曲・名演奏揃いだが、特に気に入っているのは、1.「エン・ラ・オリージャ・デル・ムンド」、上記の2.「ノチェ・デ・ロンダ」、5.「ヨ・シン・ティ」、ルバルカバ作の7.「トランスパレンス」、10.「トレス・パラブラス」。Q.E.P.D.[収録曲]1. En la orilla del mundo (At the Edge of the World)2. Noche de ronda (Night of Wandering)3. Nocturnal4. Moonlight (Claro de Luna)5. Yo sin ti (Me Without You)6. No te empeñes más (Don't Try Anymore)7. Transparence8. El ciego (The Blind)9. Nightfall10. Tres palabras (Three Words)11. Contigo en la distancia (With You in the Distance)[パーソネル、録音]Charlie Haden (b)Gonzalo Rubalcaba (p)Ignacio Berroa (ds)David Sánchez (ts, 1., 4., 7., 11.)Joe Lovano (ts, 6., 10.)Pat Metheny (g, 2.)Federico Britos Ruiz (vl, 1., 5., 8.)2000年8月27~31日録音。 【Aポイント+メール便送料無料】 チャーリー・ヘイデン / ノクターン[CD]下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓