ジョン・コルトレーン 『マイ・フェイヴァリット・シングス(My Favorite Things)』
代表盤というよりは病みつき盤、飄々としたコルトレーンの調べ ジョン・コルトレーン(John Coltrane)の名盤の一つとして取り上げられることも多いのだけれども、個人的には少し特異な、つまりは代表盤と呼ぶには憚れるのかなと思うのが、本盤『マイ・フェイバリット・シングス(My Favorite Things)』である。 この盤の特徴は何かと訊かれると、中毒性の強い盤、あるいは“病みつき盤”と呼びたいように思う。40歳で没したという、残念ながら決して長くはない彼のキャリア全体を振り返ってみれば、やはりコルトレーンは第一にテナーの人だと言えると思う。つまり、コルトレーンが本来のテナー・サックスではなく、ソプラノ・サックスを演奏(1.と2.でソプラノを演奏)している点で、“代表盤”とは言い難いように思う(もちろん、代表盤と名盤は同義ではない)。 そのようなわけで、まずもって第一の聴きどころは、表題曲の1.「マイ・フェイヴァリット・シングス」。そもそものソプラノ・サックスの音色というのもあるのだろうけれど、何よりも飄々としたコルトレーンの演奏が聴き手には刻み込まれる。言葉にするのは難しいのだけれど、“抑揚をつけようとしない風に見えて抑揚がついている”といった感じ、とでも言えば、少しはニュアンスが伝わるだろうか。よくコルトレーンは“シーツ・オブ・サウンド”という用語とともに、“たくさんの音”に溢れてるというイメージで語られることもあるけれど、この曲を聴けば、音はただ敷き詰められるだけでなく、必要に応じて空白が設けられていて、演奏者(コルトレーン自身)が必要と感じた時に一気に溢れ出てたたみかけるということ、そして逆に“空白部分”はみごとに空白なのだということも見てとられるように思う。 この傾向はテナーを吹いている3.と4.でも同様で、1.がいちばんの聴きどころであることは別にしても、これら2曲だけでもコルトレーンの真髄がよくわかるような気になる。ちなみに、本盤のセッションでアルバムに収録されなかったものは、後の『夜は千の眼を持つ』にも収録されている。[収録曲]1. My Favorite Things2. Everytime We Say Goodbye3. Summertime4. But Not For Me[パーソネル、録音]John Coltrane (ts, ss)MacCoy Turner (p)Steve Davies (b)Elvin Jones (ds)1960年10月21,24,26日録音。 [枚数限定][限定盤]マイ・フェイヴァリット・シングス(モノラル・ヴァージョン)/ジョン・コルトレーン[CD]【返品種別A】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓