ジェイ・ジェイ・ジョンソン&カイ・ウィンディング 『ジェイ・アンド・カイ(Jay & Kai)』
2人のマエストロによる、半世紀以上前のトロンボーン革命 ジェイ・ジェイ(もしくはJ・J)・ジョンソン(J. J. Johnson)は1924年生まれの米国のジャズ・トロンボーン奏者(2001年没)。カイ・ウインディング(Kai Winding)もほぼ同世代で、1922年にデンマークで生まれ、アメリカへ移住したトロンボーン奏者(1983年没)。これら2人は、本盤だけでなく、その後も多くの録音をこの2人の組み合わせで残していくことになった。本盤の録音は1954年だから、60数年前、もう半世紀を優に超える昔のものということになる。そうした盤のうちでも、名演の一つに数えられるのが、この共演盤『ジェイ・アンド・カイ(Jay & Kai)』である。 トロンボーンは、モダン・ジャズの発展とともに、そうした演奏に向かない楽器と思われた。バルブやキーで操作するのではなく、管の一部をスライドさせるという扱いにくさから、スピード感溢れる演奏や急激な音程変化に対応しにくい楽器だったからである。ところが、“エミネント”(秀でた、抜きんでた)と形容されるジェイ・ジェイの登場によってこの“常識”は覆される。ブルーノートの最初の吹き込み(参考過去記事)の少し後、同じくトロンボーン奏者であるカイ・ウィンディング(上記の“エミネント”に対し、彼は“インクレディブル”と形容される)とともにサヴォイに吹き込んだのが、本盤ということになる。ちなみにこれら2人は、それぞれにビバップの潮流の中で活躍経験があり、またマイルス・デイヴィスの吹き込みにも参加した経験を持っていた(カイとJ・Jは『クールの誕生』に参加し、J・Jは『ウォーキン』の演奏も有名)。 上述のような楽器の“欠点”を補うのは何よりも“技”であった。本盤の2人の演奏は、まさしくそうした“技”を持つ2人の職人芸によって生まれたものだと言える。同楽器の奏者が2人いるからと言って、決して“バトル”といった風情ではない。あくまでコラボレーション、コンビネーションの結果といった演奏内容である。冒頭の1.「バーニーズ・チューン」の軽快な演奏はこのことを代表するものだと言える。もちろん軽快さだけが売りではなく、7.「リフレクションズ」のようにスリリングさが実に印象的な演奏もある。様々に異なるテンポや曲調のものを聴かせられるのがこの2人の組み合わせの魅力でもあると言えるのかもしれない。 さらに面白いと思えるのは、ピアノレスの編成での演奏が含まれている点。2.、3.、4.、9.(1954年8月24日録音)がこれに該当するのだけれど、ジェリー・マリガンのカルテット(参考過去記事)よろしくピアノはなしで、さらにはギターが加わっている。結果的に、J・Jとカイの双頭コンボはピアノ入りを基本としていくけれども、当初はこうした試みもあったということなのだろうか。なお、5.はカイ・ウィンディングは参加しておらず、J・J・ジョンソンの少し古い音源(1947年のもの)。11.と12.はSPとして発売されたものが追加曲として収められたものである。[収録曲]1. Bernie's Tune2. Lament3. Blues for Trombones4. The Major5. Yesterdays6. Co-Op7. Reflections8. Blues in Twos9. What Is This Thing Called Love?10. The Boy Next Door11. I Could Wright a Book12. Carioca[パーソネル・録音]J.J.Johnson (tb: 1-9), Kai Winding (tb: 1-4, 6-12)Leo Parker (bs: 5)Billy Bauer (g: 2, 4)Wally Cirillo (p: 1, 6-8), Hank Jones (p: 5), Lou Stein (p: 10-12), Charles Mingus (b: 1-4, 6-9), Al Lucas (b: 5), Eddie Safranski (b: 10-12)Kenny Clarke (ds: 1-4, 6-9), Shadow Wilson (ds: 5), Tiny Kahn (ds: 10-12)Al Young (bongos, timbales: 10-12)Tommy Talbert (arr: 10-12)1947年12月24日(5)、1952年3月4日(10-12)、1954年8月24日(2-4, 9)、1954年8月26日(1, 6-8)。 【メール便送料無料】J.J.ジョンソン&カイ・ウインディング / ジェイ・アンド・カイ[CD][初回出荷限定盤] ブログランキングに参加しています。応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓