ザ・キャノンボール・アダレイ・クインテット『マーシー・マーシー・マーシー(Mercy, Mercy, Mercy! Live at “The Club”)』
アグレッシヴでファンキーな、ある意味ではキャノンボールの代表盤 キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)の代表盤としてよく名前の挙げられる『マーシー・マーシー・マーシー(Mercy, Mercy, Mercy!)』。ジャケットは激しくサックスをブロウしているキャノンボール・アダレイの写真だが、その左下部にLive at “The Club”と記されていることからも分かるように、シカゴの“ザ・クラブ”での1966年のライヴ演奏を収めたものである。 この写真の熱気そのままに、本盤の特徴は、“ファンキー・ジャズ”などと称される演奏にある。これまで、いくつかの記事にも記したことなのだけれど、こういう側面だけがキャノンボール・アダレイの真価というわけではない。けれども、ファンキーかつアグレッシヴで、しばしばスピード感にあふれた演奏は、彼の特徴あるいはよさの一つであることもまた確かである。 キャノンボールのバンドに弟のナット・アダレイが参加していたことはよく知られるが、本盤の冒頭の2曲(1.「ファン」と2.「ゲイムズ」)では、ナットの作曲が独特のファンキー感にいかに寄与していたかがよくわかる。続くジョー・ザヴィヌルによる表題曲の3.「マーシー・マーシー・マーシー」で、ザヴィヌルがエレクトリック・ピアノを演奏しているのも、明らかにこの全体としてのファンキー感を意図してのことなのだろう。そして、本盤の盛り上がりが最高潮に達するのが、キャノンボール作の4.「スティックス」ではないだろうか。その後も“ファンキー・ジャズ道”を突っ走ったまま本盤は終了する。 結局のところ、キャノンボールの音楽がファンキーか、という問いは無意味な気がしてしまう。ファンキーもまた彼の音楽であったというのがきっと正解なのだろう。ファンキー一辺倒でもそれがすべてでもないが、ファンキー・ジャズは彼の重要な一側面を示している。そんなわけで、本盤はそのファンキーな部分がクローズアップされた盤であり、それは良くも悪くも彼の特徴を示しているがすべてを表しているわけでもないということになるのだろう。[収録曲]1. Fun2. Games3. Mercy, Mercy, Mercy4. Sticks5. Hippodelphia6. Sack O' Woe[パーソネル、録音]Cannonball Adderley (as)Nat Adderley (cor)Joe Zawinul (p, elp)Victor Gaskin (b)Roy McCurdy (ds)1966年7月録音。 マーシー・マーシー・マーシー/キャノンボール・アダレイ[SHM-CD]【返品種別A】 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、 バナーをクリックお願いします! ↓ ↓