チャールズ・ミンガス 『オー・ヤー(Oh Yeah)』
ピアノ演奏と“声”に徹した異色盤 チャールズ・ミンガス(Charles Mingus)は、1922年、米国アリゾナ州出身のジャズ・ベース奏者(1979年没)。単にベーシストとしてだけではなく、作曲家、バンド・リーダーとしての才能を発揮していたものの、そんな彼が1962年に発表(録音はその前年)した本盤『オー・ヤー(Oh Yeah)』では、ベースを弾かずにアルバムの吹き込みを行うという、思い切った行動に出た。 本盤でミンガスが担当しているのはピアノとヴォーカル。したがってミンガスの作品としては、本職(ベース)の代表作というよりも、“異色作”という方が適当だろう。収められた7曲は、いずれもミンガス自身の作で、基本的にブルース曲である。 アルバム全体として、演奏は奥行きや厚みがあるもので、ミンガスの作曲能力の高さと、曲によっては彼のヴォーカルの妙なドスの効いた勢い(?)が妙に耳につく。そう、“ヴォーカル”というより“声”と呼んだ方が適切なような気すらする。そして、この“声”というのが、本盤を“ねちっこい”ものにしていると表現してもいいように思う。 とはいえ、その“ねちっこさ”の理由は、ミンガスの声と同時に、もう一つにあるように思う。それは、ブッカー・アーヴィンのサックスである。アーヴィンは筆者お気に入りのテナー奏者でこれまでもリーダー作(参考過去記事(1) ・(2) ・(3) )を取り上げているが、彼の存在がその“ねちっこさ”に拍車をかけているのである。 聴きどころはと言われると、全体を通して聴くのがよいと思うのだけれど、敢えてこれはという収録曲を挙げるなら、1.「ホッグ・コーリン・ブルース」と2.「デヴィル・ウーマン」。後半になるとさらにハチャメチャな部分を含むが、個人的には5.「神よ原子爆弾を降らせ給うな」が気に入っている。[収録曲]1. Hog Callin' Blues2. Devil Woman3. Wham Bam Thank You Ma'am4. Ecclusiastics5. Oh Lord Don't Let Them Drop That Atomic Bomb on Me6. Eat That Chicken7. Passions of a Man[パーソネル、録音]Charles Mingus (p, vo)Rahsaan Roland Kirk (fl, siren, ts, manzello, strich)Booker Ervin (ts)Jimmy Knepper (tb)Doug Watkins (b)Dannie Richmond (ds)1961年11月6日録音。 【輸入盤CD】CHARLES MINGUS / OH YEAH (チャールズ・ミンガス) 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、 バナーをクリックお願いします! ↓ ↓