ガトー・バルビエリ 『フェニックス(Fénix)』
南米/アルゼンチンを意識した作品 前作の『第三世界』(1969年録音、1970年リリース)で、ガトー・バルビエリ(Gato Barbieri)は南米というルーツを意識した作風を披露した。この方向性を継続し、1971年に録音・発表されたのが本盤『フェニックス(Fénix)』だった。英語のPhoenixと同じ意味で、スペイン語およびポルトガル語で“不死鳥”を指す。 1.「トゥパク・アマル」は自作曲。ヨーロッパ人の侵略に対して最後までビルカバンバで抵抗した“最後のインカ皇帝”の名を表題としている。2.「カルナバリート」は“小さなカーニヴァル”の意味。本盤ではコンガやボンゴといった打楽器がフィーチャされているが、ラテンのリズム感とメロディが生かされた好演奏に仕上がっている。ジェラルド・ペレイラによる3.「ファルサ・バイアーナ」も、南米ラテンのフレーバーが強く、ブラジルっぽいリラックスした雰囲気の楽曲に、強く激しいガトーのテナーがうまく重なり合っている。 アルバム後半で特に注目したいのは、5.「エル・アリエーロ」。アタワルパ・ユパンキ(アルゼンチン出身のシンガーソングライター)の曲で、この曲の演奏に見られるようなラテンの素材とガトーらしいテナー演奏の融合は、この時点で彼がやりたかったことをどんぴしゃで体現しているのではないかと感じる。アルバムを締めくくる6.「バイーア」は、激しさを失うことなく哀愁を感じさせるテナーの演奏が筆者としては気に入っている。 本盤は、ガトーにとってフライング・ダッチマンからの2作目となるアルバム作品だった。この後も、彼は同レーベルから、モントルーでの白熱したライヴを収めた『エル・パンペロ』、彼の代表盤の一つとして知られる『アンダー・ファイア』といった作品を発表していくことになるのだった。[収録曲]1. Túpac Amaru2. Carnavalito3. Falsa bahiana4. El día que me quieras5. El arriero6. Bahía[パーソネル、録音]Gato Barbieri (ts), Lonnie Liston Smith (p, elp), Joe Beck (g), Ron Carter (b), Lenny White (ds), Gene Golden (conga, bongo), Naná Vasconcelos (berimbau, bongo)1971年4月27・28日録音。 フェニックス [ ガトー・バルビエリ ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓