ベッカー&フェイゲン 『ファウンダーズ・オブ・スティーリー・ダン(Founders of Steely Dan)』
スティーリー・ダン前夜のベッカーとフェイゲン 一方のウォルター・ベッカー(Walter Becker)は、1950年ニューヨーク生まれのドイツ系アメリカ人。もう一方のドナルド・フェイゲン(Donald Fagen)は、2歳年上で、1948年にニュージャージーにてユダヤ系の両親のもとに生まれている。言わずと知れた、スティーリー・ダン(Steely Dan)の両名である。この二人が邂逅したのは、ニューヨークのバード・カレッジ在学中の1967年のこと。フェイゲンがとあるカフェの前を通りかかったところ、エレキギターを練習しているベッカーに出会い、自ら声をかけたのだという。こうして出会い、意気投合した二人は共同で曲作りをするようになる。スティーリー・ダンとしてデビュー盤を発表するのは1972年のことであり、この間の5年の歳月の多くは、二人にとっていろんな音楽の仕事をやって食いつなぎつつ、二人の曲作りや構想を温める時期となった。 そんな時期の彼らの初期音源を集めたのが、この『ファウンダーズ・オブ・スティーリー・ダン(Founders of Steely Dan)』である。1989年以降、この時期の音源集が何種類か編集されているが、海賊盤的なものかと思いきや、日本のレコード会社から発売されたものもあった(関連盤は下の方の商品リンクにもあり)。 総じて2~3分の短い演奏時間のものが多く、デモ音源的な雰囲気を感じさせるものもある。けれども、スティーリー・ダンが結成される間から、言ってみれば、“スティーリー・ダンは存在していた”のだということがよく分かる演奏である。後のアルバムに収録されたものもあれば、そうでない楽曲も含まれるわけだが、デビュー前音源が後々リリースされたというケースはあちらこちらにあるものの、完成度の高さ(演奏でそれが顕著なものもあれば、楽曲そのもののレベルの高さというものもある)という点では明らかに頭一つ抜け出したレベルである。 2017年、ベッカーが67歳で逝去したことにより、ベッカー&フェイゲンのコンビでの活動は止まってしまった。その死に際し、フェイゲンは“自分たちがスティーリー・ダンとして作った音楽を出来る限り輝かせていきたい”と表明したとのことだったが、二人で新たものがそれ以上生み出されなくなったというのは、筆者にも残念でショックだった。とはいえ、過去に遡及し、20歳そこそこの若き彼らを振り返ってみるというのも悪くない。少々マニアックな音源かもしれないが、スティーリー・ダンが好みの向きは、以上のようなことに思いを巡らせつつ聴いてみるのもいいアルバムだと思う。[収録曲]1. Android Warehouse2. A Horse in Town3. More To Come4. Parker's Band 5. Oh, Wow It's You Again6. Stone Piano7. Yellow Peril8. Take It Out on Me9. Braintap Shuffle10. The Mock Turtle Song11. Charlie Freak12. The Roaring of The Lamb13. Soul Ram14. Brooklyn15. A Little with Sugar16. You Go Where I Go17. Ida Lee18. Any World19. This Seat's Been Taken20. Berrytown21. Sun Mountain1989年リリース。 【輸入盤CD】【新品】Donald Fagen/Walter Becker / Origins Of Steely Dan: Old Regime【K2018/2/2発売】(ドナルド・フェイゲン&ウォルター・ベッカー) ウォルター・ベッカー&ドナルド・フェイゲン / アーリー・イヤーズ [CD] ヤング・アンド・イノセント・デイズ -コンプリート・レコーディングス1968~71年 [ ドナルド・フェイゲン&ウォルター・ベッカー ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓