テーマ:クラシックロック(754)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
3分間で聴かせるシングルレコード盤芸術の粋
CDどころかデジタルオーディオ全盛の今となっては、シングル盤のレコードって何?って感じかもしれない。80年代までのシングル曲のリリースを担ったレコード盤のことだ。厳密には、50年代までのSP盤(3分収録)とそれ以降のEP盤(いわゆるドーナツ盤、5分収録)がある。収録時間に制約のあるこの時代の技術的背景と、CCRの音楽は大いに関係あると思う。 CCRとは、バンド名で、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル(Creedence Clearwater Revival)の略。ジョン・フォガティを中心にして1967年から72年まで活動したアメリカのロックバンドである。短期間の活動ながら、南部的な泥臭さをもったサザンロックの先駆的存在として知られる。 CCRの名曲はいくつもあるけれど、今回はCMにも使われた「雨を見たかい(Have You Ever Seen The Rain?)」を紹介したい。この曲は1971年にシングル発売され、アルバム『ペンデュラム』に収録されている(他にベスト盤類にもたいてい収められている)。 この曲は長らくベトナム戦争を揶揄したものとして知られてきた。「雨」がナパーム弾の暗喩という解釈だ。けれども1997年に作者であるフォガティが、サンフランシスコの天気に当時のバンドの姿をだぶらせて書いたものと明かし、反戦ソング説は否定された。そもそも音楽なんて(というか小説でも詩でも何でもそうだと思うが)、作者の手を離れれば、作品はひとりでに歩き始め、聴き手や読み手が独自に解釈する部分が絶対にあるはずなので、それはそれでいいと思う。実際、当時の社会状況がベトナム戦争を批判するように解釈したかったのかも知れないわけだし。それとはかけ離れたイメージのCMにも使われているけれど、それも一つの聴き手(使い手?)の解釈かもしれない。 反戦ソングにせよ、単なるお天気ソングにせよ、この曲の素晴らしさは、"3分間の完璧さ"にある(実際のこの曲の時間は2分40秒ほど)。凝縮され、短時間で完結した芸術性。CDシングル以降の時代になって、もっと長い曲でもOKという時代なら、この芸術性は生まれなかっただろう。この潔い簡潔さと完結性は、例えば6~7分という時間では絶対に出せなかっただろう。 CCRの曲にはこのような形容の当てはまるものが多い。その代表格の一つが「雨を見たかい」である。実際に聴いてみるとあっという間。それでいてどこにも中途半端さがなく、短いがゆえに、もう一度繰り返して聴きたくなる。 その完璧さは他のアーティストがリメイクしたバージョンを聴くとより鮮明になる。例えば、ジョーン・ジェットの『The Hit List』(1990年、何と邦題は『雨を見たかい』となっている!)やロッド・スチュワートの『Still The Same... Great Rock Classics Of Our Time』(2006年)。どちらもオリジナル・バージョンには遠く及ばない。ジョーン・ジェットのように忠実に演奏しつつ工夫を凝らそうとしても、ロッドの魅力的な声で歌おうとしても、オリジナルの完璧さ・完結性には敵わない。もしこの曲を知っているけれど、オリジナルはどれ?という人がいたら、一刻も早くCCRのオリジナル・バージョンを体験して欲しい。 [収録アルバム] Creedence Clearwater Rivival / Pendulum (1970) Creedence Clearwater Rivival / Chronicle, Vol. 1 *別名Chronicle: 20 Greatest Hits (1976)など 輸入盤 CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL / PENDULUM + 2 [CD] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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ボニー・タイラーもアルバムでカバーしてましたね。
ってこの記事読むまで、ナパーム弾の歌だと思ってたんで、「えっ、そんなもんだったの?」と『視聴者勝手に思い込み病』に罹患してた事実にびっくりです。 高1の時にジョン・フォガティのソロアルバムがバカ売れしてましたけど、あれは何かの企画とかキャンペーンとかあったんですか? (2017年02月28日 01時22分56秒)
地味JAM尊さん
まあ、ミュージシャンが何と言おうと、聴き手の解釈、理解の仕方というのもありますよね。 バカ売れのソロというのは、80年代の復活盤でしょうか。 (2017年02月28日 13時03分07秒)
地味JAM尊さん
長らく権利関係で苦労し、80年代になって復活というあの時のことでしょうね。確かアルバムが1位になり、シングルもトップ10入りみたいなカムバックだったような気が…。 (2017年03月01日 07時10分38秒)
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