テーマ:洋楽(3509)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
ツェッペリンを消化し、血肉としたアン・ナンシー姉妹 ~その2~
前項のハート「ロックンロール」では、アンとナンシー姉妹がツェッペリンの音楽を見事に消化し、自己のものとして継承したということを書いた。「ツェッペリンの音楽」とか「ツェッペリンの影響」などという表現を聞いて、多くの人がイメージするのは、ハードロックの頂点としてのレッド・ツェッペリンだろう。 しかし、そのツェッペリン像というのをよく考え直してみるべきだと思う。レッド・ツェッペリンの音は、単に「正統派ハードロック」と言う時に思い浮かべるであろうハードな音楽的側面だけではなかった。ツェッペリンの「ハード」な音楽が成立する背景には、「アコースティック」な側面があったことを見逃してはならないと思う。アコースティックなツェッペリンと言えば、『レッド・ツッペリンIII』がその典型なわけだが、アコースティックなツェッペリンの素晴らしさは他のアルバムでも随所に散りばめられている。いや、むしろこの側面がしっかりしたものだったからこそ、典型的に「ハード」なツェッペリンの音楽がしっかりしたものになったと考えるべきではないだろうか。 前項で「ハートがツッペリンを見事に消化した」と述べたわけだが、筆者は、こうしたアコースティック部分も含めてそう思うのである。70年代後半のハート初期の音楽には、「ハード」な楽曲に並んで「アコースティック」な楽曲が重要な位置を占めていた。90年代以降の、例えば、ハートのアルバム『ロード・ホーム』(1995年)のような作品からも、アコースティックな部分が見事に継承されている様子が窺い知れる。 ところで、アンとナンシー姉妹は1990年代にハートとは別のプロジェクトでの活動も行なった。ラヴモンガーズ(Lovemongers、ちなみに定冠詞Theがついた表記とそうでない表記の両方がある)なるアコースティック・ユニットでの活動である。このラヴモンガーズはもともとライヴイベント出演のために始まったグループのようだけれど、1992年の4曲入りミニアルバム『バトル・オブ・エヴァーモア(Battle of Evermore)』や1997年のフルアルバム『ウィアリーギグ(Whirlygig)』などをリリースした。 このラヴモンガーズ名義のカヴァー・ライヴ・ヴァージョン「バトル・オブ・エヴァーモア」こそが、ツェッペリンのアコースティックな側面の継承を示す典型だと思う。上記のミニアルバムにももちろん収録されているが、1997年に出たオムニバス盤『ブリッジ・スクール・コンサート・ライブ(The Bridge School Concerts Vol. One)』にも収録されている(問題の曲は同じくライヴではあるが、ヴァージョン違いのよう)。この『ブリッジ・スクール・~』は大物アーティストのレアなライヴ音源が多く詰まっているので、個人的にはこちらのアルバムで他の曲も楽しむのがいいと思う。 [収録アルバム(CD)] The Lovemongers / Battle of Evermore (1992年、4曲入り) Various(ニール・ヤング、ベック、パール・ジャム、デヴィッド・ボウイ他) / The Bridge School Concerts Vol. One (1997年) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020年01月26日 04時50分49秒
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