音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2016/01/28(木)22:12

ジェイ・ジェイ・ジョンソン 『ジ・エミネント・J.J.ジョンソン Vol. 1』

ジャズ(496)

秀抜なJJのスリリングな演奏とリラックスした演奏  ジェイ・ジェイ・ジョンソン(J・J・ジョンソン)は、1924年、米国インディアナ出身のトロンボーン奏者(2001年没)。スイング全盛期(トロンボーンは花形楽器だった)から活躍をはじめ、ビ・バップ以降、トロンボーンが花形の座を失い、モダン・ジャズにおける主流楽器ではなくなった後も、見事な楽器さばきでトップ・プレイヤーとしての地位を確立した。  本盤の"エミネント"とは、「高名な、秀でた、抜きん出た」といった意味。上で述べたように、トロンボーンが主流楽器ではなくなっていく過程の中で、超技巧を駆使し、見事にその地位を築き上げたという経緯を考えると、まさしく"エミネント"である。  本作『ジ・エミネント・J.J.ジョンソン Vol. 1(The Eminent Jay Jay Johnson Vol. 1)』は、1953年の初リーダー・セッションの音源を含む1枚で、そうした秀抜な演奏が1曲目からフルに堪能できる。1.「ターンパイク」からして、非常にスリリングである。スリリングでぞくぞくする演奏という意味では、3.「ゲット・ハッピー」、5.「カプリ」、10.「コーヒー・ポット」がすぐれている。スリリングといっても、技巧に頼ったスピード演奏だけが持ち味ではない。どこかしらやさしさを内包し、リラックスした部分を残した演奏だからこそ、落ち着いて心地よく聴けるのだと思う。  前半(A面、1.~5.)と後半(B面、6.~10.)でメンバーと録音日が異なっている。前半の方がややスリリングさが勝り、後半の方がややリラックス度が上がる。それは、前半のクリフォード・ブラウン(トランペット)、後半のウィントン・ケリー(ピアノ)の参加に追う部分が結構あるように思われる。  ちなみに、個人的な好みで言えば、7.「オールド・デヴィル・ムーン」がいちばんのお気に入りである。親しみやすいメロディからのびのびとしたソロ演奏、さらにはバックのコンガがさりげなく効いていて、本盤随一のリラックス曲。それでいて、緊張感は失われておらず、4分足らずの短い時間(本盤の他の収録曲も概ね4分前後)にその魅力が見事に凝縮された1曲だと思う。 [収録曲] 1. Turnpike 2. Lover Man 3. Get Happy 4. Sketch 1 5. Capri 6. Jay 7. Old Devil Moon 8. It's You Or No One 9. Too Marvelous For Words 10. Coffee Pot 録音: 1953.6.20(1~5): Clifford Brown (tp), Jay Jay Johnson (tb), Jimmy Heath (ts, bs), John Lewis (p), Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds) 1954.9.24(6~10): Jay Jay Johnson (tb), Wynton Kelly (p), Charlie Mingus (b), Kenny Clarke (ds), Sabu (conga) Blue Note1505  【楽天ブックスならいつでも送料無料】ジ・エミネント・J.J.ジョンソン VOL.1 [ J.J.ジョンソン ]

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る