テーマ:洋楽(3500)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
親しみを持って聴くピンク・フロイド ピンク・フロイド(Pink Floyd)は、(初期に関して)サイケデリックであるとか、プログレッシヴ・ロックの一つの完成型であるとか、大仰な能書きがつきまとうので、今の初めての聴き手にとっては手が伸ばしにくいバンドかもしれない。ジャケットも神秘的だったり、場合によってはおどろおどろしい上、おまけにアルバム・タイトルが『狂気』や『神秘』や、挙句の果てに『鬱』とくれば、初めて聴こうという人にとっては"怖いもの見たさ"の世界になってしまう(笑)。 そこで、今回はそうではないということを強調したい。とりわけピンク・フロイドの全盛期(70年代)の諸作は、そのようにとっつきにくいものではないと思う。実際、当時は"1家に1枚"と言えるほどのセールスを記録したわけだし(『狂気』は人気絶頂のアイドル天地真理を抜いて日本国内のアルバム・チャート1位を獲得)、近づき難いものではなかったはずである。このような趣旨からすれば、代表作を選ぶのが筋であろう。一般に、ピンク・フロイドの代表作としてよく名が挙がるのは、『狂気』、『炎~あなたがここにいてほしい』、『ザ・ウォール』の3作であり、その中で筆者がいちばん聴いた回数が多いと思うのは『炎~あなたがここにいてほしい』なので、このアルバムをひとまずは紹介したい。 さて、ピンク・フロイドのどういった部分が親しみやすいのであろうか。少なくとも本盤に関して言えば、筆者は"幻想的な浮遊感"だと思う。激しい演奏でも、技巧をひけらかす演奏でもなく、内面的な世界を描き出す芸術性をシンプルに味わえばいい。芸術性という表現がまだとっつきにくいというのであれば、ロック・シンフォニー的なサウンド、と言い換えてもいいかもしれない。本作はインスト部分が多いので、"歌もの"はあまり期待しない方がいい。芸術性といっても、難しいものを理解しようという姿勢ではなく、ただその音に身をまかせ、頭を白紙にしてボーっと聴くことができるだろう。その中で浮かび上がってくるデヴィッド・ギルモアのギターは幻想的なだけでなく、一音一音がロックとして単純にカッコイイ。 アルバムの構成としては、本作『炎~あなたがここにいてほしい』は、アルバムの最初と最後にテーマ(1.「クレージー・ダイアモンド(第1部)」と5.「クレージー・ダイアモンド(第2部)」)が配され、その狭間に3曲が並べられている。1.と5.は、どちらも10分を超える長尺だが、これらがとりわけ聴き所であり、上述のように頭を真っ白にして聴けば、あっという間に時間が過ぎてしまう。余談になるが、このアルバム構成は、もともとLP(つまりA面とB面の区別あり)で作られていながら、現在のCDというフォーマット(つまりは全部続けて聴く方式)においても見事に作品として成立しているのも素晴らしいと思う(別に作った当時、意図したわけではないにせよ)。 そんなわけで、ピンク・フロイドを難しく聴くのではなく、もっと気軽に聴くことをおすすめしたい。そのうちに、いろんな細部が気になり出すかもしれないが、とにかく最初は気軽に親しみを持って聴き始めようというのが今回の趣旨である。最後に付け加えておくと、ギターを演奏したギルモア自身、本盤が最も気に入っているアルバムだそうだ。 [収録曲] 1. Shine On Your Crazy Diamond (Part One) 2. Welcome To The Machine 3. Have A Cigar 4. Wish You Were Here 5. Shine On Your Crazy Diamond (Part Two) 1975年リリース。 ![]() 【メール便送料無料】ピンク・フロイドPink Floyd / Wish You Were Here(リマスター盤) (輸入盤CD)(ピンク・フロイド) ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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