テーマ:Jazz(1988)
カテゴリ:ジャズ
音の間を使いながら美しくまとまった好盤 レッド・ガーランドというピアニストは、聴き手を楽しませながら自分の理想を追求していく人だったのだろう。それだからこそ、理想を追求するのが難しいと思った時に、十数年も引退生活を送ることになった。本盤『ブライト・アンド・ブリージー(Bright and Breezy)』は、1962年に一時引退をする少し前に、ジャズランド・レーベル(プレスティッジの傍系)に吹き込んだトリオ・アルバムである。 ベースはサム・ジョーンズ、ドラムはチャーリー・パーシップという顔ぶれで、ガーランド特有のスインギーさ控えめで、どちらかと言えば、"渋め"の演奏を展開している。収録曲の中には、静かで美しい曲調のものが多い。とはいえ、なぜか筆者にとっては、夜に静かに聴くというようなイメージではない。確かに、くつろいだ気分でいたい夜に聴くこともあるのだが、不思議なことに、このアルバムは、時々、朝一番に無性にかけたくなる。 その理由は、ガーランドのメロディックな演奏にあるのだと思う。穏やかで、曲によってはリリカルな印象を保ちながらも、どこかしらメロディを口ずさみたくなるような楽しさがこのアルバムには潜在している。1.「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」や4.「ブルース・イン・ザ・クローゼット」などがその典型である。音と音の"間"をうまく使っているから、メロディが際立ち、かといってうるさくならず、穏やかさをキープしているのだと思う。実際、ドラムに注目すると結構派手に演っている曲も結構あるのだが、ガーランドの間の取り方とドラミングのコンビネーションが絶妙で、このバランスが聴きやすさを増幅させている。そこにサム・ジョーンズというシブいベーシストが絡む。 本盤を聴きながらこのようなことを筆者は考えるのだが、難しいことは抜きに、普段よく言及される名盤(例えば『グルーヴィー』)とは一味違うガーランドの演奏を楽しめばいいのだろう。静かでいながらにしてどこか楽しげな演奏。タイトル(Breezy)にあるように、そよ風を受けるような爽やかな感覚が伝わってくる好盤である。 [収録曲] 1. On Green Dolphin Street 2. I Ain't Got Nobody 3. You'll Never Know 4. Blues In The Closet 5. What's New 6. Lil' Darlin' 7. What Is There To Say? 8. So Sorry Please 録音:1961年7月19日 Red Garland (p) Sam Jones (b) Charlie Persip (ds) ![]() Red Garland レッドガーランド / Bright & Breezy 輸入盤 【CD】 ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016年02月18日 20時35分42秒
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