テーマ:女性ヴォーカル(44)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
秋の夜長にジャジーな女性ヴォーカルを ~その1~ メロディ・ガルドー(Melody Gardot)は米国出身のシンガーソングライター。本盤『夜と朝の間で(Worrisome Heart)』は、2008年にリリースされたメジャー・デビュー作。ただし、もとはその2年前に自主制作盤として作られていたものとのことである。メロディ自身は1985年生まれだから、20~21歳でこれらの曲を作ったということになる。 きっかけは19歳で交通事故にあい、その治療(セラピー)の一環で音楽を始めたことだという(余談ながら、いつもサングラスをかけているのはこの時の後遺症のためだとか)。もともと16歳の頃からピアノ・バーでバイトをして、ママス&パパスやデューク・エリントンなどを演奏していたというが、この事故で1年間にわたって寝たきりの生活を強いられたことで、曲を作り始める。 そのような経緯からか、アルバム全体のトーンは決して明るくない。むしろ全編を通してどこか憂いを湛えた気だるい雰囲気が漂ってくる。けれども、それこそが本盤の最大の特徴で、20歳代初頭でこれだけ自分の世界を作り上げ、“完成された世界”としてそれを提示しきっていることは驚きである。唯一難点かもしれない部分を挙げると、曲の最後があっさり終わってしまう傾向にあると個人的には感じるが、これはもしかすると意図的なものかもしれない。 とはいえ、収録曲のヴァラエティも結構ある。なので、上で述べた全編を通しての雰囲気というのは、通して聴いた時に単調なアルバムになっているという意味ではない。1.「夜と朝の間で(ウォーリーサム・ハート)」は結構暗めの曲だが、アルバム全体のイメージを冒頭から決定づける意味で効果的。4.「スウィート・メモリー」はもう少し明るくアップテンポだが、それでも影を背後に秘めたアレンジ・演奏で単なる少女趣味的に小さくまとまっていないのがよい。5.「サム・レッスンズ」は病床での曲作りの原点のような曲。アルバムの最後を締めくくる9.「グッドナイト」と10.「トワイライト」も曲としてというよりもアルバム全体の構成の中でうまく効果を発揮するように収められている。夜の眠りを告げる曲(「グッドナイト」)で終わりかと思いきや、次の朝を連想させる短いインスト曲(「トワイライト」)があり、後は聴き手の想像に任せるかのようなアルバムの締めくくりはなかなかよく考えられている。 といったわけで、この曲が素晴らしい、などといった曲レベルだけでなく、アルバム全体として非常に統一感があるのがとくに好印象の1枚である。その点からするとレコード会社・制作者一同の成功ということにもなるのだろうが、想像するに、メロディ自身がとてもしっかりと自己の確立された人物で、それが本アルバム作りにも反映されたのではないかという気がする。 [収録曲] 1. Worrisome Heart 2. All That I Need Is Love 3. Gone 4. Sweet Memory 5. Some Lessons 6. Quiet Fire 7. One Day 8. Love Me Like a River Does 9. Goodnite 10. Twilight 2008年リリース。 *日本盤はボーナストラック1曲入り;米盤でも曲順が異なる11曲入りもある模様(いずれも筆者は未聴)。 [関連記事リンク] 本盤のジャケット写真 へ 秋の夜長にジャジーな女性ヴォーカルを~その2~(ダフィー) へ 秋の夜長にジャジーな女性ヴォーカルを~その3~(ノラ・ジョーンズ) へ 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010年10月19日 04時37分53秒
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