テーマ:女性ヴォーカル(44)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
秋の夜長にジャジーなヴォーカルを ~その2~ ダフィー(Duffy、本名エイミー・アン・ダフィー)は、英国ウェールズ出身のシンガーソングライターで、前回記事のメロディ・ガルドーとほぼ同世代の1984年生まれ。現在のところスタジオ・フル・アルバムとしてはこの『ロックフェリー(Rockferry)』しか出していないが、英国では発売から1週間で一気に18万枚が売れたという。これまでのところ世界中あわせると400万枚以上のセールスという大ヒットアルバムとなった。 ダフィーはいわゆる“ジャジー系”で名前の挙げられるアーティストではあるが、本ブログの今回の3回シリーズの中ではいちばんポップなので、初めての人にもとっつきやすいかもしれない。実際、“ジャジー”というのは、“ジャズ”とは別物なわけで、つまりは、“ジャジー”と呼ばれ、時にCDショップなどでジャズ・コーナーに並べられていたとしても、やはりその多くはジャズではないと思う。しかし、このように区分けされる音楽は、とりわけ2000年代を迎えてのノラ・ジョーンズの成功とともに、ポップの1ジャンル(それもジャンル越境型志向のポップス)として飛躍的に広がりを見せてきた。そんな中で、ダスティ・スプリングフィールド(1960年代に一世を風靡したロンドン出身の女性シンガー)の流れを汲みながら、うまく上記のような大ヒットをつかんだのがダフィーと言えるだろう。 本作『ロックフェリー』の成功は、ダフィー自身の曲作りとヴォーカル力もさることながら、全体の綿密なアレンジによる部分が大きい。バックの演奏のメリハリ(特にストリングスの効果的使用と単調に陥らないバックの演奏内容の工夫)が耳につく。さらに、1.の表題曲「ロックフェリー」や5.「シロップ&ハニー」に特徴的なように、歌のエコーのかけ方が印象的で、下手をするとありきたりな“今風ヴォーカル”で終わってしまいそうなところにうまくアクセントをつけている。その一方で、3.「シリアス」や7.「マーシー」といったアップ・テンポの曲もほどよく挿入されていて、アルバムを通して飽きさせない内容に仕上がっている。あともう一つ付け加えておくと、オールディーズっぽさと現代的曲調がほどよく同居しているのも、ダフィー本人のみならず制作スタッフ一同の意図が成功した点だと思う。ボーっと聴いていると所々で“オールディーズを聴いているのか?”という錯覚に陥るが、落ち着いてよく聞くと現代的に凝ったことをやっていたりするというところが工夫されていて面白い。 それにしても、音楽的に見て英国というのは、何とも不思議な国である。言うまでもなく、ブルース、ロック、ジャズといった音楽は米国起源である。世界の歴史から見ると米国は英国の子という出自であるにもかかわらず、現代音楽の面ではその立場が逆なわけで、基本的に英国は米国の模倣や追従によって現代音楽を作り出してきた側面が大きい。ところが、ブリティッシュ・インヴェイジョンに象徴されるように、英国の音楽シーンからは突然に米国産音楽を圧倒する質のものが生み出される。このダフィーのアルバムもこうした英国発の近年の成果の一つと言えるのかもしれない。 [収録曲] 1. Rockferry 2. Warwick Avenue 3. Serious 4. Stepping Stone 5. Syrup & Honey 6. Hanging on Too Long 7. Mercy 8. Delayed Devotion 9. I'm Scared 10. Distant Dreamer 2008年リリース。 [関連記事リンク] 本盤のジャケット写真 へ 秋の夜長にジャジーな女性ヴォーカルを~その1~(メロディ・ガルドー) へ 秋の夜長にジャジーな女性ヴォーカルを~その3~(ノラ・ジョーンズ) へ ![]() 【楽天ブックスならいつでも送料無料】ロックフェリー(初回生産限定) [ ダフィー ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016年02月04日 09時17分24秒
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