テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
緊張感のない空間に漂う緊張感
こんな超有名盤のことを書くのはどうかとも思ったけれど、やっぱりいいものはいいので、紹介したいと思う。コンピレーションものは除くとして、“とりあえずジャズでも聴いてみよっか”と思った人が手に取るアルバムのたぶん1位にランクされるほどのド名盤がこの『ワルツ・フォー・デビイ(Waltz For Debby)』である(ちなみに、マイルス・デイヴィスを最初に手に取る可能性も高いが、複数アルバムに分散するだろうから、やっぱり『ワルツ・フォー・デビイ』がダントツ1位でだろう)。 ピアノ(ビル・エヴァンス)とベース(スコット・ラファロ)のインタープレイ―奏者同士の音と心の対話―の極致とされる演奏で、この演奏の後すぐにスコット・ラファロが亡くなってしまったため、二人の名演はこれ以上生まれなかった(ちなみに、本盤の同日録音の姉妹盤『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』というのもある)。とまあ、ジャズ史的にはこういう位置づけのなされる盤だろうが、上記のように“ジャズを聴いてみよっか”という人にとってはインタープレイとか小難しい話は関係ないかもしれない。でも耳を皿にして(?)聴けば、単なる心地いいピアノ盤でないのはすぐにお分かりいただけると思う。 少しヴォリュームを上げてみる。するとすぐに雑音が耳につく。グラスの触れ合う音、人々のざわめき、挙げ句の果てには観客の話し声。そう、ある意味、緊張感のない空間の雑音である。それに比べ、演奏そのものの緊張感のレベルは非常に高い。演奏が終わる最後の一音まで演奏者間の緊張の糸はぴーんと張り詰めている。曲が終わる瞬間にそれがふっと解けるので、曲の最後に注目すればそのことがよくわかる。大げさに言ってしまえば、耳触りのよさだけで終わるのではなく、この緊張感の高い演奏こそがジャズであると言ってもいいかもしれない。“ジャズでも聴いてみよっか”と何となく本盤を手に取ってみた人が、このことに気づけば、本盤は思いつき購入アルバムから、一気に“長く聴き続けられる”一枚に変化するだろう。 それはそうと、以前から気に入らないのだけれど、CDにはよくLP未収録曲がついている。ただで付いてくるのだからお得と思いたいのだけれど、そうはいかないことが多い。というのも、発売元によっては、アルバムの途中にそれら未収録曲を挟んでしまうのだ。そうなると元の演奏順序とは異なるし、しかも同じ曲の別テイクを二つ続けて聴くことになる。有名盤なだけに、また初めてジャズを聴く人がよく手にするアルバム名だけに、本盤でのこの問題は深刻である。 無論、こうした問題は、本盤に限ったことではないのだけれど、初めて聴くジャズ・アルバムの可能性が高い本盤に関しては特に避けてほしい。国内盤のほか、輸入盤に中古盤と、購入者にはいろんな選択肢があるわけだけれど、どんな曲順になっているのかをお確かめの上、購入いただきたい。この『ワルツ・フォー・デビイ』に関しては、筆者の記憶では現行国内盤は大丈夫だったように思う(LP収録順の後に追加曲を収録しているので、要は途中までしか聴かなければOK)。いずれにせよ、これから買うという場合には、ご確認を忘れずに…。 [収録曲] 1. My Foolish Heart 2. Waltz For Debby 3. Detour Ahead 4. My Romance 5. Some Other Time 6. Milestones ~以下、CDの追加収録曲~ 7. Waltz For Debby ―別テイク- 8. Detour Ahead -別テイク- 9. My Romance -別テイク- 10. Porgy (I Love You, Porgy) [パーソネル・録音] Bill Evans (p) Scott LaFaro (b) Paul Motian (ds) 1961年6月25日、ニューヨーク、ヴィレッジ・ヴァンガードでの録音。 【送料無料】JAZZ THE BEST Legendary 150::ワルツ・フォー・デビイ+4 [ ビル・エヴァンス ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ジャズ] カテゴリの最新記事
アルバムの完成度や一気に聞き通せる事を考えれば未収録曲(演奏)収録は別途アルバム発売と言う形で検討して欲しいと思っています。
「My foolish heart」、「Milestones」が特に個人的には好きです。 「ジャズ~SKE48、AKB48 音楽BBS わんこの部屋」 http://jazz.progoo.com/bbs/ (2016年12月25日 00時19分35秒)
|
|