カテゴリ:洋ロック・ポップス
デュラン・デュランから生まれたサイド・プロジェクト・アルバム
デュラン・デュラン(Duran Duran)は、1980年代、ワムやカルチャー・クラブとともにヒットチャートを賑わせた英国のポップ/ニューウェーヴ・バンド。本格的なビデオクリップを制作しMTVで人気を博した、いわゆる“第二次ブリティッシュ・インヴェージョン”の旗手であった。デュラン・デュラン本体の結成は1978年で、メンバーを変えながらも、現在も活動中のバンドである。 そのデュラン・デュランが人気絶頂の1985年、二つのサイド・プロジェクトが展開された。一つはアンディ・テイラーとジョン・テイラーが尊敬するロバート・パーマーに声をかけて実現したロック・バンド、パワー・ステーション(The Power Station)。もう一つは、サイモン・ル・ボン、ニック・ローズ、ロジャー・テイラーによるアーケイディア(Arcadia)である。前者がデュラン・デュランとは異なるロック志向のプロジェクトであったのに対し、後者はデュラン・デュランのサウンドを踏襲し、多彩なゲストを迎えてアルバム制作を行った。 本盤『情熱の赤い薔薇(So Red The Rose)』は、そのアーケイディアが残した唯一のアルバムである。バンド名は、17世紀フランスの画家ニコラ・プーサンの代表作『アルカディアの牧人たち』にインスパイアされた名称という(アルカディア=楽園、理想郷の英語読みがアーケイディア)。デュラン・デュランと比べて少々シュールでアヴァンギャルドな作りで、ジャケットも趣味が分かれそうな個性的な絵が採用されている。余談ながら、このジャケット・デザインは輸入盤、国内盤、再発盤など少しづつ違うそうでジャケットデザインの人物の顔のホクロの有無、アルバムタイトルが絵の中に含まれているのとそうでないのがあるようだ。 さて、アルバムの中身だが、まず目を引くのが様々なゲスト。デヴィッド・ギルモア(ピンク・フロイド)やスティング、アンディ・マッケイ(ロキシー・ミュージック)、さらに、日本からはギタリストの土屋昌巳(一風堂)が参加し、サウンドプロデュースにも結構関わったとのことである。また、ジャズ系のハービー・ハンコックなども参加している。意外なことに、これらの個々のゲスト・プレイヤーの個性は特に目立っていない。実はこの点こそが本盤の見事な部分ではないかと筆者は思っている。言い換えると、それだけアーケイディアというバンドの音作りを徹底し優先しているから個々のプレーヤーの個性が過剰に強調されない結果となった。裏を返せば、ゲスト陣はそれに応えられるだけの、十分に懐の深いミュージシャンたちだったということになる。 ニュー・ウェーヴ、ニュー・ロマ(ニュー・ロマンティック)というイメージだけで語ると何だか古臭い感じがするかもしれないが、音自体は繊細に作り込まれていて、今聴いても細かなところで新しい発見が多い。当時はパワー・ステーションの方が一般には注目されて、実際にヒットし、その陰でアーケイディアはさほど売れはしなかった(筆者もラジオ等では圧倒的にパワー・ステーションのほうをよく耳にした記憶がある)。けれども、四半世紀経った今から音楽的評価を考えると、アーケイディアは実に質の高いことをやっていたのだなと思う。デュラン・デュランを80年代前半のイメージから“ちゃらちゃらしたバンド”と思って避けている人がいるならば、そうした向きにも本盤はお勧めだ。 ちなみに、シングルとして売れたのは1.「エレクション・デイ」(全米6位、全英7位)。ただし、個人的な好みはシングル・カットされたが大してヒットしなかった二曲、3.「グッバイ・イズ・フォーエヴァー」(全米33位)と7.「ザ・プロミス」(全英37位)である。 [収録曲] 1. Election Day 2. Keep Me in the Dark 3. Goodbye Is Forever 4. The Flame 5. Missing 6. Rose Arcana 7. The Promise 8. El Diablo 9. Lady Ice 1985年リリース。 ![]() Arcadia / So Red The Rose 輸入盤 【CD】 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2022年09月23日 20時39分23秒
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