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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年01月06日
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テーマ:Jazz(1658)
カテゴリ:ジャズ
 
クラシックかラテンか~スティーヴ・キューンの力量(その2)


 本盤『キエレメ・ムーチョ(Quiéreme mucho)』は2000年に吹き込まれたアルバム。スペイン語のアルバム・タイトルからも想像できるように、いわゆるラテン曲集といった趣である。ジャケットは、ヴィーナス・レーベルからリリースされた他の何枚ものアルバムと同様に、趣味がよくない。何がよくないかって言うと、中途半端にエロいのである。実は、先回の『亡き王女のためのパヴァーヌ』についても同じようなことが言えるのだけれど、本盤のジャケは、裸の女性がビーチで寝そべっていて、しかもお尻丸出しというものである。もうちょっと趣向を凝らせば芸術的に決まるのかもしれないが、どうもヴィーナスのジャケットの多くは筆者の好みに合わない。芸術的に行きたいのだけれども、芸術になりきれていない感じのジャケット・デザインという感想を捨てきれないでいる。こういう発想は、ジャケット・デザインが名盤度を上げるという、かつてのブルーノートを褒めちぎった論者たちの負の遺産なんだろうなあ…。

 さて、そんなジャケットの良し悪しはさておき、内容面に関しては、この『キエレメ・ムーチョ』はなかなか興味深い。ラテンを解釈したジャズ・アルバムなんて山のようにあるわけだけれども、このアルバムは変な歩み寄りを感じさせないところに好感が持てる。言い換えれば、演奏者が無理してラテンに近づいていくのではなく、ラテンを自分なりに解釈するという姿勢が感じ取られる。無論、その結果としてできあがる音楽は、“スティーヴ・キューンの音楽”であって、“(スティーヴ・キューン風味の混ざった)ラテン音楽”ではない。この点こそが本盤を優れたアルバムにしているポイントだと思う。

 形式的なことを言うと、ラテンのリズム(しばしばラテンの打楽器)を組み込んで“どうだ、ラテンだ”という演奏はごまんとある。本盤が違うのは、“ラテン曲をやります、でも4ビートで”的な発想である。つまり、演奏者自身が自分の演奏をラテンにあわせたり、摺り寄せていくというのではなく、スティーヴ・キューンがやっていることはそれとはまったく逆の発想に立っている。つまりは、ラテンの曲を自分自身に引き寄せる、そういうスタンスなのである。

 スティーヴ・キューンはピアノ演奏そのものの実力もさることながら、音楽家として、既存楽曲の解釈者として非常に優れていると言えるだろう。前回の『亡き王女のためのパヴァーヌ』とあわせて本盤を聴くと、そのことがよくわかる。クラシック曲を解釈・演奏した『亡き王女のためのパヴァーヌ』とラテン曲を取り上げて演じた本盤『キエレメ・ムーチョ』を一緒に聴くことは普通あまりないかもしれない。そもそも両盤は、同じ演奏者だからという理由で(つまりはスティーヴ・キューンという演奏者のファン)しか、重なり合わないからだ。演奏されている楽曲の趣向でアルバムを買う人にとっては、両方並べて聴かれる(購入される)可能性が低い組み合わせである。けれども、筆者の見方からすれば、この2枚は瓜二つなのである。ジャズの枠に収まらない既存の名曲がジャズとして提示される。その提示の際の“魔法”を見事に操るのがスティーヴ・キューンの力量ということになるのだろう。



[収録曲]

1. Andalucía (The Breeze and I)
2. Bésame mucho (Kiss Me More)
3. Siempre En Mi Corazón (Always In My Heart)
4. Duerme (Time Was)
5. Quiéreme Mucho (Yours)
6. Tres Palabras (Without You)


[パーソネル・録音]

Steve Kuhn (p)
David Frinck (b)
Al Foster (ds)

2000年2月20日録音


[関連記事]

 クラシックかラテンか~スティーヴ・キューンの力量 その1(スティーヴ・キューン・トリオ『亡き王女のためのパヴァーヌ』)






 
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