カテゴリ:洋ロック・ポップス
“聴かずに死ねない”超名曲 90年代のシャニース(Shanice)、ジャネット・ケイ、あるいは国内アーティストではアン・ルイス、今井美樹、MISIA、平井堅…。カバーを挙げれば枚挙にいとまないのがこの「ラヴィン・ユー(Lovin’ You)」という曲である。原曲は1974年にミニー・リパートンがセカンド・アルバムで発表し、シングルとしては翌年に大ヒットしたもの。 ミニー・リパートンは1947年シカゴ生まれで、幼い頃から音楽に関わってきた。一度は別の芸名でデビューしたがヒットには恵まれず、1974年にスティーヴィー・ワンダーのプロデュースによる『パーフェクト・エンジェル』および収録曲「ラヴィン・ユー」で人気シンガーとなった。しかし間もなく乳癌を発症し、1979年に31歳の短い生涯を閉じた。 上で何人かの名を挙げたように、この曲のカバーは五万と存在する。けれども、筆者が耳にしたことがある限り、ほとんどどれもがオリジナルのミニー・リパートンのものから大きく離れられないという印象である。つまりは、オリジナルの殻を破ることができず、結果的に元のバージョンを越える出来には仕上がっていない。特にサビに含まれるハイトーンのあの部分はやはり誰にも真似できない(どういうわけかカバーするシンガーは真似たくなってしまう傾向にあるようだ)。いわゆる“金切り系ヴォイス”なのだが、ミニー・リパートンのそれは、何とも不思議な“透き通った金切り系ヴォイス”で、5オクターブ以上を操るヴォーカルの本領発揮である。 さらに“どのバージョンがよいか”という観点から話を続けると、ミニー・リパートン自身、ヒット曲となった「ラヴィン・ユー」を何度も再演し歌っているが、これまた筆者が聴いた限りでは、オリジナル録音のバージョンには及ばない。オリジナル録音のバージョンでは、基本的に素朴な歌い方で、仰々しさがなく(そう言えば、この“仰々しさ”が後世のカバーでは悪い意味で耳につくことが多い)、一つ一つのフレーズを丁寧に発音・発声しながら歌にのせている。元々の曲が名曲であるのに加えて、これはまさに名唱でもあるのだと聴くたびに思う。 カバーの話をしたのでついでに付け加えておくと、個人的に気に入ったカバー・バージョンが(今のところ)1つだけある。1980年代のEPO(エポ、知らない方のために念のため断わっておくと、本名・佐藤榮子さんというれっきとした日本人シンガーソングライターである)のものがそれで、彼女のアルバム『POP TRACKS』(1987年)に収録されている。成功の理由は、キーを変えて、例の金切り部分は全然真似ようともせず、完全に自分流に歌ってしまっている。むしろこのくらい大胆に変えて(=自己流に消化して)やってくれた方がすっきりする。元の曲そのものが十分名曲なのだから、アレンジが変わっても、多少の改変が加わっても、やはり名曲は名曲。でも、最終的にはミニー・リパートンの、しかも彼女自身のオリジナルのバージョンは“聴かずに死ねない”の形容に値するので、この名曲にどこかで何かの縁で知り合った人は、ぜひオリジナルを一聴いただきたい。 [収録アルバム] Minnie Riperton / Perfect Angel (1974年) Minnie Riperton / The Best of Minnie Riperton (1981年、ベスト盤) ![]() 【楽天ブックスならいつでも送料無料】永遠の詩~ベスト・オブ・ミニー・リパートン [ ミニー・リパートン ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2016年02月18日 19時45分05秒
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