テーマ:Jazz(1988)
カテゴリ:ジャズ
ジャケットも超有名な、本領発揮のワン・ホーン盤 『ザ・コングリゲーション(The Congregation)』は、1928年生まれの米国のテナー奏者ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)のリーダー作。彼は、長らくヨーロッパ生活を送った後、2008年に80歳で亡くなっている。“小さな巨人(リトル・ジャイアント)”という異名をとるが、小柄ながら強烈なブロウをするところから、こんなニックネームがついた。 グリフィンは1956~57年にブルーノートに3枚のリーダー・アルバム(『イントロデューシング・ジョニー・グリフィン』、『ア・ブローイング・セッション』、そして本作)を残している。これら3枚は個人的にはいずれも甲乙つけがたいと思うが、おそらく、ブルーノート1500番台であること、見た目(ジャケットワーク)、ワン・ホーンであるということを勘案すると、総合的には本作がいちばん幅広い層に受けがよい。また、個人的にも、グリフィンを聴いてみたいという人には、『ザ・ケリー・ダンサーズ』と並んでこれが入りやすいのではないかと思う。ちなみに、上で触れたジャケットのデザインは若き日のアンディ・ウォーホールの作。 ジョニー・グリフィンのサックスの魅力は、豪快で熱い吹きっぷりにあると言われるけれども、本盤での彼は、とりわけ端正な節回し、さらに楽しく歌うかのような流れるプレイが印象的である。安定したリズム・セクションがこれを支えていることは言うまでもないが、特にベースのポール・チェンバースの安定度が高く、全体的なスイング感をうまく支え維持しているように思う。また、ピアノのソニー・クラーク(リーダー盤の過去記事(1) および(2) 参照)が随所で個性を発揮しており、ソロの場面だけでなく、グリフィンの“歌”のバックに回っている時も、ピアノ音がいい具合の“跳ね方”をしている。 アルバム表題曲の1.「ザ・コングリゲーション」はグリフィンのオリジナル曲で、本盤の収録曲中でも上で述べたグリフィンのテナー・サックスが特に体現されている。「ザ・コングリゲーション」というタイトルは“集会”とか“集合”といった語義があるが、ここでは宗教的に教会へ集まってくること(あるいはその人々)を指すらしい。米国の黒人を主体とする音楽要素が、こういう宗教的なバックグラウンドを持つことは、ゴスペルに限らず、広く認められるのかなあと思わされる(“日本人仏教徒”みたいな人間にはわかりづらいけれど)。同じくグリフィン作の4.「メイン・スプリング」も、1.と並んで本盤でのグリフィンらしさ全開の曲。個人的感想としてはこの2曲が本盤のハイライトだと思う。 その次にいいのが2.「ラテン・クォーター」。この曲はアルト奏者ジョン・ジェンキンス(この人については過去記事(1) ・(2) )の作で、ゆったりしながらも歌心溢れるグリフィンのプレイが聴きどころ。とはいえ、この手の曲調のものがずらり5曲並んでいたならば、いくらソニー・クラークのピアノがいいアクセントになっているとはいえ、それはそれで退屈なアルバムになっていただろう。通常はゆっくり演奏される3.「アイム・グラッド・ゼア・イズ・ユー」がテンポを上げて演奏され、アップテンポで一気に聴かせる5.「イッツ・ユー・オア・ノー・ワン」があることで、全体の流れが飽きのこない作りになっている。ちなみに、アナログでは1.と2.がA面、3.~5.がB面。じっくり聴かせるA面と抑揚のついたB面というのも、本アルバムの工夫の一つだったように思う。 [収録曲] 1. The Congregation 2. Latin Quarter 3. I’m Glad There Is You 4. Main Spring 5. It’s You Or No One [パーソネル・録音] Johnny Griffin (ts) Sonny Clarke (p) Paul Chambers (b) Kenny Dennis (ds) 1957年10月23日録音。 Blue Note 1580 ![]() 【送料無料】ザ・コングリゲーション+1 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、ぜひぜひ“ぽちっと”応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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