テーマ:クラシックロック(754)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
有名曲の前後を通して聴くと…
サンタナ(Santana)は、メキシコ出身のミュージシャン、カルロス・サンタナ(Carlos Santana、本名Carlos Augusto Santana Alves)率いるバンドで、サンフランシスコで結成された。当初はカルロス・サンタナ・ブルース・バンドと名乗っていたが、サンタナと改名して1969年にデビューし、現在まで活動を続けている。本盤『天の守護神(アブラクサス)』は、1970年に彼らが発表した第2作で、バンドとして初の全米1位を獲得するアルバムとなった。シングルとしても、2.にメドレーとして収録されている「ブラック・マジック・ウーマン」が全米4位、3.「僕のリズムを聞いとくれ(オジェ・コモ・バ)」が同13位を記録した。 シングルとなった「ブラック・マジック・ウーマン」は、言わずと知れたピーター・グリーン(初期フリートウッド・マック)のカバー。しかし、単なるブルース・ロックの流れを汲むカバーというのではなく、ラテン・ロックと称されることになる独特のリズム感と曲の解釈が織り込まれ、原曲とはかなり違う出来具合になっている(なお、アルバムではガボール・ザボの「ジプシー・クイーン」と共にメドレーになっていて、トラック・ナンバー2.として収録されている)。 3.「僕のリズムを聞いとくれ(オジェ・コモ・バ)」もサンタナを代表する曲として有名になったが、もとはと言えば、ラテンの巨星ティト・プエンテの曲。“ティンバル(ティンバレス)の王様”や“ラテン音楽の王様”と呼ばれたティト・プエンテは、プエルトリコ系の演奏者・作曲家(2000年没)で、サルサやラテン・ジャズの発展に大きな役割を果たした人物。それをロックにうまく融合させたのがサンタナの演奏と言える。 これらシングル・ヒット曲についつい注目が行きがちである。確かに、これら2曲をはじめとするラテン・ロックというスタイルの確立は、サンタナの大きな功績なのだけれど、本アルバムのもう一つの真価は案外別のところにあるように思う。それはインストルメンタル曲の多さに表れている。収録曲全9曲のうち、半数を超える5曲(1.、4.、5.、7.、9.)が実はインスト・ナンバーなのである。これらが全体のトーンを決定づけ、本アルバムに、単なる曲の寄せ集めではない、一つの作品としての体裁を与えているように思う。 アナログでA面だった部分(1.~4.)を聴けばそのことがよくわかる。1.「風は歌い、野獣は叫ぶ」という静かに始まるインスト・ナンバーで引っ張っておきながら、2.「ブラック・マジック・ウーマン~ジプシー・クイーン」のメドレーへとさりげなくなだれ込む。次にラテン・リズムが強調された3.「僕のリズムを聞いとくれ」が来たかと思うと、力強いリズム感をどこかに残しながら、次のインスト曲4.「ネシャブールのできごと」へと連続していく。つまりは、前後のインストルメンタル曲があってこその有名曲という、ちゃとした連なりが意図されているのが見事なのである。 余談ながら、以前から気になっていることがある。スペイン語のタイトル曲がいくつか含まれているが、5.のクレジットのされ方が何とも奇怪なのだ。正しくは「Se Acab?」(「全ては終わりぬ」という邦訳はこのフレーズの翻訳)なのだが、「Se a Cabo」と綴られている。何か特別な意味でもあるのだろうか…。 [収録曲] 1. Singing Winds, Crying Beasts 2. Black Magic Woman/Gypsy Queen 3. Oye Como Va 4. Incident at Neshabur 5. Se a Cabo 6. Mother's Daughter 7. Samba Pa Ti 8. Hope You're Feeling Better 9. El Nicoya ~以下、1998年再発時のボーナス・トラック(筆者は未聴)~ 10. Se a Cabo(未発表ライブ) 11. Toussaint L'Ouverture(未発表ライブ) 12. Black Magic Woman/Gypsy Queen(未発表ライブ) 1970年リリース。 ![]() 天の守護神/サンタナ[Blu-specCD2]【返品種別A】 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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