テーマ:洋楽(3484)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
コンポーザーとして、シンガーとして、名曲の名唱 ジョー・ジャクソンは1954年イギリス出身のミュージシャン。彼の音楽性については様々に批評されたり、論じられたりする。当初は、1970年代末にパンク/ニューウエーブという流行りの中から登場し、やがてジャイヴ、レゲエ、ラテン、クラシックなど様々なスタイルを取り入れながらいろいろな試みをやってきた。こうした音楽性については、各アルバムなどを取り上げる他の機会に譲るとして、そうした観点からばかり話をすると、ついつい抜け落ちてしまいがちな二つの点について今回は記しておきたい。 音楽性云々でうっかり忘れ去られてしまいがちな点の一つ目は、彼のソングライターとしての能力の高さである。以前どこかで“どんなにしょぼいミュージシャンでも、一生に1曲の名バラードを残すことぐらいはある”という説を耳にしたことがある。だが、ジョー・ジャクソンの場合、長いキャリアの中で聴き手をうっとりさせる美しいメロディの曲を何曲も残していて、当然ながら、それは偶然の産物などと言えるようなものではない。 有名曲では、「危険な関係(Breaking Us In Two)」あたりが、ジョー・ジャクソンの美メロ曲の代表格と言えるかもしれない。けれども、筆者としては、この曲の入っているアルバム(『ナイト・アンド・デイ』、1982年作)の中に、忘れられない曲がもう一つある。それがこの「スローな曲をかけてくれ(A Slow Song)」だ。曲そのものは静かに始まり、次第に盛り上がっていくタイプの曲である。このような美しい曲を作れるというのは、ジョー・ジャクソンの才能が音の制作者(ミュージシャン、プロデュース)としての部分に限られたものではないということに他ならない。曲の作者(コンポーザー)としてもその才能は抜きんでている。 同じく音楽性の話が盛り上がった時に置き去りにされがちなもう一点は、歌い手(シンガー、ヴォーカリスト)としての彼の力量である。多少失礼な言い方ではあるが、ヴォーカルだけを聴いていると、この声の主はどれほどイケメンで、ダンディで、カッコいい男なのだろうと聴き手が想像力を膨らましてしまいそうなぐらいだ。無論、多くの人は実際の顔写真を見てイメージと違うことにがっかりするかもしれないけれど(笑)。この「スローな曲をかけてくれ」が次第に盛り上がっていくと上で述べたが、これにはヴォーカルの緩急も大きく関わっている。最初は伸びのある部分を生かしながら静かな出だしで、サビ部分では絶妙の節回しで大きく盛り上げる熱唱を披露する。こうした緩急の見事さにおいても、「スローな曲をかけてくれ」は彼の力量が見事に発揮された名唱だと思う。 ちなみに、この曲の原題は単に「A Slow Song」なのに、何ゆえ邦題は「スローな曲をかけてくれ」なのかと思う人もいるかもしれない。だが、実際の歌詞を聴けばその疑問はすぐさま解決する。サビの詞は“Play us a slow song…”というもので、邦題はこの部分全体の翻訳である。ともあれ、作曲者としての才能とヴォーカリストとしての力量の双方が存分に発揮された、筆者の大のお気に入りの1曲。ベスト盤(そしてライブ盤)収録のライブ・ヴァージョンしか聴いたことのない方は、ぜひオリジナル(スタジオ録音ヴァージョン)の方もお試しいただきたい。 [収録アルバム] Joe Jackson / Night and Day (1982年)←オリジナル・バージョン収録 Joe Jackson / Stepping Out: The Very Best of Joe Jackson (1990年)←ベスト盤だけれども、こちらはライブ・バージョンのみ収録 ![]() 【楽天ブックスならいつでも送料無料】ナイト・アンド・デイ [ ジョー・ジャクソン ] 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016年02月01日 11時36分19秒
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