カテゴリ:ラテン(ロック&ポップス)
メキシカン・ミクスチャー・ロックのトップ・バンドの原点
カフェ・タクーバ(正しくはCafé Tacvbaだが、Café Tacubaと綴られることもある)は、メキシコ市郊外のナウカルパンで1989年に結成されたメキシコ人ロック・バンド。カフェ・タクーバという名はメキシコ市中心部に実在する老舗カフェの名前に由来し、あえて古風な綴り(uをvに変更)にしたという。カフェ・タクーバとなる前は、アリシア・ジャ・ノ・ビベ・アキー(Alicia ya no vive aquí)というバンド名でザ・キュアーやデフ・レパードを目指すスタイルの音楽をやっていたらしい。デビュー後は90年代のオルターナティヴ、ミクスチャー、さらにはヒップ・ホップ、エレクトロニカなどポスト・ロックの様々な潮流に乗り、ラテン系バンドの中で揺るぎない地位を確立し、2000年代に入ってからはグラミーを何度も受賞している。 上記の通り結成は1989年だが、デビュー・アルバムをリリースしたのは1992年になってからのこと。セルフタイトルの同デビュー作からのビッグ・ヒット(シングルとしては4枚目)がこの「ラ・チカ・バンダ(La Chica Banda)」である。現地メキシコのラジオでは、ヘビーローテの定番としてすっかり定着しており、頻繁に耳にする有名曲である。 カフェ・タクーバの成功の要因は、上で書いたようなポスト・ロックの時流にうまく乗ったということだけではなかった。それと同時にもう一つ重要な要素がある。それは、メキシコの伝統的音楽要素(マリアッチ、ノルテーニャ、ランチェーラなど)を巧みに取り入れ、スペイン語で歌う詞のテーマにもメキシコ的なものをうまく組み合わせてきた点にある。単にポスト・ロックな潮流で成功するだけなら、メキシコ初のバンドである必然性はないけれども、カフェ・タクーバの登場はこの二つ目の理由からメキシコ発という必然性があったと言えるかもしれない。 この「ラ・チカ・バンダ」という曲は、上の二つ目の要素のうち、詞の部分にもメキシコ的な内容が盛り込まれている。大筋は“イカした女の子の描写”というありきたりなテーマだけれども、その彼女が通う学校(第23中学校)で流行のブーツはメキシコの大手靴ブランド、フレクシ(Flexi)のもの。彼女自身については、父がサン・フアン・チャムーラ出身、母がツィンツンツァン出身で、本人は“大テノチティトラン生まれ”という設定。つまり、父母の出身地はいずれも先住民文化の村として有名で、テノチティトランとはメキシコ市の大昔(アステカ時代)の名称。トサカ・ヘアーの彼女にパンクのコンサートで主人公がコクるというありきたりなテーマの中にも地元性をうまく混ぜ込んだという感じか。 ともあれ、この時期を起点としてカフェ・タクーバはさらなる音楽的実験と地位を確立していった。その意味では、彼らの原点とも言える1曲だろう。 [収録アルバム] Café Tacvba / Café Tacvba (1992年) その他、ベスト盤類にも収録。 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016年02月01日 16時15分23秒
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