音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2016/02/05(金)21:02

ジョン・コルトレーン 『夜は千の眼を持つ(Coltrane’s Sound)』

ジャズ(496)

突然聴きたくなる一枚  音楽好きの方なら、突発的に無性に聴きたくなる一曲というのがおありではないだろうか。突如聴きたくなるのは曲にかぎらず、“突然聴きたくなる一枚”、“ある時急に思い出したように聴きたくなるアーティスト”なんていうのもあることだろう。筆者もご多分にもれずそうしたものがたくさんある(そしてその一覧のリストが頭の片隅にあって、ふだんは意識しないのだけれど何かの拍子に無性に聴きたくなるとそのリストをふと思い出す)。平常は、別に毎日や毎週のように聴くわけではない。でも、一度聴きたいという気持ちが芽生えたらもう止まらない。まるでいくら頑張っても届かないニンジンを目の前に吊るされた馬のように、はたまた禁煙地帯に放り込まれてタバコが吸えなくて苦しんでいるサラリーマンのように、禁断症状が起こり、その音楽にようやくありついたらほっとするという、そんな感覚とでも言えばよいだろうか。  ジョン・コルトレーン(John Coltrane)が1960年10月に録音を行った一連の作品群は、筆者にとってそんな禁断症状を誘う音楽である。この時の録音は、コルトレーンがその頃結成していたレギュラーカルテットを従えての初録音であった。レコーディングは3日間にわたって行われ、その中からまずは翌61年に『マイ・フェイヴァリット・シングス』をリリース。続いて62年には同じ音源から別の楽曲を集めた『コルトレーン・プレイズ・ザ・ブルース』が発売された。さらに同様にして64年に出たのが本作『夜は千の眼を持つ(Coltrane’s Sound)』であった。  そのようなわけで、制作経緯だけを見ると前二作の“出がらし”かと思われがちだが、まったくそんな気配は感じさせない。むしろ三部作として、それぞれに趣向は異なるが、ある種のまとまった作品群を成している。  この『夜は千の眼を持つ』(原題は『コルトレーンズ・サウンド』で、この題名は1.から来ている)というタイトルは何とも怖い印象だが、もとは映画の曲から採られたもの。しかも、“夜の千の眼”というのは星々のことで、別にお化けがでるわけではない(笑)。このタイトル曲をはじめ、スタンダードからやや実験的なものまでバリエーションに富んでいる。いわゆる“シーツ・オブ・サウンド”という音の絨毯も控えめで、モーダルな演奏からバラードな演奏もあるので、意外とコルトレーンを最初に聴くのにも適しているかもしれない(でもやっぱり奇怪なジャケットにこのタイトルとくれば、ふつうは手を出さないか…)。  ちなみに、全然ジャンルは異なるところで、同じく筆者に禁断症状を(それも何の前触れもなく突然に)促す音楽としては、ブルース・スプリングスティーン(『ザ・リバー』他)、レッド・ツェッペリン(『プレセンス』(→収録曲過去記事)他)、ボストン(『サード・ステージ』他)などがある。ジャズ界では、エリック・ドルフィー(過去記事)、ブッカー・アーヴィン(過去記事(1)・(2)・(3))など個性的な奏者が筆者のリストにはある。無論、これらは一例で、“あるい突然無性に聴きたくなるリスト”みたいなものがあるのだけれど、ジャンルや傾向にどうやら一貫性はないらしい。これをご覧の皆さんの禁断症状誘発アーティスト(もしくはアルバムや楽曲)はどのようなものだろうか。 [収録曲] 1. The Night Has a Thousand Eyes 2. Central Park West 3. Liberia 4. Body and Soul 5. Equinox 6. Satellite 7. 26-2 8. Body and Soul (alternate take) *7.と8.はCDでの追加トラック。 [パーソネル、録音] John Coltrane (ts, ss) McCoy Tyner (p) Steve Davis (b) Elvin Jones (ds) 録音:1960年10月26日  【楽天ブックスならいつでも送料無料】JAZZ BEST COLLECTION 1000::コルトレーン・サウンド(夜は千の眼を持つ) [ ジョン・コルトレーン ]   下記3つのランキングサイトに参加しています。   お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです!         ↓           ↓           ↓            

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