カテゴリ:洋ロック・ポップス
ライヴ盤の醍醐味と本質的な意義とは? エアロスミス(Aerosmith)初のライヴ盤で、1970年代黄金期のベスト盤的選曲のアルバムが、この『ライヴ・ブートレグ(Live Bootleg)』。1978年にリリースされたもので、元々のLP(レコード)盤は2枚組だった。音源は主に1977年~1978年のライブのものだけれども、一部(収録曲14.と15.の前半)に1973年というやや早い時期の音源も使用されている。このアルバムは既に30年以上も前のものなわけだけれども、筆者にとっては、ライヴ盤とは何たるかを考えさせてくれる盤でもあり、今回はそのことを話題としたい。 “ブートレグ”つまりは、いわゆる“海賊盤”というのがアルバム・タイトルになっている。これは、当時、彼らの海賊盤が次々と流通していたことから、これをシャレにしてつけられたものとされる。実際、ジャケットもそれらしい雰囲気(汚らしくちゃちい感じ)に意図的にデザインされている。CD時代になってからのブートレグは、ディスクそのものがちゃちなのはともかくとして、カラー写真を使うとか、それなりにデザインを考えた風のジャケット・イメージが増えてきたように思う。けれども、レコード時代のブートレグというのは、本当にどれもこれもちゃちなものだった。本盤もそんな雰囲気を反映したジャケットである。 それはさておき、本作が“ブートレグ”を謳っているのには、上記の理由以外にも、もう一つ別の意味があるんじゃないかと個人的には思っている。それは、音が“海賊盤”的なのである。本人たちがネーミングの際に明確に意識していたのかどうかはわからないのだけれども、本盤はとにかく音が荒くて雑い。かつてのブートレッグの多くは本当に音質も悪いものが多く、まともには聴けたものではない録音も多かった。最近では海賊盤も音質が上がってそうではなくなってしまったものの、基本的には生の音を垂れ流す形が一般的である。それに対し、近頃の正式リリースという形でリスナーに届けられるライブ盤は、音質が飛躍的に向上し、技術面でも昔とは劇的に異なっていて、ミキシングのほか様々な操作で“きれいな演奏”のアルバムが作られるようになった。それはそれでいいことなのかもしれない。けれども、裏を返せば、演奏のミスなども修正できてしまうということだ。つまるところ、“生ライブ感”が半減することにもつながる。 話を元に戻そう。本作が“海賊盤”的と言ったのは、演奏のまずい部分(リズムが安定していない箇所、ヴォーカルやギターの外れた音、など)をほぼそのままに再現してくれている点にある。黄金期のエアロスミスの勢い、良くも悪くも当時の彼らのヤバさがそのまんまアルバムに収録されている。そんなわけで、演奏の質だけを重視する向きは、スタジオ盤を聴いた方が絶対にいい。けれども、当時のエアロスミスの生の勢いを追体験するという観点に立てば、本盤の方が格段に優れているというわけである。 ベスト的選曲だけあって、1.「バック・イン・ザ・サドル」、4.「闇夜のヘヴィ・ロック」、7.「ウォーク・ディス・ウェイ」、9.「ドリーム・オン」、12.「ママ・キン」といった70年代の彼らの代表曲が一通り収録されている。個人的な特にお勧めとしては、ビートルズのカバーである6.「カム・トゥゲザー」。これが実にカッコいい。あと、15.「マザー・ポップコーン」には、クレジットには記されていないが、別の曲も収められていて、このトラックの後半は「ドロー・ザ・ライン」(音源は前半が73年に対し、この後半は78年)が収録されている。 [収録曲] 1. Back in the Saddle 2. Sweet Emotion 3. Lord of the Thighs 4. Toys in the Attic 5. Last Child 6. Come Together 7. Walk This Way 8. Sick as a Dog 9. Dream On 10. Chip Away the Stone 11. Sight for Sore Eyes 12. Mama Kin 13. S.O.S. (Too Bad) 14. I Ain't Got You 15. Mother Popcorn 16. Train Kept A-Rollin'/Strangers in the Night 1978年リリース。 ![]() 【送料無料】ライヴ・ブートレッグ [ エアロスミス ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2013年07月20日 07時01分51秒
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