テーマ:Jazz(1991)
カテゴリ:ジャズ
これぞモダン・ジャズ的サックスの愉しさを堪能 デクスター・ゴードン(Dexter Gordon)は1923年ロサンゼルス生まれで、役者としても活躍したテナー・サクソフォン奏者。1990年に67歳で没している。ビバップ~ハードバップのジャズ・サックスを代表する演奏家であるが、実のところ、モダン・ジャズが華やかに開花していった1950年代には、苦難の時期を経験した人物でもある。 デクスター・ゴードンは、早くから頭角を現し、1940年代前半のライオネル・ハンプトン楽団を皮切りに、40年代後半にはバド・パウエルやアート・ブレイキーなどとの録音をはじめとして、ジャズ奏者として目立った成果を残していた。けれども、麻薬の影響から、50年代の大半をゴードンは棒に振ることになる。つまり、彼のやろうとしていた音楽が花盛りの頃に、プレイするチャンスをごっそり逃してしまったという不運な人物だったわけである(ヤクをやってたんだから自業自得だろうと言われれば、確かにそうでもあるのだが)。 そのようなわけで、実質的に、1952年から1960年までの8年間、彼の活動はほとんどなかった。けれども、途中、1955年に一時期復帰したことがあった。その時に残された数少ない作品が、本盤『ダディ・プレイズ・ザ・ホーン(Daddy Plays The Horn)』ということになる。ベツレヘムという、マイナーだがジャズの密かな名盤を多く残したレーベルに吹き込まれたものである。 上のような経歴からして、本盤におけるデクスターの演奏自体は、彼のベスト・プレイと言えるかどうか賛否両論がある。けれども、筆者は本盤が彼の作品の中では1、2を争う最高作だと思う(ちなみに、筆者の中でベストを争うもう一枚はブルーノートに吹き込んだ『ゴー!(Go!)』である)。 本盤の良さは、一言にすれば、“大らかさ”にある。表題曲の1.「ダディ・プレイズ・ザ・ホーン」は、ゆったり大らかに吹くという彼の特徴がとてもよく生かされた自作のブルース曲。ケニー・ドリューの長いソロも心地よい。2.「コンファメーション」は、チャーリー・パーカーの有名曲。本質的にはアップテンポで慌ただしい感じだが、デクスターが吹くとどこか大らかさが出るのが不思議だ。有名曲の5.「ニューヨークの秋」は、後に映画『ラウンド・ミッドナイト』(1986年)でこれを吹くシーンが知られるようになるが、ここでもゆったりとした大らかなよさがよく表現された演奏となっている。 参加メンバーの中でもとりわけ目を引くのは、上でも触れたケニー・ドリューである。独特の硬質でありながら美しいピアノの音はデクスターのサックスとの相性も良かったのだろう。そのせいか、この二人は後年に他の盤でも共演している。 [収録曲] 1. Daddy Plays The Horn 2. Confirmation 3. Darn That Dream 4. Number Four 5. Autumn In New York 6. You Can't Depend On Me [パーソネル] Dexter Gordon (ts) Kenny Drew (p) LeRoy Vinnegar (b) Larry Marable (ds) 1955年5月録音 ![]() 【送料無料】ダディー・プレイズ・ザ・ホーン [ デクスター・ゴードン ] 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013年07月10日 01時34分16秒
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