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カテゴリ:洋ロック・ポップス
天才ぶりを示すソロ・セカンド作 1948年、イングランド出身のミュージシャンであるスティーヴ・ウィンウッド(Steve Winwood)という人は、天才であると同時にその天才ぶりが目立ちにくいアーティストという印象が筆者にはある。そういう印象の原因になっているのは、たぶん2つの理由からのように思う。 一つは、活動するバンドやグループの推移。当初、スティーヴは、スペンサー・デイヴィス・グループに属し、1960年代末にはトラフィック(第1期)で活動した。1969年には、トラフィックと同じく解散したクリームのジョイントから生じたスーパーグループ、ブラインド・フェイスに参加するが、アルバム1枚でこのプロジェクトは終わってしまう。その後、トラフィック(再結成)で活動したが、やがてソロを志向していく。とまあ、こんな感じだから、自分の色が出せたり出せなかったりというか、早い話、その才能が広く浸透しないという結果を招いてしまったのだろうか。 とはいえ、その才能が一般に認知されにくい理由はもう一つある。天才ぶりを決して見せつけることはしないという、彼の流儀である。流儀というと少々大げさかもしれないけれど、それがスティーヴ・ウィンウッドのやり方なのだろう。これ見よがしに見せつけることはせず、さらりとこなしてしまう。実際、10代の頃からもてはやされたヴォーカル・センスに加えて、主にキーボード(とハモンドオルガン)、ギターといった楽器に長けているところからもその天才ぶりが窺える。 本作『アーク・オブ・ア・ダイバー』はソロ第二作として1980年に発表された。翌年、1.「ユー・シー・ア・チャンス(While You See A Chance)」が全米で7位のヒットを記録し、これを契機にアルバム自体も全米3位まで上昇したことから、セールス不調に終わった初ソロ作に対して飛躍の1枚となった。売れたかどうかは偶発性のような部分もあるのかもしれないが、とにかくここでもスティーヴ・ウィンウッドの天才ぶりが際立っている。 アルバムを聴くと、キーボードがしっかりしていてシンセの味付けの効いたポップではあるがバンド的にカチッとしたサウンドの印象を受ける。ところが、実はバンドなど存在せず、ぜんぶ自前の演奏なのである。一人でアルバム制作というと、トッド・ラングレン(参考過去記事『ミンク・ホロウの世捨て人』)みたいなマニアックなイメージかというとそうでもない。さらりと一人でやって、それがそう見えないところにスティーヴ・ウィンウッドらしさがあるような気がする。 5~6分程度とやや長めのよくできた曲が並んでいて、捨て曲なしの好盤だが、筆者の好みでいくつか曲名を挙げておきたい。アップテンポなものとしては、1.「ユー・シー・ア・チャンス」と6.「ナイト・トレイン」が特に気に入っている。もう少し渋めの出来のお気に入り曲としては、表題曲の2.「アーク・オブ・ア・ダイバー」、軽くスパニッシュ・フレーバーの効いた5.「スパニッシュ・ダンサー」あたりがよい。曲単位での聴きどころは挙げづらいが、ヴォーカルの魅力だけでなく演奏の魅力も聴かせる点が敢えて言えば大きな“聴きどころ”になっているアルバムだと思う。 [収録曲] 1. While You See a Chance 2. Arc of a Diver 3. Second-Hand Woman 4. Slowdown Sundown 5. Spanish Dancer 6. Night Train 7. Dust 1980年リリース。 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.03.19 10:00:06
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